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発光食品

作者: GHK

「あら、今日は烏賊ですか。きれいですね。」

ご近所の奥さんが私の荷物を見て立ち止まった。

蛍烏賊(ほたるいか)ですよ。今夜はいかそうめんなんです。」

私の右手のレジ袋には、氷と一緒に透明な生き物が入っている。

「そうそう、いかそうめん。でも、蛍烏賊ってこんなに大きかったかしら。」

「これは特別大きいんです。夏に獲れるんですよ。」


今夜は七夕。夕涼みの後は星空の下で夕食。机の真ん中でいかそうめんが光っている。

ガラスの器は透かし彫りの波を青く浮き上がらせている。

「これおいしいね。どうやってつくるの。」と娘が尋ねてきた。

「これは蛍烏賊のいかそうめん。烏賊の刺身だよ。」

「光ってるから蛍って言うんだね。あ、」

ぽちゃんと、一切れ吸い物の中に落ちた。箸でわかめと一緒に引き上げる。

ふと、笹竿を見上げる。

天の川と笹なんて、釣り人みたいなこと、いったい誰が始めたんだろう。

わが家の笹は願い事が大漁。書き出さなければ自分でも知らないくらい、いっぱい。青々と茂る枝葉が風に鳴いている。赤や黄色をひらめかせながら若々しい身体をしならせている。

気付けばそうめんはあと一本。まるで光っている命を食べているよう。

ああ、おいしかった。ごちそうさま。

ホタルイカの漁期は2月から5月頃なので七夕には獲れないと思います。加熱して食べますし、小さいのでいかそうめんにはならないのですが、小説のイメージでそういうことにしました。

レビューを書いていただきありがとうございます。空想や雰囲気を書いた作品なのでそのイメージを楽しんでもらえて嬉しいです。


追伸

わにさん、私の作品に素敵なレビューを書いて、遺していただきありがとうございました。2020.12.13

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