プロローグ 始まり
自筆イラスト
ここはどこなんだろう。
ふと気づくと無限に感じる凍てつく空間にいた。
あまりに長い時間が過ぎのか、始まったばかりなのか。
光なのかもしれないし、闇かもしれない。
多数のようでもあり一つなのかもしれない。
無意識なのか意識なのかもよくわからない。
果てなく思えるこの暗い空間には無数の光の集まりがある。
そこは数えきれない輝く星らやガス状のものが寄り添っているようだった。
集まりは大きいものや小さいものと様々だったが、それぞれが離れ離れになるように遠ざかる。
星らの集い……暗い空間では明らかに異質なものに思えた。
集いの多くは星らが暗い中心を回り、熱く冷たく、輝き消えてその残骸で満たされていた。
暗い中心は空間の中でも最も暗くあり、その闇は周りの星らを拒むようにも思えた。
なぜこんなふうに感じたり意識できるのかが不思議に思う。
またしばらく彷徨すると青い星があった。
暗闇の凍てつく空間ではとても珍しい星だった。そこには先ほどの様々な感覚をもっと強く呼び起こすものがあるような気がする。
次第とわたしはとらわれていく。近づくにつれてその様子がはっきりとしてくる。
青い星は近くの炎の大きな星の周りをめぐりながら、自らもゆっくりと回転し光と闇を抱えていた。
幾重にも周囲の暗闇から星を包み守るものがあるようで、冷えてもおらず灼熱でもない。
様々な流体が包み込み、表面を対流が巡り星の一部も隆起している。
澄んだ気体がそれらを包み込み抱きかかえている星。
海・大地・空、そのすべてに生命があった。
その命の鼓動が、なにかを呼び起こそうとしてくる。
「わたしは、ここに……ありたいのか……」
青い星はそんなことをわたしに抱かせて包み込んでいった。