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#1 俺の布団とプロローグその1

前書き

主にガラケーから強引に投稿しているので1000文字きつきつ投稿です。


 ――初夏の日差しに新緑が輝き、その輝きに負けじと、子ども達からは若葉のような瑞々しい笑顔がこぼれている。


 実に、平和な光景だ。見ているだけで優しい気持ちになれそうな、そんな、木漏れ日のような、穏やかな日常。


 窓の外から見えるそのまほろびの景色を、目を細めながら眺めると、俺は、憂いを帯びた溜め息をついた。


「今夜も、ヤバくなりそうだぜ……」


 振り返ると、そこには畳敷きの部屋に敷かれた一組の布団。その上には、丸くなって寝ている、一匹の黒猫。


 いかにも潜り混んでみたくなるような、惰眠を貪りたくなるような、そんな雰囲気を醸し出しているが、今はそうも言ってられない。


 誘惑に駆られていてはいけないのだ。何故なら――。





「ッらっしゃーせぇー!」


「はい鳥カラ上がッてぇー!」


 ……居酒屋でバイトだからである。


「オーダー入ります! 鳥鍋3、塩串セット5、タレ串セット5、イカ焼き3!」


「あ、あいよ!(し、しんどー!)」


 気化した油と汗と何かにまみれながら、俺はぶひひふひふひぃぃと厨房を駆け回る。


 こんなにもヘロヘロになっている原因は、他でもない。昨日の夜は“特段イカレた奴が布団に来やがった”から、俺は寝不足なのだ。


「はい鳥鍋上がッてぇー!」


 ……それにしても、アカン。眠すぎる! このままでは、ヒヤリハットで済まんかもしれん!


 俺の平和の為にも、今夜はまともな人物でありますように……!





 帰宅後、猫の《クロ》に飯をやり、シャワーを浴びた後、気付けば夜の12時を回っていた。


 さっさと爆睡したい所だが、俺の場合はそうもいかない。俺の布団、いや、俺の“寝ようとする意思の強さ”に秘密があるからだ。


「ったく、毎日がロシアンルーレットだぜ……」


 うんざりしながら布団に入り、視界の反対方向を見ると、そこには。


『……』


「……おっさんかよ……」


 顔面がボッコボコになった見ず知らずのおっさんが、俺の隣で静かに寝ていた。その頭には、ベコベコのベコに凹んだボロい王冠が乗っかっている。


『……』


「……で、アンタ誰?」


『……王だが、何か?』


「……そっか。じゃあお休み」


 物静かで無害そうなおっさんだし、無視してさっさと寝るとするか。


『――そう、あれは、ワシが50歳になった頃であった……』


 ちょ、何も聞いてないのに突然語り始めたぞ!?

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