表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/95

お金落としたの.....




「この物語、是とすれば可か。ならば非とはできんなあ。ふむ。娘、この物語にどう応える。俺の家に転がりこんでくるか?」


怪しい天狗のお面を被った着物の男が聞いてくる。

余りにも怪しい。

私ぐらいの歳でも分かる。

でも、そんな怪しい人と公園のベンチで隣同士で座って、お話ししていた。


「いや、変な人についていっちゃ駄目って、お母さんに言われてるから......」



「成る程。まっとうな親だ。いい母親を持ったな娘。しかし、俺は変な人では無いぞ。そこだけは訂正しておく。まあ、歳の差を超えたお喋りは楽しかった。若い娘というには若すぎたが。だが俺のアンテナに引っ掛かるだけはあった。じゃあな。大したもんだったぜ娘」



「うん。天狗のおじさんさようなら」


天狗のおじさんが、ベンチから立ち、バイバイと手を振る。やっぱり変な人だ。


だけども、そのおじさんとのお喋りは楽しかった。

何を言っていたのか、ほとんど分からなかったけど、なんだかフワフワした気持ちになったのだけは分かった。

あーこれが楽しかったんだな。変なおじさんだったけど。


公園のベンチで座りながら足をぶらぶらさせていたけど、よっと!地面に着地。

私もそろそろ家に帰ろうっと。

お母さんには、今日の事は言わない方が良いな。

心配かけちゃうし、私の自由も狭くなりそうだし。



「あ~!!やってもたー!!」



私の前に居たお姉さんが、両手を顔に当ててオーマイガッ!っとしている。

無視して横を通り抜けよう。

横をすり抜ける時、お姉さんの手に覆われた顔が、チラリと見えた。


「.......ぐす.......ぐす!」


めっちゃ泣いてた。

ウワー。こんな年上の人が泣いてるの初めて見た。けど私は見てしまった。見てしまたから無視出来ない。


「あの。大丈夫ですか?」


私は、ウサギさんのアップリケのついたポシェットから、ハンカチを出してセーラー服のお姉さんに差し出した。

お姉さんは、両手に顔を被せているそのままの状態で、ビクリ!!と身体を震わせた。

あっ。びっくりさせちゃった。


「あ、ありがと~」


グシッ!グシッ!

っと、涙を拭くお姉さんだった。

しばらくそのお姉さんを見ている私。


お姉さんはボーイシュッな短髪で、健康そうな日焼けのした色黒の肌だ。

部活というやつで、水泳でもしてるのかな?真夏だしね。

それで、泣いてるのはびっくりしたけど、綺麗というよりは可愛い顔立ち。


「お姉さん、どうしたの?」



小学生の私からしてみたら、こんな大人が本気で泣くという状況は、どういう事か、まったく分からない。

お姉さんが、ひっく、ひっくと泣くのを止めて、しゃっくりをしている。

あ、喋りそう。


「おがねおどじぢゃっだの~」


再びワッ!と泣き出すお姉さん。

これ、どうしたら良いんだと、途方にくれる私だった。



続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