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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第三章「ルナリアの故郷」

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第八十五話


 ひとまず二人の報告を受けて、森の再調査&討伐部隊を出すこととなった冒険者ギルド。

 二度手間だとも思われたが、ハルたちの手によって恐らく原因であろうものが取り除かれたことから、強力な魔物の討伐のための部隊が派遣された。


 幸い、湖の戦いに参加した冒険者の多くがスイフィールに滞在していたたため、必要な人数はすぐにそろうこととなった。


 だがそこにはハルとルナリアの姿はない。


 立て続けに依頼を受けた二人はゆっくりと休むことを決めて、今回の依頼への参加は見送ることにしていた。

 それまで頑張った分、二人はこの町での休暇を楽しむことにしていた。


「いやあ、肉料理も美味くて、期待してた魚料理も美味かった時点でこうなるんじゃないかと思ってたけど……」

「はい! とてもおいしいですっ!」

 頬をとろけさせた二人が舌鼓を打っていたのは、野菜料理だった。


「そんなに野菜好きじゃないんだけど、柔らかく煮込まれててすごく美味い!」

「野菜自体のおいしさがすごく引き出されていますね! スープの味付けはシンプルですけど、じっくり煮込んだことで出汁が出ていて、とても美味しいです!」

 口々に感想を言いながらも二人の手は止まらずに、皿の上の料理が消えていく。


「こっちのパンもヤバいね。外はカリッとしていて、中はふわふわ。スープにつけても美味いし、そのまま食べても美味い!」

 自然と嬉しそうに笑ったハルはパンを食べ、スープを飲み、スープの具を食べて、パンを食べてと手が全く止まらないようだった。


「ふふっ、ハルさんの食べ方豪快ですね」

 ハルがガツガツ食べているのを見て、どこか幸せな気持ちになったルナリアが笑って見せる。


「そういうルナリアこそ、それ」

 ハルのことを微笑ましく見ていたルナリアは自然な流れでパンが乗っていた籠を店員に渡して、お代わりを注文していた。

「えっと、いや、これは、その……あ、二人分お代わりをお願いします」

 無意識に注文をしてしまっていた自分に気づいたルナリアは動揺しながら、パンの追加をしていく。


「ふふっ――だって美味しいじゃないですか」

 なにか吹っ切れたようににっこりと笑ったルナリア。それを見たハルも自然と笑顔になる。


「まあ、わかる。美味いよな!」

「ですよね!」

 どの料理をとってもレベルが高いため、二人は苦しくなるまで食事を食べることとなった。





「……食いすぎたが、美味かった」

「美味し、かったです……」

 まだ苦しいお腹をさすりながら二人はなんとか店をでる。美味しいものをたらふく食べられた満足感のほうが強い。


「ふう、収まりました」

「早い!」

 少し歩いただけだったが、ルナリアは消化が終わったらしく、今も腹をさすっているハルは思わず勢いよく突っ込んでしまった。


「ふふっ、獣人は消化能力が高いのですよ!」

 ハルは魔物などの特性に関しては勤勉だったが、種族特性の、それも消化能力などの地味な部分は調べていなかった。


「それは……ずるい」

 自分が苦しんでいるのに、ルナリアばかり余裕の表情であるため、思わずハルからそんな言葉が漏れた。


「もう、仕方ないですねえ。少し休みましょう。ほら、あそこに公園があるのであそこに行きましょうか」

 ちょっと不満そうなハルが子供っぽく見えてつい微笑みが漏れたルナリアがハルの身体を支えながら公園へと移動する。


 木々が綺麗に立ち並ぶ公園の中央には大きな噴水があり、周りには侵入可能な芝生のエリアがあった。

 ハルたちのほかにものんびりと過ごしている人たちや体を動かしている人たちがいた。


「ここなら寝っ転がっても怒られませんよ」

「あぁ――よっと……これは気持ちいいな」

 芝生に生えている草はハルが思っていた以上にフカフカで、身体から力を抜いて身を預けると幾分かお腹も楽なような気がしてくる。

 

 ハルの隣にころんとルナリアも転がった。


「風も気持ちいいですね……」

 そよそよと、横になっている二人の頬を優しい風が撫でていく。

 二人はウトウトと芝生の上で昼寝をしてしまうことになる。



 ――そんな自由気ままなのんびりとした日々を送ること三日。



「森の安全が確保できたぞー!」

 そんな一報がハルたちの耳にも届いた。

 念のため冒険者ギルドで状況を確認すると、調査と討伐に向かった冒険者たちは一人も欠けることなく、安全だと言えるレベルになるまで魔物の討伐を行ってきたとのことだった。


 休暇を楽しむハルたちを見かけた冒険者たちが、冗談交じりに二人も参加してくれよと言ってきたが、二人が事前調査を行ったことは伝えられていたため、みんな本気ではなかった。


 だがその中で本気でハルとルナリアに話しかけてきた人物が二人いる。

 ギルドマスター、そして受付嬢のランの二人だった。彼女らはハルたちの実力を知っているため、言いたいことがあった。


「――ハルさん、ルナリアさん……」

「――ハル、ルナリア……」

 鬼気迫る表情で二人がハルたちの名前を呼ぶ。


「「残ってちょうだい(ください))!!」」

 実力を見込んでくれたがゆえの言葉だったが、ハルとルナリアは困った表情で首を横に振る。


「この街は好きだよ。飯も美味いし、人も悪くない」

「ですね。とてもいい街です」

「っ……だったら!」

 へにゃりと困ったように笑いながらハルとルナリアはこの街で過ごした日々を思い出す。

 スイフィールを気に入ったというような言葉が聞けて、思わずすがるギルドマスター。


「だけど悪いな、俺たちにはいかなきゃならない場所があるんだよ」

「ごめんなさいです……」

 しかし、二人にはルナリアの故郷に向かうという目的があるためこの街にはとどまれない。

 その思いを込めて深く頭を下げる二人に、ギルドマスターたちもこれ以上は言うまいと引き下がった。




 出発前に二人は、もう一度あの最初に訪れたレストランによって食事を楽しむ。

 ポニーテールのまぶしい店員の彼女にこれから旅立つことを話すと、二人にお弁当を用意してくれた。

 一つは昼頃に食べられるように、もう一つは夜に食べても大丈夫なように傷みにくいものを、さらに二人がマジックバッグを持っていることを話すと温かいスープを漏れにくい容器にいれてくれた。


 こうして、二人はしばらく滞在したスイフィールをあとにする……。



*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1


NEW:風魔法1(経験値)、ブレス(炎)経験値、


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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