帰り道すれ違い
日が沈んで、街灯の電気が灯る頃。
私と七菜さんは、喫茶コーデュロイから帰り道を歩いていた。
私の気持ちは、七菜さんの無邪気な笑顔を見てから、モヤモヤしている。
「待っててくれてありがとね?聲。先に帰っててもよかったんだよ?」
「待ってた感じはなかったですよ?面白いお店でした。七菜さん1人で帰りたかったんですか?」
ちょっと意地悪な返しをしてしまった。
私は閉まったと思いながらも、言ってしまった。
七菜さんが苦笑しつつ聞いてくる。
「どーしたの聲?私はただ聲の帰りの時間が気になって......」
「私の家は、両親供に遅いんですよ。気にしてくれてありがとうご・ざ・い・ま・す」
「聲ってば!なんでそんなに怒ってんの?」
私ははや歩きで、七菜さんの前を歩く。
「別に!ただ一緒に帰るのは、私にとっては当たり前だっただけですよー」
「聲、待って!」
腕を捕まれて、正面を向く。
七菜さんと顔を見合わせる。
七菜さんは、口を結んで眉間にしわが寄っていた。
私も同じような表情をしているんだろな。
私達は、真剣だった。
「水くさいんですよ。私はまだ七菜さんの事は何も知らない。だけど知りたい。早く、七菜さんの周りの人に追い付きたい」
「ごめん、ごめんなさい聲。気づけなくて。私は、どうにも人の気持ちってのが鈍くてよく分からないの。年上なのにね」
1分だろうか.......。
2人で顔をにらみ合った。
少し目元が潤みながら、七菜さんは謝った。
私も深々と謝った。
頭が熱い。
「七菜さん、私もごめんなさい。自分でもこんなに直情的になったのは初めてです」
顔が赤い私と、涙目の七菜さんは顔を見合わせて笑った。
「聲の感覚って、体育会系なのかな?」
「自分でもわかんないや。七菜さんは、鈍感系ですね」
初めて、七菜さんと言い合った帰り道だった。
この薄暗い街灯が照らす道は、すごく記憶に残りそうだった。
私は、誰かと真剣に向き合った事に喜んでいた。
七菜さんは、どうなんだろう?
──前を歩く七菜さんの背中が、そんなハズは無いのにすごく小さく見えた。
続く




