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第一発見者

ちょっとグロいので注意。

その地域は盆地を利用した作りになっていて、そこかしこに急坂があるなかでうまく平坦な場所を見つけ、にゅっと団地が生えている。僕の家も例に漏れずその建物のひとつにあり、なんなら同じ中学校に通っている全員の家の間取りはまったく同じだった。


「ねぇ、聞いた?」

「聞いた。台所がヤバいことになってたって」

「こう、ほら、廊下と一緒になってるあそこに倒れてて、それで」

噂好きの女子は最後の一言は殊更声を潜めたが、不思議とその言葉ははっきりと聞こえてきた。

「首が無かったって」


なまじ同じ窯の飯、同じ間取りに住む僕たちだから、その首がシンクに置かれていたんだよ、という言葉ひとつでその光景をありありと思い浮かべることができる。親や教師から隠れてこっそり観たことのある、暴力表現18才未満禁止、なスプラッタ映画の表現が現実の噂と混ざり合っていって、映像が脳裏で再生される。血で染まった廊下、そこに学ランをきた身体がだらしなく横たわり、だがその詰襟から先は廊下の木目があるばかり。おそるおそるシンクの中を覗き込む。そこにあるのは目を閉じたカズマの頭部。


勢いよく立ち上がったために椅子が倒れてひどい音をたてた。噂していた女子が条件反射的に震え、恐々といった様子で僕を見る。そんな顔するくらいなら最初からそんな話してるなよ。椅子を元に戻すことも腹立たしくて、僕はあてもなく教室を飛び出した。


朝登校しようとして、呼びかけても反応がなかった。

勝手知ったる幼馴染の家、隠した鍵の場所は知っている。あっさり開いたドア、ドアからつづく廊下に倒れている身体。血の匂い、シンクを覗き込まなかったけれど、癖っ毛のある髪の毛がちらりと覗いていて、僕はその場から逃げ出した。


実は第一発見者は僕でしたなんて、一体誰にどう伝えればいいんだろう?

http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=533386

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