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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第三章「ルナリアの故郷」

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第百四話


 ハルとルナリアが表に回ると、壁にもたれたゼンラインが待っていた。

 彼らを見つけると壁から離れて笑顔で話しかけてきた。

「やあ、やっと終わったみたいだね。どうだった?」

 鑑定結果がどうだったか? ゼンラインにはおおよその予想はついていたが、一応確認から入る。


「あー、そこも含めてどこかで話そう。個室がある店でもあるといいんだけど……」

「それなら、いいお店があります。こちらです」

 しばらく離れていたとはいえ、ここはルナリアの故郷であり、今も営業している店の中には彼女がよく訪れていた店も複数ある。

 任せてくれといわんばかりの笑顔で先導し始めた。


「わかった。ゼンさん、行こう」

「了解」

 ハルもゼンラインも反対する気もなく、ルナリアのあとをついていく。


 ギルドからしばらく歩いたところで、ルナリアが足を止めた。


「ここです」

 そこは一軒のカフェ。落ち着いた雰囲気を持っている建物だった。

「ここなら、奥に個室があって料金を支払えば融通利かせてもらえるはずです」

 説明するルナリアに二人は頷いて返す。問題ないという意思表示だった。


 中に入ると、店員がルナリアのことを覚えておりしばらくやりとりがあったが、奥の個室を使いたいと話すと、すぐに案内してくれることになった。

 ゆったりとした静かな音楽が流れており、数人の客がゆっくりとした時間を過ごしている。

 年代を感じさせるアンティークな家具が使われていた。


 最初に入った時にそれぞれ好きな飲み物を頼んでおり、部屋に入ってすぐそれらが提供された。


「さて、落ち着いたところで改めて自己紹介をしようか。俺の名前はゼンライン。世界唯一のSSSランク冒険者なんて言われてるけど、たまたまデカいギルドのギルドマスターに気に入られて成り行きでなっただけだ。よろしく。あぁ、一応外ではゼンさんって呼んでくれ」

 にっこりと笑顔でそういうと、ゼンラインは着席して自分の飲み物に口をつける。


「俺はハル。冒険者にあこがれていたけど、ギフトがなくて心折れそうになった時もあった。その時にゼンラインさんに会って、やれることはあるはずだと考えて再度頑張ることにした。今は、無事冒険者ギルドに登録することができて、ベヒーモスと渡り合う程度の実力を手に入れた」

 ここまで成長したぞとハルはゼンラインにアピールし、彼も満足そうに頷いていた。


「えっと、私はルナリアと言います。ハルさんと一緒に冒険者をやっています。私も自分の能力が使うことができなくて悩んでいましたが、ハルさんと出会ったことで変わることができました」

 ルナリアは笑顔でハルに視線を送りながらそう言った。彼女がハルを心から信頼している様子が伝わってくる笑顔だった。


「ほほー、なるほどね。ということは、二人はともに挫折を経験したけどそこから這い上がったということだ。そんな経験をしているからこそ、互いに信頼しあえているということかな」

 ゼンラインは腕を組みながらうんうんと納得したように頷いている。


「っと、そういわれると……な?」

「は、はい。ちょっと、その恥ずかしいです……」

 二人の絆について改めて他者から言われたことに、ハルもルナリアも照れているようだった。


「そんなものかな? 俺はいいと思うけどね――だって俺も一緒だからさ」

 満面の笑みで言うゼンライン。その言葉にハルもルナリアも驚いている。


 世界でただ一人のSSSランク冒険者であるゼンライン。

 その名前は多くの冒険者が知っており、世界一の冒険者といわれている。

 その彼が、ハルやルナリアと同様に挫折を乗り越えて今の地位にいるということ――そんなことはこれまで誰も聞いたことがなかった。


「ゼンラインも俺たちと同じ……? だ、だって、初めて会った時からあなたは強くて、格好良くて、最高の冒険者だったはずだ」

 戸惑うハルは信じられないことを聞いたため、自分が知る事実を口にする。


「ははっ、そうだな。初めてハルに会った時には既に冒険者として戦う力を持っていたからね。でも、俺は小さい頃に冒険者になりたいという気持ちをあきらめていたころがあったんだよ――」

 そう口にしたゼンラインはどこか遠い目をしながら語り始める。


 彼にあこがれて冒険者になることを決めたのはハルだけではない。

 そんなゼンラインの過去に触れられるとあってハルとルナリアはごくりと息を飲んで話に聞き入った。


「俺の持つギフトは、もともとある力を強化するというもの。でも、小さい頃の俺は身体が弱くてどれだけ強化することができても、戦う力に転化することができなかったんだ」

 服の上からでもわかる引き締まった肉体を見ると、そんな様子は影も形も見えないため、ハルもルナリアも口を開いて驚いている。


「ははっ、驚くのはまあわかるよ。今の俺しか知らない人は、小さい頃の小さくてひ弱で、親の陰に隠れていた姿なんて想像がつかないだろうからな。それでも、隠れて少しずつ少しずつ身体を鍛えていたんだよ。食事もできるだけ多く食べるようにした。でもな……いくら鍛えても筋肉はつかないし、多く食べても体調崩して寝込むことなんてしょっちゅうあったのさ」

 カラカラと笑いながら言うゼンラインだが、小さい頃はそのことでかなり辛い思いをしていたのであろう悲痛な思いが言葉ににじみ出ている。


「そ、それが本当だとして、なんで今みたいに? 途中で身体が元気になったとか?」

 どうやって今の彼になったのか、強く興味をひかれたハルの問いかけに、ゼンラインは首を横に振る。


「いやあ、成長しても俺の虚弱体質は変わらなくてな。能力を全く活かすことができなかったのさ。――でも、ある日師匠に出会ったんだ……」

 初めて聞くゼンラインの師匠の話。


「ゼンラインさんは俺の師匠のようなものだから、師匠の師匠ってことか……その人はどんな人なのか聞いても?」

「あぁ、もちろん。俺の師匠は女性でね――といっても俺とハルのような感じで、別段何かを教えてもらったとかということはなくて、精神的なものなんだよ」

 ハルはその話を聞いて、自身も同じ経験をしたため、わかると深く頷いていた。


「ただ、師匠は俺に一つ残してくれたんだ――俺の能力を活かすことのできる、健康な肉体を。……どうやって? って顔をしてるな。だが、未だに俺もわからないんだよ。ただ、師匠は俺を助けたことで命を失った、らしいんだ……」

 自身の胸のあたりに手を当てながら神妙な面持ちをして語ったゼンラインはそこまで言うと悲しい顔をする。


「でも、そのおかげでここまでになれたのか。その師匠には感謝しないとだ。俺が今こうやって冒険者として生きていけるのもその師匠のおかげだから」

 命を落としてしまったのならもう会うことのかなわない、ゼンラインが大事に思っている師匠のことを思いやったハルも胸を熱くしていた。



*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁1、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1



加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法3、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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