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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第四章「人獣王都へ」

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第百二十四話


 しばらくして、オークションの開始時間がもうすぐに迫っていた。

 実施されるのは建物の中央に位置するホールであり、席は広くとられ、そこに多くの参加者が集まってきている。


「これはすごいな。こんなに人が来てたのか……いったいどこにいたんだ?」

 驚きに満ちた表情でハルは思わずそうこぼす。

 ハルたちがここにやってくるまでに、ホールや通路に人が多くいたのは確認していたが、ホールに収容されている人数はそれを遥かに超えていた。


「ふふっ、私も初めてここにやって来た時には同じことを思いました。どうやら、この間我々が借りた部屋よりも多くの部屋があって、もっと豪華な部屋に貴族の方々がいらっしゃるようです。それが、このホールの人数につながるのかと」

 クスクスと楽し気に微笑むチェイサーのそれを聞いてハルたちは納得する。


 しかし、これだけの人数がオークションに参加するとなると、自分たちの希望の品が落札できるのかと不安になる。


「ほらほら、お三方暗い表情をしてはダメです。今からその調子では、オークションのちょっとした結果に左右されてしまいますよ?」

 ハルもルナリアもエミリも不安が顔に出てしまっていたため、茶目っ気にチェイサーがそれを指摘する。


「あぁ、こういうのを気をつけろってことだな。反対に喜んでも危険ってことだ、気をつけよう」

「はい……」

「うん……」

 ハルの言葉に、ルナリアもエミリも神妙な面持ちで頷いていた。


 そしてあらかじめチェイサーが確保しておいてくれていた席に四人は腰かけた。

 そこは会場が見渡せる程よい位置であり、ハルたちは周囲にそれとなく気をやりながらオークションが始まるのを静かに待っている。


「さあ、そろそろ始まりますよ。みなさん、落ち着いてリラックスしていきましょう」

 チェイサーが前を見るよう促すと、ステージ上に司会の姿があり、周囲の客たちが拍手で出迎える。


『――会場にお集まりの皆様、お待たせしました。これよりオークションを開始させて頂きます』

 静かながら響き渡る司会の言葉に会場中が盛り上がりを表すように一層拍手が強くなる。


『申し遅れましたが私、今回司会進行を務めさせて頂きますトークと申します。よろしくお願いします』

 ちょうど拍手が落ち着いたタイミングでトークが自己紹介がてらお辞儀をする。

 彼が今回の流れの全てを握っているといっても過言ではなく、トークは何度も司会を務めているので信頼も厚かった。


『早速ですが、最初の品物ロットナンバー1からまいります――岩竜の卵! これは……』

 トークによる商品の説明が始まり、それが終わるとオークション開始となる。

 

 岩竜の卵はトップバッターにもってこられる作品なだけあり、人気商品のため次々に札があがり、値段が吊り上がっていく。


 この商品には入札するつもりがないため、ハルたちは完全に傍観者側に回っているが、会場の熱量や次々に上がる値段を聞いていてその空気感に興奮していることに気づく。

 しかし、チェイサーの言葉を思い出して、三人は努めて冷静でいられるように顔を引き締める。


「はい、それでいいと思います。――さあ、次の商品にいきますよ」

 笑顔のチェイサーの言うとおり、前の品物は早々に落札者が決まり、次のものの説明と入札が始まる。


 次々に品物はされていくなか、ついにその時はやってきた。


「俺たちの出品物の番だ……」

 ハルたちが出したのは、ベヒーモスの素材。

 凶悪なモンスターであり、討伐するのは難しく、討伐できたとしても大人数での総攻撃でもなければ倒せず素材に傷がついているものが多い。


 そんな中にあってハルが持ちこんだ素材は、どれも傷がほとんどなく綺麗な状態のものばかりである。

 それも当然、倒したのはあのゼンラインであり、倒し方も一刀両断であるため、傷のつきようもなかった。


『さあさあ、次は珍しいあのベヒーモスの素材! まずは見て下さい、この角の力強さと美しさ! そう、お気づきかと思われますが、傷がほとんどついていないベヒーモスの角に出会ったのは私は初めてです!』

 既にチェックしていた者はそれを聞いて頷き、初めて知った者はどよめき、それがどれだけすごいことかわかるものは声を出さずに鋭い視線で角を見つめていた。


『しかもしかーも! それが二本もあります! そう、左右の角をほぼ無傷で手に入れたとのことです!』 

 更に盛り上がる会場だったが、知っている者は早くアレを出せと気持ちがはやっている。


『ふふっ、既にご存知の方はじれているようですね。そうです、素材はまだあります! なんとなんと、これは私も噂でしか聞いたことがありません。ベヒーモスの魔核です!』

 司会がその名を口にするとスポットライトが集まり、ベヒーモスの魔核を照らし出す。


 ライトアップされたベヒーモスの魔核は存在感をこれでもかと主張するように輝いている。


 これまでにない大きなどよめき。

 驚きの声、喚起の声、必ず手に入れろという指示、他がどれだけの額を出すか計算している者、多くの反応が見られる。


「――これなら、いい値段がつきそうだな」

 彼らの反応を見てハルがボソリと呟く。顔には出さず、口の動きも最小限、そして仲間に聞こえる程度の声量で。


 チェイサーは頷き、ルナリアも小さく頷き、エミリは顔に出てしまっているため、もぞもぞと俯いてその表情を隠そうとしていた。


『傷がほとんどついていないベヒーモスの角二本、そしてベヒーモスの魔核……では、金貨百枚からオークションスタートです!』

 トークの高らかなオークションの開始とともに、会場中に怒号のような声が響き渡り、値段がどんどんつり上げられていく。


 今日だけでも、これまでにいくつもの商品がオークションにかけられてきたが、これほどの勢いの品物はなかった。

 我先にあのベヒーモスの素材を手にしたいと誰もが手札をあげ、次第に興奮のあまり座っていられない人が次々と現れて前のめりになりながら声を上げている。


 豪商、貴族、王族、上位冒険者がこぞって参加しており、それ以外の者はいくらまであがるのか? それを楽しみにしている。


 ハルたちはというと、反応を隠すなどというレベルが過ぎ去り、すっかり呆然としていた。

 それはチェイサーも同様で、想像をはるかに上回る値上がりっぷりに唖然としている。


 しかし、いつまでも値段が上がっていくと思われたソレにもやがて終わりは訪れ、今では入札に参加しているのはたった二組だけとなっていた――。



*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁2、剛腕1、統率1

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化3、自己再生

     火魔法4、爆発魔法3、水魔法3、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術5、斧術3、槍術1、弓術1、短剣1

     開錠1、盗み1、


加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法3、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:エミリ

性別:女

レベル:-

ギフト:体術2、格闘術2、魔闘術1、先読みの魔眼

加護:武神ガイン

*****************


お読みいただきありがとうございます。

ブクマ・評価ポイントありがとうございます。

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