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9/11

竹田風太は休日の過ごし方を間違える。

休日・・・

一般の人は、友達と遊びに行ったり、彼氏または彼女とデートに行ったり、家族で買い物に行ったり、休日は人と一緒に過ごすことが多いだろう。

でも、俺はそんなことしない。ひたすら家でゴロゴロ、または1人で出かけるぐらいだな。まあ、たまにあるとすれば、家族の買い物に付き合わされることぐらいだろう。




そう、今日は休日だ。バイトを始めてからというもの、働きっぱなしで休めていない。

面接に行った時、いつでも行けますと言ったばかりに、学校以外の日は8時間労働だ。コンビニバイトは思いのほかやることが多い。ここに書ききれないほどだ。愚痴はこの辺にして、今日はひたすら寝ます!おやすみ。




「ふーちゃん起きなさい。良太が帰ってきたわよ。」

と、母さんが起こしにきた。

心地よく寝てたのに・・・なんで、今日兄ちゃんが帰ってくんだよ。俺は起き上がり、自分の部屋からリビングに行くと

「風太、久しぶり!元気してたか。」

兄が清潔感ある笑顔で俺を迎えた。

「ま、まあ元気だけど。てか、なんで急に帰ってきたの?」

というと、兄は、俺に近づいてバシバシ俺の腕を叩きながら

「そりゃあ、風太に会いにきたからだよ。学校ちゃんと行ってるのか?」

「ちゃんと行ってるよ。」

というと兄はオォーと驚いていた。

「そんな驚くことじゃないでしょ?」

「いやいや、あんなことがあったのに、風太がしっかり学校通えてるのはすごいよ。」

兄は感心していた。たしかに、そうかも。

兄は当たり前だが不登校になっていない。顔はイケメンで、細マッチョとかいう理想の体型で、友達もたくさんいて、頭もよくて、彼女もいて、神戸で公務員として働いている、いわゆるリア充ってやつだ。正直嫉妬している。なぜ、同じ血が流れているはずなのにここまで違うのだろうか。ほんと自分が嫌になるんだよ、兄ちゃんがいると。





兄が帰ってきて、しばらくが経った。兄は持ってきた荷物を片付けおわり、ソファーに座って深いため息を吐いた。

「いやぁー、ツカレター。」

「あっそ。」

俺が素っ気ない反応をすると、兄は急に立ち上がり

「疲れたから、買い物行くか!風太、一緒に来い。」

「は?」

「いいからついてこいって。」

俺は兄に腕を掴まれ連れていかれた。

「どこ行くんだよ?」

「んー、とりまイオンだな。」

何その考えなし。姫路市民のとりあえずイオン行っとけ感は異常。まあ確かに、ここぐらいしかまともなショッピングモールないしな。俺は兄の車に乗せられイオンへと向かった。





兄は、最近新車を買った。結構高いやつで、親よりいい車を乗ってるから、親父がブチ切れてたよ。でも高いから乗り心地最高だな、寝れるぜ。

俺はその高級車のフワフワした乗り心地に感動していると、兄が

「風太、彼女できたか?」

と聞いては行けない質問をしてくる。

「い、いないよ。いたことすらない。」

というと、兄はケラケラ笑いながら

「そりゃそうだよな。風太にできるわけないよな。」

とバカにしてくる。俺は、腹がたったので言い返そうとしたが、結局負けてしまうので

「そう。できるわけがない。でも、痩せたらできるかな・・・」

「おい、風太。外見が重要なんじゃないぞ、気持ちとコミュ力だ。」

と恋愛マスターが言ってくる。それ言ってるやつ大抵イケメンなんだよなぁ・・・と世の中の不思議に嫌気がさしてしまった。

「兄ちゃんがいうとイラっとする。」

「なんでだよ!本当のことを言ってるぞ。」

イケメンには、俺たちの気持ちなんて一生わからないぜ。てか、わかられてたまるか。




イオンについた。姫路の中ではデカイ方だ。「何か買いに行こうぜ」ってなると大抵「イオンで買うか。」ってなる。あとは中学生になると、まずはチャリでここに行くことになる。やっと校区外に出れる喜びから、みんなそうすることが多かった。やばいやつだと毎日行ってたよ。と姫路あるあるを言いたくなっていると、兄が

