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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第五章「中央大森林」

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第百三十三話


「俺たちのことがわかるのか?」

 ハルが質問する。

 もちろん面識はないため、ハルたちのギフトのことや加護のことを知っているのか? という意図のもとの質問であり、虹鳥の精霊もそれを理解している。


『うむ、こう見えて数千年の時を生きていてな。特別な力を感じ取る能力がいつの間にか強くなったのだよ。人族の汝は二つとない特別なギフトを持っているようだな』

 その言葉にハルは目を見開いて驚く。仲間以外では女神しか知ることのないハルのギフト『成長』。

 具体的な言葉があったわけではないが、虹鳥の精霊は確実にわかっているようである。


『獣人の汝はこれまたすごい種類の魔法を……加護はそちらの人族と同じか』

 珍しいものを見るような眼差しの虹鳥の精霊にこれまた言い当てられ、ルナリアは口に手をあてて驚いている。


『そちらのエルフの汝は……これは面白い。こんなエルフは初めてみた。しかも魔眼持ちとはな』

 ハルとルナリアに寄り添うようにじっと構えているエミリの表情は変わらないが、虹鳥の精霊から視線をそらしている。


『はっはっは、種族も違う、能力も異なる、そんな三人が揃ってこの山にやってくる。数奇な運命の持ち主でうちの弟子を倒すとあって、実力も確か! これは実に面白い!』

 虹鳥は順番にハルたちを見て大笑いしている。


 自分の弟子が負けたことは露ほども気にしておらず、それよりも三人に興味津々といった様子だった。


『うぅ、ばれてる……』

 当の弟子は自分がハルたちに負けたことがばれていると、項垂れている。


「それで、その先生さんはどうするんだ? 俺たちと戦うつもりがないとは言っていたが……」

 ハルはいまだ警戒心を解いておらず、いつでも戦える準備をしている。


『ふむ、そのとおりだ。ゆえに、剣から手をどけてもらえるとありがたい。弟子がかけた迷惑の詫びもしたいものでな』

 そういうと虹鳥は徐々にサイズが小さくなり、ダチョウくらいのサイズに変化する。

 小さくなってもその身体が持つ輝きは保たれており、より間近になったことで皆が見入っていた。


「……小さくなった!?」

「すごいです!」

「可愛いの……」

 ハル、ルナリア、エミリがそれぞれの反応を示す。


『まずは、獣人の汝。私の羽を八枚引き抜くのだ』

「えぇっ!? は、羽をですか? えっと、こんな美しい羽根を……いいんですか? 痛いんじゃ……」

 最初に指名されたルナリアは生きている鳥の羽を引き抜くという初めての行為に戸惑っている。


『良いのだ。それに痛くもかゆくもないから遠慮するでない』

「わ、わかりました」

 痛みがないときいて、覚悟を決めたルナリアが恐る恐る虹鳥の精霊に近づいてそっと八枚の羽根を引き抜く。抵抗なくすっと抜けたため、ルナリアはほっとする。

 綺麗に眩く輝く羽が彼女の手の上に乗っている。


「そ、それで、この羽をどうすればいいんですか?」

『うむ、飲み込むのだ』

「飲み……!?」

 思ってもみなかった提案にルナリアは目を白黒させている。


『なあに、私の羽は特殊なものだから口にいれた瞬間に分解されるはずだ』

 そう言われても、とルナリアは不安そうな表情でハルに視線を送る。


 ハルは大丈夫だと大きく頷いて返す。

 ここまでのやりとりの中でハルは虹鳥の精霊の目をずっと見ていたが、嘘のない目をしていると感じ取っていた。


「うぅ、わ、わかりました――ええい!」

 気合のこもった声を出すと、羽を押し込むように口の中へ運ぶ。

 それも一枚一枚ではなく、八枚全部を一度に。


「あ、あれ? 本当になくなりました!!」

 口の中にいれた瞬間、霧散してルナリアの身体に吸収されていった。


『私の羽は魔力でできている。そして、今抜かれた羽には特に強い力を込めておいた。精霊の羽などは、精霊側が了承していれば能力強化の媒体になる。火の精霊であれば、火の力が強くなるのだ』

 それを聞いて、ハルとルナリアが首を傾げる。


((じゃあ、虹鳥の場合は?))


『ふっふっふ、面白いように同じ顔をしているな。私の属性は全てだ。長い年月を生きる中で多くの魔素を吸収した結果全ての魔力を内包するようになった。つまり……』

 虹鳥の精霊がそこまで言ったところで、ルナリアは水鏡で自分の能力を確認する。



*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

     水魔法3、光魔法4、闇魔法3

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


 全てのスキルが2ランクずつ底上げされていた。


「えっ? ……えええええぇぇぇええええぇえええぇ!!」

 ハルと出会ったここに来るまでの中で、最も大きいと思える声をルナリアが出している。

 その反応にハルも慌てて鑑定を使ってルナリアの能力を確認する。


 ハルは声こそ出さなかったが、驚いているのは変わらなかった。

 スキルのレベルが上がるというのは並大抵のことではない。それが全て二も一気に上がったとなるとその驚きは計り知れない。


『ふふっ、良い反応だな。虹鳥の精霊は世界広しといえでも私しかいないから、それだけに効果も高い』

「あ、えっと、ありがとうございます! これなら、すごく戦えます!」

 ハルたちの反応を楽しむように微笑みながら虹鳥は自慢げに胸を張る。

 あわあわと驚きながらも感謝を口にするルナリアは、何度も自分の能力を確認していた。


「精霊自体が珍しいのに、世界に唯一の精霊にも会えたとは……ある意味恐ろしい体験だ」

 ハルはやや呆然とした状態で虹鳥を見ていた。


『次は人族の汝の番だ。少し近くに寄ってきてくれ』

 ルナリアがとんでもない結果を得たため、ハルは内心期待に胸を膨らませながらゆっくりと虹鳥の精霊の傍へと近づいていく。


『お主のギフトは、鍛えるか相手を殺さないと発揮されないようだな。さすがに殺されてやるわけにはいかないから能力だけを分け与えよう。もう少し近くに――そう、そこで頭を軽く下げてくれ』

 何を言っているのかよくわからなかったが、ハルは素直に近寄って頭を下げる。


*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁2、剛腕1、統率1

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化3、自己再生

     火魔法4、爆発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術5、斧術3、槍術1、弓術1、短剣1

     開錠1、盗み1、


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法4、氷魔法4、風魔法4、土魔法5、雷魔法4、

     水魔法3、光魔法4、闇魔法3

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:エミリ

性別:女

レベル:-

ギフト:体術2、格闘術2、魔闘術1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

*****************


お読みいただきありがとうございます。

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