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才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『成長』チート~  作者: かたなかじ
第三章「ルナリアの故郷」

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第百二話


「待った。わざわざ確認にいかなくても教えるよ。俺たちを含めた、あの岩場にいた多くの冒険者がベヒーモスの討伐、もしくは解体にかかわっている。もちろん素材はかなりの量になったから、みんなで分割して持ってきているよ」

 引き留めるように手を伸ばしつつのハルの言葉にぴたりと動きを止めたカナは、話を聞いていくうちに驚きの表情になる。


「ま、まさか、ベヒーモスの素材が……!? しょ、少々お待ち下さい!」

 先ほどとはまた違った様子で慌てながらカナはそれだけ言うと、全力で走って二階にあがっていった。


「冒険者ギルドって造りは違っても、二階にギルドマスターとかがいるのは変わらないんだな……」

「ベヒーモスともなれば、上に報告しないとですからねえ」

 二人の反応はそれぞれだったが、カナが二階に報告にいったのはわかっていた。


 待つこと数分。

 二階から勢いよく降りてくる二人分の靴音が聞こえてきた。


「ギルドマスター! こちらの部屋です!」

 せわしない様子でカナがギルドマスターを伴い、ハルたちが待機している部屋へと戻ってくる。


「おぉ! 君たちが! まさか、ベヒーモスを倒したとは……二人だというのに、かなりの強さを持っているようだな」

 現れたギルドマスターは人族の渋いイケメンと言った男性で、金髪のオールバックをし、口ひげも見事にセットされている。

 昔冒険者としてやっていたのだろうか、中背で引き締まった肉体をしている。


「いやいや、自己紹介が遅れたな。私はこのギルドのギルドマスターを務めているライセンというものだ。大まかな話は彼女から聞かせてもらったが、もう一度二人から話してもらってもいいかね?」

 またか、と思いながらも、二人で倒したと思っているライセンをそのままにしておくわけにはいかず、ハルたちは最初から順序立てて説明を始めた。


「ふむふむ、なるほど……。つまり、その謎の通りすがりの冒険者が最大の功労者だが、行方知れずのうえに報酬は望んでいなかったと。そして、次の功労者はダメージを与えた君たち三人になるというわけか。疑うわけではないが……」

 何度も頷きながら話を聞いていたライセンが悩むように唸りながらそこまで言ったところで、エリッサがずいっと一歩前に出る。


「ダメージを与えたところは他の人は見ていません。頭部を見れば右目に傷がついているので、それを見て信用してもらうほかありません。それに、今回の件に関しては冒険者全員が納得しています」

 何か文句でも? と言わんばかりにエリッサがライセンに食って掛かる。ずいっとギルドマスターに迫ると頼りない彼女の服の布地がひらりと揺れる。


「そ、そうかね。う、うむ。みんなが納得しているなら、いいだろう。……ゴホン、それで素材はどうするつもりなんだね?」

 気の強い美人のエリッサに気圧されながらも、ライセンはなんとか話題を転換する。


「どうするんだろうな? 俺たちは買い取ってもらえるならどこでもいいんだが……全員分をギルドで適正な価格で買い取るというのは可能なのか?」

 ベヒーモス一頭分となるとかなりの量の素材であるため、ここのギルドで買い取り可能なのか? とハルが質問する。


「――ふむ、実際の量を確認してみないことには確実なことは言えないが、ギルドで決めている適正な価格で買い取ることはおそらく可能だ」

「それなら、買い取り希望の冒険者を集めてその素材を確認してもらうというので構わないか?」

 まだみんなの意思は確認しきれていないため、希望者のみという言葉をしっかりと付け加えておく。


「あぁ、それで構わんよ。それでは希望者はギルドの裏手に回ってくれ。そちらに、素材保管庫があるからそちらで確認をさせてもらおう。カナ、君は受付嬢を何人か連れて裏にきてくれ。確認と手続きを行ってもらいたい」

「承知しました!」

 ライセンの言葉をきっかけに、ハルたちは表に、カナは他の受付嬢に声をかけるとすぐに裏手に回っていった。


「というわけで、ギルドで買い取りをしてくれるということになった。希望者はこのまま裏手に回ってくれ。ギルドでの買い取りを望まないものはそのまま解散で構わない。報告に関しては俺たちがやっておいたし、依頼を達成したわけじゃないからその他の報告義務はないからな」

 表に出てきたハルの説明を聞いて、各冒険者パーティがしばしの話し合いを行う。


 それを待って、残った冒険者はハルに続いてギルドの裏手に回っていく。

 ギルドの裏手には大きな倉庫があり、そこには多くのギルド員が待機していた。


「おぉ、待っていたぞ。それでは早速、ベヒーモスの素材を見せてほしい。パーティごとに区切られたブロックごとに分かれてくれ」 

 ギルドマスターの指示、そしてギルド員の誘導に従って各パーティが分かれていく。


「俺たちは、あとでいいか」

「そうですね、ゆっくり休んで待っていましょう」

 ハルの言葉にルナリアはにっこりと笑って頷く。

 ハルたちが受け取った素材は、ベヒーモスの核、そしてベヒーモスの角と特にレアな素材であるため、評価額が明らかに高いのはわかっていたのもあり、余裕をもって後に回ることにする。


「それじゃあ、うちのパーティも後にしようかしら」

 柔らかく微笑んだエリッサもハルたちの隣に馬車を止めて待機する。

 彼女たちのパーティも比較的レアな部位である爪が振り分けられたため、余裕を持っていた。


 ただ余裕があるだけでなく、双方ともその他の素材とは別にしっかりと確認してもらいたいと考えていたための判断でもあった。


「――それにしてもルナリア、相当強くなったわね。魔法が使えなくて悩んだ頃が嘘のようよ」

「ふふっ、それも全部ハルさんのおかげなのよ」

 再び一緒になるタイミングができたことで、二人は楽しそうに小さい頃のことを思い出しつつ、まるでその頃に戻ったかのようにワイワイ話をしている。


 ハルも、エリッサのパーティメンバーもそれを微笑ましく見守っていた。

 その間にも順次、ベヒーモスの素材の鑑定と買い取りが進んでいく――。



*****************

名前:ハル

性別:男

レベル:3

ギフト:成長

スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、ブレス(闇)1、

     竜鱗4、鉄壁1、

     耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、

     氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

     皮膚硬化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷性強化2、自己再生

     火魔法3、爆発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、

     骨強化3、魔力吸収3、

     剣術4、斧術2、槍術1



加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


*****************

名前:ルナリア

性別:女

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法3、雷魔法2、

     水魔法1、光魔法2、闇魔法1

加護:女神セア、女神ディオナ

*****************


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