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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第三章「ルナリアの故郷」

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第八十四話


 あれからファロスと合流したハルとルナリア、二人の姿はスイフィールのギルドマスタールームにあった。


「……それで、一体何があったんだい?」

 腕組をして静かな声音でギルドマスターが二人に問いかける。二人が森の調査に行ったのは受付嬢のランから報告が上がっていた。


「まずは、この報告書を提出します」

 ハルの目配せでルナリアが何枚かの紙をギルドマスターへ提出する。

 ギルドマスターはすぐに数枚めくり、手早く内容を確認している。


「書いてあるのは、俺たちが直接確認することができた魔物。それと、そこから想定されるおおよその数が書いてある」

 本来の依頼である、森の魔物についての調査。それが、この報告書に記載されていた。

 それは調べに出てからの期間からは想像できないほど質の高いものだった。


「ふむふむ、なるほど……こんなにも生息する魔物が変異してたのかい。しかも、こんなにも多くの魔物が……」

 読み進めていくうちにじわりと焦りをにじませたギルドマスターは報告書を読みながら、ぽつりと感想をもらしていく。


「見つからないように慎重に動いた中での調査結果だけど、大きく間違ってはいないと思う。ただ、総数に関してだけは、予想になるから間違いもあるかもしれない」

 ハルが念のためにと補足をするが、これ以上の調査を行える人物は他にいないとギルドマスターは内心思っていた。


「――しかしいい報告書だ。一体いつの間にこれだけのものを?」

「帰りの馬車の中でだよ。操縦はルナリアに任せて、俺に書く時間を作らせてもらったんだ。……なっ?」

 急に話を振られたルナリアは、慌てた様子でうなづいていた。


「は、はい。少しはお役に立てたかと」

 報告に関してはハルが行うと決まっていたため、急に話をふられたことに驚いてしまっていた。

 彼女はあの時逃げられたオークキングのことを考えていたようだった。


「ふむふむ、やっぱりいいコンビみたいだねえ。でも、普通冒険者といったら、もっと大人数でパーティを組むもんだけどねえ。下手に増えたらうまく動けないというのもわかるが、安全を考えたらもう少し人数増やしたらどうだい?」

 いつか来るだろうとは思っていたその提案に二人は冴えない表情になっている。


「あー、まあ、そのうちな」

「そう、ですね……なかなか、うん」

 普段の姿とは違ったどこかハッキリしない物言いに、ギルドマスターも懐疑的な表情になる。


「……まあ、それはいいかい。それよりも、この報告書だけじゃないんだってね。聞かせてもらおうか」

 これが本題であるため、ギルドマスターも気持ちを切り替えて真剣な表情になる。


「あぁ、それじゃあ説明をさせてもらう。俺たちはいったん森に行って、飛行タイプの魔物が多かったから一旦退避した」

 ハルは、森に向かった際の自分たちの行動を順を追って話していく。



 最初に森に入った時に、空気中の魔力が濃くなっていることに気づいたこと。

 そのため、ファロスと馬車を置いて、再度森に向かったこと。その時には、街道を通らずに森の中を進んだこと。


 そして、森の中央にはその魔力を噴出している物があったこと。



「そんなものが……」

「あぁ、あれは俺たちが湖の問題を解決しに行った時に戦った中にいたのとを同種のやつだ。湖の時は毒を噴射していたが、森では魔力を噴出していた。それに、あいつは魔物じゃなく無機物だった」

 ハルの説明にギルドマスターが目を見開いた。


「そんな物がいるのかい!? そ、それで、そいつは今もいるのかい?」

 ハルたちが倒してくれていれば御の字、そうでなければすぐに討伐隊を編成しないといけない。

 机をたたくようにして食い入るように立ち上がったギルドマスターの次の行動は、ハルの言葉にかかっていた。


「――ある意味でいない」

 しかし、返ってきた言葉はハッキリとしないものであったため、再びギルドマスターは表情を曇らせる。


「ハルさん、それじゃわからないと思います」

 結果だけを離したハルを困ったような笑みを浮かべたルナリアがたしなめる。


「む、そうだな……それじゃあ、あらためて」

 ハルは再び順序立てて説明をしていく。


「まず、俺は魔力を噴出していた魔物もどきをたたっ斬ろうとしたんだ。しかし、それは大きな剣によって防がれてしまった」

「何かいたのかい?」

「――オーガキング」

 剣を使う何者か。ギルドマスターは、スケルトン、リビングアーマー、冒険者などを想像していた。


「オ、オーガキングうううう!?」

 しかし、オーガキングなどという強力な魔物の名前が出てきたため驚いて、思わず大声をあげてしまう。

 その声は部屋の外にも聞こえるほどに大きな声だった。


「あぁ、そうだ。やつは知能も優れていて、俺たちに話しかけてきた。どうやら誰かの命令であの森にやってきて、あの魔力を噴出するやつを持ってきたらしい。その誰かまではわからなかったけどな」

 強力な魔物の名前をあっさりと口にするハルにギルドマスターは言葉が出ない。


「それで、ルナリアとの連携でなんとかダメージを与えることはできたんだけど、あと少しというところで逃がしてしまった。何かを使って、急に目の前からいなくなった。転移用のアイテムでもあるのか?」

 ハルはあの戦いを思い出しながら語っていく。


「あれはビックリしましたね。緑鬼も一緒に消えちゃいましたから」

 ルナリアも、同じようにあの時のことを思い出して話している。


「はー……いやいや、一体どこから突っ込んでいいのかわからないよ……」

 目元をおさえ、力が抜けたようにぼすんと椅子に座り込んだギルドマスターの反応に、二人は首をかしげる。


「オーガキングと戦った? しかも、あと少しで倒せた? しかも倒せなかった理由が、転移用のアイテムを使われたから?」

 この言葉に二人はうなづくが、なんで同じことをもう一度言っているんだろうか? という思いが強い。

 きょとんとした表情でそろって首をかしげる二人にギルドマスターはあきれたような表情になる。


「かああ! ――あんたたちは一体何者なんだい? 湖の一件で大活躍したのは知ってるけど、そんなに強かったのかい?」

 この問いかけに二人は一度目を合わせた後、再び首をかしげる。


「……俺たちって、そんなに強いのか?」

「うーん、どうなんでしょうか? ……あっ! 私はわからないですけど、ハルさんは強いと思いますよ!」

「いやいや、ルナリアがいなかったらさすがにオーガキングをあそこまで追い詰められなかっただろ?」

「いえいえ、ハルさんが強いから!」

 自分のことをわきに置いて互いを誉めあう二人を見て、頭が痛くなったギルドマスターは大きなため息をついていた。



*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1


NEW:風魔法1(経験値)、ブレス(炎)経験値、


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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