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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第五章「中央大森林」

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第百三十六話


 虹鳥の精霊は高く飛び立つと山の反対側、中央大森林がある側のふもとへとハルたちを乗せていってくれた。

 ハルたちをおろすとすぐに飛び立っていってしまったため、ろくに挨拶もできなかったが、本来あまり人と関りを持たない精霊とはそういうものなのだろうと考え、目的の方向へと向かって馬車に乗る。


「しかし、まさか馬車まで一緒に乗せて移動してくれるとは思わなかったな」

 手綱を握るハルは今でもこうやって馬車に乗って移動できていることをどこか不思議に思っていた。


「そうですねえ。あんなに大きくなれるとは思いもしませんでした」

 ひょっこりと顔を出したルナリアもハルの意見に同意する。

 馬だけでなく馬車本体もいれるとかなりのサイズと重量になるため、それをいともたやすくふもとまで運んだ虹鳥の精霊のことをすごいなと感心していた。


「――ハル、ルナリア」

 そんなことを話していると、エミリが二人に話しかけてくる。

 

「なんだ?」

「なんでしょうか?」

 ハルは手綱を握ったまま耳を傾け、ルナリアは向かいに座っているため、そのままエミリと向かい合う。


「ありがと、なの」

「えっと……なにが?」

「なんのことでしょうか?」

 急に礼を言われたため、ハルもルナリアも首を傾げてしまう。思い当たることがないためだった。


「危険な目に合わせたり、我がままにつき合わせたり、一緒に中央大森林に行ってくれたり、全部全部ありがとうなの」

 いつになく真剣な表情のエミリが感謝しているという気持ちは改めてこうして言葉にせずとも二人にちゃんと伝わっている。


 しかし、なぜこのタイミングで言うのかハルもルナリアも理解できずに困惑してしまった。


「……エミリ、なにかあったのか?」

「何もないの。ただ、二人にはとてもお世話になったの。お金も出してもらったし……」

 少し俯いたエミリはハルの問いかけに返事をしながら、自らが装備しているエルフェニウムプレートを優しく撫でる。


「エミリさん、なにか隠していることでもあるのですか……?」

「何もないの、ただありがとうって言いたかっただけなの」

 なにか変な様子のエミリにルナリアは優しく声をかけるが、彼女は表情を変えずにただただ小さく首を横に振るだけだった。


 何かがある――ハルもルナリアも感じていたが、ほかならぬエミリ自身が話そうとしないのであれば、これ以上詮索するつもりはなく、二人は互いに目を合わせるとただ頷いて意思確認するだけにとどめる。


 穏やかな馬車旅は順調にすすみ、中央大森林の手前の村に立ち寄ることとなる。


「今日はここで休憩をしよう。宿がとれるといいんだけど……」

 ハルは村の入り口あたりで馬車を停めて村の中を見渡す。


「おやおや、あの冬山を越えて来なさったのですかな?」

 そんなハルたちを見つけた村人が声をかけてくる。

 見た目は若いが、年寄りのような口調で話す男性の耳は尖っていた。


(エルフ……)


「あぁ、疲れたからこの村で宿に泊まれればと思ったんだが……」

 エルフであることに内心で驚きつつも、平静を装って宿についての質問をする。


「あー、申し訳ない。この村には一軒だけ宿があるのですが、とても小さく、ちょうど今は旅人が宿泊してベッドの空きがないのです」

 申し訳なさそうに頭を下げるエルフの男性。


「そうか、だったら先に進むか……」

「いえいえ、今から出発してはすぐに夜になってしまいます。夜の移動は危険ですし、野宿も危ない。広くない家ですがよろしければうちに泊まって下さい」

 ハルの言葉を聞いて、優しく微笑んだエルフの男が提案をしてくれる。


「いや、申し出はありがたいが……なあ?」

「はい、ご迷惑をおかけしてしまいます」

 ハルとルナリアが断る方向で話を進める。村でいきなり会った人に世話になるのは少し気が引けたようだ。


「いやいや、お気になさらず。狭い家なので大したもてなしはできませんがどうぞ……ささ、こちらです。馬車も連れてきて頂いて大丈夫ですよ」

 話を進めるとすたすたと家の方向に歩いていってしまうため、ハルたちも仕方なくあとをついていく。


 泊めてくれるという申し出はありがたいため、頑なに断ることもないかと考えも変わっていた。

 山での疲労もあったため、屋根のある場所で休めるというのは身体面から見ても助かることであった。


 村の中を進んでいくと何人かの村人から視線を向けられる。


「なんだ?」

「なにか変ですね……」

 その視線にハルとルナリアは気づき、確認しようと顔を向けるとさっと相手が視線を逸らす。


「どうかなさいましたか?」

 エルフの男性が振り返ってハルたちに質問するが、まさか村人が怪しいとはいえず、何もないとただただ首を振る。


「そうですか、それよりもうちに着きましたよ。何もない家ですがどうぞおくつろぎ下さい」

 案内された先は、狭い、何もないという割に大きく、村の中でも一番大きいのではないかと思える屋敷だった。


「こんな立派な屋敷に……あんたはいったい?」

「あぁ、申し遅れました。私の名前はディアディスと申します。この村の村長をやらせてもらっています」

 まさか自ら宿の提供を申し出てくれたのが村長とは思わず、ハルもルナリアも驚いてしまう。

 ここまで無言を貫いていたエミリですら目を大きく見開いていた。


「馬車はそちらに停めていただいて、みなさんは中へどうぞ」

 ハルが屋根つきの馬車置き場に移動させてから、三人そろって家の中へと入っていく。


 家の中に入った瞬間、エミリが一瞬だけビクリと震えた。

 それに気づいたハルは視線をチラリと向ける。ディアディスに気づかれないようにエミリが小さくハルに頷いて返す。


「こちらへどうぞ、食事の用意をしますので休んでいて下さい」

「ありがとう」

「ありがとうございます」

 ディアディスの言葉にハルとルナリアは礼を言い、エミリはぺこりと頭を下げる。


「ルナリア、声が外に漏れないように俺とエミリだけを包めるか?」

「えっ? は、はい、できます」

「頼む」

 ハルの短い言葉と表情から大事なことだと気づいたルナリアはすぐに障壁を張って声が漏れないようにする。


 ルナリアだけ外に出したのは、ディアディスが声をかけて来た時のための保険だった。


「――エミリ、これで声は外に聞こえない。何があった?」

 その問いかけに不安そうな表情で顔を上げたエミリは少し迷った様子を見せたが、小さく頷き、口を開いていく。


*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:4

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁4、剛腕3、統率1

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化6、筋力強化6、敏捷性強化5、自己再生

     火魔法4、爆発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

     骨強化5、魔力吸収3、

     剣術5、斧術3、槍術1、弓術1、短剣1

     開錠1、盗み1、精霊契約


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

     水魔法3、光魔法4、闇魔法3

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************



*****************

名前:エミリ

性別:女

レベル:-

ギフト:体術2、格闘術2、魔闘術1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

*****************


お読みいただきありがとうございます。

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