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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第三章「ルナリアの故郷」

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第九十四話


 ハルとルナリアは、カナから色々情報を聞いたうえで、馬車を東に向かって走らせていた。


「まず、注意すべきはやはり黒鉄竜のブレスだな」

 火傷、腐食、呪いと特殊な効果を持っているブレスはガードしてもそれだけで、装備に負担がかかってしまい、最悪の場合装備が壊れてしまう可能性もある。


「私は遠距離に徹しようと思います。近くにいた場合、私が足手まといになってしまう可能性が高いですから」

 ルナリアのメインの攻撃はあくまで魔法である。その効果を発揮するためにも後方からの支援をメインにすると言った。


 魔法が封じられていた時は、魔力を攻撃力に変換できる装備を使っていたが、それはあくまで、魔法が使えないことを前提にしていた。

 だから、今回は近距離での危険をおかす必要はないと考え、彼女は魔法攻撃に集中することにした。


「了解だ。俺は、いくつか防御方法を持っているから近距離でもきっといけるはずだ。呪いの解除もできるし、回復魔法も使えるからな」

 ハルは自分の能力も考えて、それがいいと判断する。


「でも、いきなり戦う魔物のレベルが上がった気がしますよね。まさか地竜と戦うことになるとは」

 これまでも結果として強力な敵と戦うことはあったが、今回は最初から地竜が相手だとわかっている。

 しかも、その中でもとりわけやっかいな黒鉄竜が相手となれば、ルナリアも緊張しているようだった。


「俺はサラマンダーと戦ったことがあるけど、あの時は何がなんだかわからなかったから参考にならないんだよな……。とりあえず、飛べなくても竜の名前を冠する魔物はかなり硬い。その中でも黒鉄竜の硬さは群を抜いているという話だ。もちろんそれは鱗だけはなく、爪も牙も同じだからな」

 防御力が高いだけでなく、攻撃力も著しく高い黒鉄竜。ハルは話を聞いたうえであたらめて情報を精査した結果を伝える。


「私だと、近づいただけでやられちゃいそうですね。狐の獣人は別段防御力が高い種族ではないですから……」

 ルナリアはふわふわの尻尾を前に持ってきて撫でながら、前に出られないことを申し訳なさそうにする。


 とっさの判断で魔法による防御行動もあるが、魔法とは集中していないと威力が落ちてしまう。

 ならば、後方から落ち着いて魔法を使ったほうが効率的であると考えられる。


「あぁ、鎧の時やオーガキングの時と同じようにルナリアは援護と、隙をついての攻撃に徹してくれればいい。正直なところ、あれはかなり助かってるよ。俺だけじゃ隙を作り出せないからな」

「っは、はい!」

 戦いの中で、自分は役に立っているのかな? と考えていたルナリアは、自分の戦い方が認められていると知って、嬉しさから声が上ずっていた。


 それからしばらくすると、話に聞いていた草原へと到着する。

 草原は穏やかで、魔物の気配もほとんどなかった。


「ここはだいぶ静かだな……」

「ですね……」

 気持ちのいい風が二人の頬を撫でる。ファロスも目を細め、心地よい風を楽しんでいた。


 安心しきった様子で、二人は風を受けながら馬車を走らせていた。

 これだけ二人が気持ちを緩められるほどに、この草原は静かで魔物の気配もほとんど感じられなかった。


 しばしの安息を感じた二人だったが、草原を抜けたところで野営をすることにする。

 これまでにも何度もしているため、二人は慣れた手つきで準備を始めていく。


 出発が遅かったため、早めに休んで翌朝からしっかり動こうという判断だった。それゆえの早々の就寝だった。


「――ルナリア、久々に家族に会えてよかったな」

 焚火を囲みながらハルが優しく声をかける。


「はい、色々わかったのでよかったです。――伯母さんのことを恨まなくてすみましたから。でも……うーん、やっぱり久々に会ったのでなんか疲れました」

 ルナリアは久しぶりに実家に帰ったことで気疲れしてしまっていた。

 いくら家族と言えど長く離れて暮らしているとどこか緊張してしまう部分もあったようだ。


「ははっ、ずっと俺と二人だったから、たまに会う人と話すのは疲れるのかもな。……それが家族だとしても」

 ハルに言われてルナリアも笑顔になるが、もう既にウトウトしているようだった。

「ルナリア、先に寝ていいぞ。俺は見張りをしておくから……って、もう寝たか」

 そう言っている間にもルナリアは木にもたれかかったまま眠ってしまったので、ハルは毛布をかけてそのまま番をすることとなる。


 夜中になって寝落ちしてしまったことを謝るルナリアと交代し、朝方もう一度交代してから朝食まではハルが担当した。

 日がうっすらと登っているかどうかといった早朝から出発した二人だが、操縦はルナリアが担当することとなった。

 その間、ハルは少しでも身体を休めることにする。


 草原の端を出発してから一時間程度経過したところで岩場に到着する。


「ん……ふわぁあ……到着したか」

「あ、ハルさんおはようございます。とりあえず戦いに巻き込まれないように馬車はこのあたりに置いていきましょうか」

 ちょうど目覚めたハルにふわりと微笑みかけたルナリアは馬車を端に寄せると、御者台から降りてファロスを馬車から解き放っていく。ハルも馬車から降りると、寝ぼけた体を起こすように柔軟運動をしていた。


「ファロス、何かあったらお前だけでも逃げるんだぞ。馬車のことはどうなっても構わない。お前が無事なのが一番だ」

「そうですよ。危険を察知したらすぐに逃げて下さいね?」

 ハルとルナリアから念を押して言われたため、ファロスは素直に頷くことにする。

 二人から大切に思われているのを感じ取ったのもあるだろう。


「さて、それじゃあ俺たちはさっそく黒鉄竜狩りといこうか。確か、他のパーティもいるかもしれないって話だったから邪魔をしないように慎重に進もう」

 他のパーティと小競り合いになってしまうと、魔物との戦い中に邪魔をされる危険性をはらむ。

 互いが互いの邪魔にならないように、かつ目的を達成できるようにうまく立ち回る必要があった。


「わかりました。ゆっくり行きましょう」

 ルナリアもそれをわかっているため、ハルの提案に賛成し、笑顔で頷く。


 切り立った大きな岩がゴロゴロと転がる岩場を耳を澄ましながら二人は進んでいく。

 遠くから魔法の爆発音などが聞こえてきて、どこかで誰かが戦っているのがわかった。


「……やっぱりいるみたいだな。俺たちも早く獲物を探さないと……」

 すると、ハルたちの前方の岩陰から黒鉄竜の幼体が姿を現した。


*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1



加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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