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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第四章「人獣王都へ」

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第百七話



「――許さん!」

 開口一番、ルナリアの父エルステッドは怒りに震えながらこう告げた。

 予想どおりの反応だったため、ハルもルナリアもルーナもミーナも真顔でエルステッドのことを見ている。


「……な、なんだ、その反応は! 大体、なんなんだ! 聞けば危険な依頼に行ったというじゃないか! 確か、黒鉄竜の素材採取だとか……あんな危険な魔物を相手にして、嫁入り前の娘に大きな傷がついたらどうするというんだ!」

 続けざまに怒りをあらわにするエルステッド。大声を上げながらも娘の心配をしているというのが言葉の端々に感じられた。


「父様……」

「なんだ!」

 エルステッドは興奮冷めやらぬ様子で、ルナリアの呼びかけに、これまた大きな声で返事をする。


「……なんで、私たちがその依頼を受けたことを知っているのですか?」

「うぐっ……いや、その、街に出た時に、そんな噂を聞いただけだ! べ、別に、ほかに理由はないぞ!」

 慌てて取り繕おうとするエルステッドだったが、ハルとルナリアはジト目で見ていた。


「まあ、よくないことだけどお父さんが心配する気持ちは察してあげてちょうだい」

 助け舟を出したのはルーナだった。ルーナはルナリアの肩を持つと思っていたため、ハルもルナリアも驚いてしまう。


「そうねえ。――というか黒鉄竜なんかと戦ったくらいでお小言言われても困るわよね。だって、あなたたちが戦ったのはベヒーモスなんだから」

「ミーナちゃん?」

 クスリと妖艶に微笑むミーナの言葉に、ルーナは名前を呼ぶと、鋭い視線でネタバレをした妹のことを見ていた。


「なんで、叔母様はそれを知っているんですか? 母様も知っていたんですよね?」

 困惑するルナリアの言葉に、ルーナ、ミーナ共に誤魔化すように視線を逸らす。


「お、おい……ベヒーモスって何のことだ……?」

「父様は黙っていて下さい! なんで母様たちはそのことを知っていたんですか?」

 何やら自分の知らない間に色々と探られていたということを感じ取ったルナリアは怒りを感じながら立ち上がり、腕を組んで母と叔母のことを詰問する。


「いや、その、ね……?」

「う、うん……ルナリアのことが心配だったから、その、ギルドの知り合いに情報を……」

 観念したのか、しょんぼりと肩を落とした二人はルナリアが受けた依頼についての情報を横流ししてもらっていたことを暴露する。


「お、お前たちもか。しかし、私には最初に受けた依頼のことしか教えてくれなかったのに……」

「私たちは、ギルドに太いパイプを持ってますからね。情報は上の人間からもらわないと、精度が低かったりするんですよ?」

 ルナリアの依頼について調べまわっていたことを棚に上げ、ドヤ顔でエルステッドに説明するルーナ。


「いやあ、さすが我が妻だ」

「いえいえ、あなたあってこその私ですよ」

 急にイチャつき始めた二人を、今度はハル、ルナリア、ミーナの三人がジト目で見ていた。


「――二人とも……そこに正座して下さい!」

 我慢できないといった様子で震えたルナリアが怒りの声をあげると、二人はすぐにその場に正座をする。


 この家で怒ったら一番怖いのは、家長のエルステッドでも、財布を握っているルーナでもなく――様々な困難を乗り越えてきたルナリアだった。


 そこからはルナリアのお説教タイムが始まる。

 その流れで、ハルと一緒に旅に出ることを了承させて乗り切ることとなった。





「――なんとかなるもんだな」

「ですねえ、二人が私たちのことを監視しようとしたり、情報を集めようとしてくれたおかげですね」

 自ら墓穴を掘って、自ら不利な状況を作り出した両親のことをルナリアは多少情けなく思いつつも、おかげで旅を認めてもらったことにニコニコと笑顔でよろこんでいた。

 ハルは先ほど怒っていたルナリアをみて、彼女を本気で怒らせないようにしようと内心こっそり誓っていた。


「それで、次の街――人獣王都グリムハイムはこっちの道でいいんだよな?」

 街から馬車で西へ出発しているハルとルナリア。

 大きな街へと繋がる道だからか、そちらへ続く街道はきちんと整備されていた。


「そうです。道なり進んでいくと、街が一つ、村が二つあります。それを超えていくと、その際にあるのが人獣王都グリムハイムです。街と村でそれぞれ休憩や、宿泊をしてゆっくりと進むのがいいと思います」

 ルナリアの説明にハルは頷く。

 このあたりの土地勘がないため、ルナリアの選択に反対する理由はなかった。


「街にはきっと宿はあるんだろうけど、その村にも宿はあるのか?」

 今度はルナリアが頷く。


「それほど大きな村ではないのですが、街と街をつなぐ中間点になっているので、宿の需要があるんです。だから、村に二つずつ宿があったと記憶しています。最初に一つ目の村、間に街、更に進んで王都との間に村があります」

 これから進むにあたって、訪れる順番をルナリアが説明する。ハルは頭の中でこの先の旅路を想像していた。


「なるほどな。それじゃあ、まずは一つ目の村目指して、時間次第で宿って感じでいこう」

「はい! ……ふふっ、なんかいいですね! これまでも一緒に旅をしてきましたけど、ちゃんと両親に私の状態を報告できましたし、旅の許可ももらえました。すごく、スッキリした気分での旅なので、自然とにやけてしまいます」

 頬を押さえてとろけるような笑顔になっているルナリアを見て、ハルもつられて笑顔になる。


「あぁ、俺もルナリアの両親に色々と説明できたし……ゼンラインさんに会えたのも収穫だったよ」

 師匠であるゼンラインに思ってもみないタイミングで会えたこと、成長した自分を見せられたことはハルにとっても何事にも代えがたいものであった。


「すごい方でした……やはりSSSランクともなると、とんでもない力を持っているんですね」

 感動したようにルナリアはベヒーモスを一刀両断にした時のゼンラインのことを思い出していた。


「あぁ、今どれだけ強いのかはわからないけど、まだまだ足元にも及ばないだろうな……ルナリア、一緒に強くなろうな!」

「はいっ!」

 二人はとてつもなくデカい目標に向かって、決意を新たにする。


「……そういえば、帰ってきてから父様は変なことばかり言ってましたけど、最後のアレは助かりましたね」

「あぁ、アレは見直したよ」

 アレというのは、黒鉄竜に関する依頼の報告をちゃんとしたのか? という確認。

 次の旅路ばかりに目が行き、すっかりど忘れしていた二人にとっては、とてもありがたいものだった。


*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁1、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1



加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法3、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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