「何する?」

「え、決めてないの?」

と逆質問する。すると兄は当たり前じゃんって顔をしていた。かといって俺も別にすることないしなぁーと思ってると

「そうだ!風太の服買おう。」

「は?今ので充分だよ。」

「だめだめ、ダサすぎるよ。」

と今のジャージ姿をバカにしてくる。そんなにダサいの、俺?どんどん自信がなくなっていると

「とりあえず、見に行こう。」

兄に腕を引っ張られ連れていかれた。





しばらくまわったが、兄がうーんと頭を抱えながら、悩んでいた。

「兄ちゃん、どうした?」

「いや、姫路なめてたわ。」

と訳がわからないことを言っている。

「いや、どういうこと?」

「いや、神戸はもっといっぱいあるんだけどなぁー。なんせここは服屋が少なすぎる。」

どうする?みたいな顔でこちらを見てくる。いや、わかんないよ。服なんて親まかせだし・・・俺も一緒に悩んでいると、兄がブツブツ言っている。

「姫路駅周辺の方が良かったか。いやいやあそこもあんまりなかったしなぁー、いっそのこと神戸に行っちゃう方が・・・」

最後のは絶対阻止しないと、1日潰れちゃう。と思い

「もう、いいじゃんここで。ここでできる最高のファッションでいいよ。」

「そう?じゃあそうしよう。」

切り替え早すぎん?兄ちゃん。





「今は、アウトドア系ブランドが流行ってるんだよ。」

と、得意げに兄は言ってくる。

「こんな、山登りしてます感丸出しの服が?」

「よく見るだろ?ほら、これとかさ。」

と掛けてあった服を兄は取り出して見せてくる。

「たしかに、見たことあるかも。」

「だろ?だからこれ買おう。着ていて楽だし。」

見たことあるって言っただけで買うとは言ってないんですけど・・・

「え、俺が買うの?」

「風太・・・兄ちゃんはそんなクソ野郎じゃないんだけどなぁ。」

兄は少し落ち込んでいた。

「買ってくれるんだね。ごめん。」

俺は申し訳なくなった。でも、この服2万するんですけど、高すぎない?






そのあとも、兄はズボンや靴など、ほぼ一式揃えてくれた。全部で5万くらいかな・・・ほんとありがとう、兄ちゃん。俺もいずれ何かお返ししないとな。

「兄ちゃん、服買ってくれてありがとう。」

「いいんだよ。これで、風太に彼女出来たら。」

兄がニコニコ、俺を見ながら言ってくる。

「これでできたらみんな苦労しないよ・・・」

「でも、印象はバッチリだな。」

と兄は手をグッドにしている。ほんと、明るいな兄ちゃん。





俺と兄は、車に乗り、なんでもない会話をしながら、家を目指していた。

「服買ってくれてほんとありがとう。」

と俺は、5万も使ってくれた兄に再び感謝した。兄は笑顔で

「いいってことよ。」

と言った。いい兄を持ったなぁ、俺もいい弟にならないとなぁと考えていると、笑顔だった兄が真面目な顔になり

「それに、今まで兄ちゃんらしいことしてやれなかったし・・・」

そんなことはない。むしろ俺の方が弟らしくなかった。兄に嫉妬して、頼ることなく今までやってきた。

「そんなことない・・・俺の最高の兄ちゃんだよ。」

不器用だが、兄に今までの感謝の気持ちを伝えた。すると兄は少し恥ずかしそうにしながら

「・・・そうか。ありがとう。」

俺たちの伝え方は少し不器用だった。だが、これが兄弟の証拠なのだ。今まで伝えれなかった感謝を伝えることができた。こんな休日もたまにはアリなのかもしれない。そう思ってしまった。

「あ、そうだ!兄ちゃんもうすぐ結婚するからな。」

「は?」

こんなところも兄ちゃんらしいな・・・


















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