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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第五章「中央大森林」

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第百四十話



 すぐに話をしようとした三人だったが、慌ただしく逃げ出してきたため、色んな汚れを落とそうということになった。

 ひとまずハルが見張りをして二人は水浴びをする。


「ふふっ、エミリさんの髪は綺麗ですね。お手入れする時間がとれてよかったです」

「く、くすぐったいの……」

 慣れない刺激にエミリは身をよじって逃げようとするが、ルナリアがしっかりと捕まえて髪を洗っている。


「女の子なんだから身だしなみは大事です。せっかく綺麗な髪をしているのだから、手入れをしましょうね」

「うぅ、人に髪を洗われるの苦手なの……」

 ルナリアの押しに大人しくなったエミリは抵抗をやめるが、こらえるように目をギュッとつぶっている。


「ふふっ、少し我慢して下さい。良ければエミリさんは私の髪の毛を洗ってくれると嬉しいです」

「っ……! 洗いっこ! うん、やるの!」

 ルナリアの提案に機嫌を良くしたエミリは素直に身を任せることにする。


 そして、洗い終えると交代してエミリがルナリアの髪の毛を洗う。

「うん、気持ちいいです。エミリさんは髪を洗うのが上手ですね」

「そ、そうなの? ちょっと嬉しいかも」

 褒められたエミリは頬を赤くしながらルナリアの髪を一生懸命に洗っていく。


「えぇ、とても上手です。ありがとうございます」

 ルナリアはお世辞ではなく、心からの言葉をかける。

「えへへっ」

 それはエミリにも伝わっていて、自然と笑顔になっていた。





 一方でハルは周囲を警戒しながら、食事の準備をしていた。


「食事はもっと落ち着いてとりたかったけど、まあ休憩できるだけありがたいか」

 ハルはマジックバッグに入っていた素材に、森で採れたキノコなどを加えて煮込み料理を作っていた。


 キノコに関する知識は、魔物などの情報を集める合間に気分転換に読んだ本に載っていた。

「食べられるキノコが多くてよかった。それに、デザートにはこれがある」

 手にしたのは、みずみずしく甘いことで有名なパイナの実である。


 エルフの生息域にあると噂されていたそれを、たまたまではあったがハルは見つけることができた。

 二人が水浴びに行っている間に見つけたもので、秘密にするためにすぐにバッグにしまう。


「それにしても長いな……かといって、声をかけにいくわけにもいかないだろうからなあ」

 加えて大声で呼ぶわけにもいかないため、ハルはやはり二人が戻ってくるのをただ待つことにする。


「あ、ハルさん。ありがとうございました。料理までしてくれて、代わりますね!」

「ハル、ありがとう」

 すると、二人が髪の毛を拭きながら戻ってきた。


「あぁ、じゃあ今度は俺が水浴びに行くとするか。その煮込みはたまにかき混ぜてくれると助かる」

「了解しました」

「任せてなの」

 返事を聞いたハルは交代で水浴びに向かうことにする。


「ハルすごいの。男の人なのに料理が上手なの」

 鍋からは美味しそうな匂いが漂ってくるため、ふにゃりと柔らかい表情をしたエミリがそんな感想を持つ。


「そうですねえ、ハルさんは色々苦労していましたから。料理技術も必要に迫られて覚えたことらしいですよ。今は、その技術を私たちにふるまってくれてますけどね。エミリさん、鍋の中身が焦げ付かないようにゆっくりかき混ぜてもらえますか?」

「うん! ルナリアは何をするの?」

 ルナリアの頼みに即答するエミリだったが、別の作業にうつろうとしているルナリアに興味を持っていた。


「まずは火をおこします。そちらは、ハルさんの料理に使っていますからね」

 そういうと、ルナリアはハルが集めておいた枝をいくらかもらって焚火を作る。

 火おこしは魔法が使えるため、すぐに行える。


「一品だけでなく、他にも何か用意できればと思いまして……これを、料理したいと思います!」

 そう言って、ルナリアがバッグから取り出したのはボアの肉だった。

 時間停止機能がついているマジックバッグゆえに、以前狩りをして手に入れたそれがしっかりと保存できている。


「お肉?」

「はい、ボアのお肉です。エミリさんには色々な栄養をとってもらいたいですし、ハルさんもきっとお腹空いているでしょうからボリュームのあるものを食べてもらいたいです」

 そう言うと、ルナリアは肉を切っていく。まな板もバッグに入っていた。


「これを、フライパンに……」

 そして、油をひいていないフライパンに肉をいれる。ただし、脂身の部分から。


「こうやって、脂を先にいれることでフライパンにはりつかないんですよ。それに、美味しくなるんです!」

 十分油が出たところで、メインとなる肉を乗せて焼いていく。

 ルナリアが作っているのはシンプルにボアの肉を使ったステーキだった。


 焼き具合はミディアム。

 上等な肉であるため柔らかく、ルナリアはそれをカットして皿の上に盛っていく。

 三枚分のカットステーキを作ると、今度はフライパンに残った肉汁と油を使ってソースを作っていく。


 香辛料をいくらか入れて、少しだけ煮詰めることでできたソースを小さなカップにいれて三人分用意する。


「エミリさん、ゆっくりでいいのでかき混ぜて下さいね」

 ルナリアは料理をじっと見ているエミリを注意する。ルナリアの作るステーキを見て、エミリは口の端からよだれが垂れそうになっていた。


「はっ、ご、ごめんなさい。ゆっくり、ゆっくりかき混ぜる、なの」

 自分の仕事を忘れていたため、エミリは慌てて鍋の管理に戻る。


「ふふっ、いいんですよ。お肉の香りは美味しそうですもの。そちらの料理ももう少しで完成ですね」

 ハルが先に出しておいていくれたテーブルに、ルナリアはステーキとソースを載せる。そして、今度は鍋の様子を確認する。


「うん、丁度いいですね。こちらの火を弱くして、ステーキのほうは火を止めましょう」

 そうして、食卓が豪華になっていく。


「パンもありますよ」

 焼きたてのパンが食べられるのも、時間停止機能付きマジックバッグのおかげだった。


「おぉ、これはなかなか豪勢になったな」

 全ての料理の用意ができたところで、丁度ハルが戻ってきた。


「お帰りなさい」

「お帰り」

 まるで家族のように迎えてくれたため、胸が温かくなったハルは自然と笑顔になっていた。



*****************


名前:ハル

性別:男

レベル:4

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷性強化5、自己再生

     火魔法4、爆発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

     骨強化5、魔力吸収3、

     剣術5、斧術3、槍術1、弓術1、短剣1

     開錠1、盗み1、精霊契約

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************


名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、


     水魔法3、光魔法4、闇魔法3

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************


名前:エミリ

性別:女

レベル:-

ギフト:体術2、格闘術2、魔闘術1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン


*****************



お読みいただきありがとうございます。

ブクマ・評価ポイントありがとうございます。



書籍が3月22日に発売となります!


出版社:ホビージャパン

レーベル:HJノベルス

著者:かたなかじ

イラストレーター:teffishさん


よろしくお願いします!



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