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遺言は「巨乳」

こんな冒険してみたいな、、と思った妄想物語です。


 「何か言い残す事は?ご家族に伝えたい事はないですか?」


 と言われても、今こうして大型トラックのタイヤの下敷きになってる状態でね。


 胸も押し潰されて息も出来ない状態の僕に、救急隊員もそんな遺言みたいな事聞いてくるだなんて。


 死ぬんだな、僕は。


 う~ 痛い痛い痛い、、死にそうに痛い、、


 あ、さっき買ったエロDVD 、巨乳ものの、両親には見られたくないな、、


 捨ててくれないかな、、救命士さん、、


 「ゴボッ(吐血)」(死にかけの僕)


 「言い残す事はっ? 君っ!何か言い残す事はっ!」(救命士さん)


 「きょ、、、ゴホッ(吐血)」(死にかけの僕)


 「きょ?」(救命士さん)


 「きょ、、巨乳、、」(『のDVD を捨てて下さいお願いします。』と最後まで言えず)



 僕の遺言は、「巨乳」と伝えられるのかな、とか思いながら意識は遠のいて行った。





 「さあ、目覚めなさい。マキ・ワタナベよ。」


 僕の名前を呼ぶ優し気な少女の声に眠りから覚まされた。


 寝ぼけ眼で周りを見渡すと、そこは一面「白」の世界だった。


 「え? ここどこ?」


 傍から見たら「間抜け」に見えるようなセリフしか出てこないけど、今年30歳になりました。


 「あなたは現世を終えこれから転生を迎えます。」


 白だけの世界のどこからら、あの少女の声が聞こえてきた。


 「僕、死んだって事?」


 「そうです。大型ダンプに轢かれてあなた。マキ・ワタナベは死んだのです。」


 少女の声と共に天空に画像が浮かび上がって来た。 ダンプのタイヤに押し潰され、か細い声で救命士に何事かを呟いている僕の姿が。


 「遺言、両親に伝えてくれたのかな、、? 救命士さんは、、」


 寂し気に僕は呟いた。


 「・・・・ぷっw」


 今 確かに笑いやがった! 大画面で血まみれで押し潰されてる僕の姿見ながら、笑いやがった!


 「あの、ですね。 女神って他人の不幸見て笑っても良いものなんすか? 立場的にどうなんすか?」


 怒りに震えながら天空に叫ぶ僕の前で、光に包まれた女神は現れた。 少女の声の女神が。


 光に包まれながら姿を現したのは、セルフレームの細身の眼鏡を掛けたアラフォー美女風の女神だった。


 「、、、、ちっ」(少女じゃねーじゃんっ)


 「今、『ちっ』と言いましたね、、『ちっ』と。」


 女神は指先で眼鏡を直しながら、「きっ」っと言う感じで僕に問いてきた。


 最初に言ったのは自分のくせに、なんて自分勝手な女だ。


 「『ぷっ』っと言いましたよね!そっちが最初に!(青筋)」


 「今問題なのは、わたくしの姿を見て『ちっ』っとあなたが言ったかどうかなのですっ すっ すっ っすっ(エコー)」


 「マキ・ワタナベよっ よっ よっ よっ(エコー)」


 最初は普通の天の声風だったくせに、エコー使って威厳出そうって感じがムカついてきた。 あ、また眼鏡のフレームつまみながら睨んできたし、、大人げないな、、女神も。


 何分になるだろう、僕も女神も無言で睨みあって居た。


 突然の激しい雷光と共に、威厳に満ちた低い声が響いてきた。


 「アルテミスよ・・子羊よ・・ 双方許し合い給え」


 女神が天空を仰ぎ両手を合わせ祈っていた。 今のは神の声?だったのか?


 祈りを終えた女神アルテミスは、切れ長の目を細めながら僕に向き直り、後光の量をさらに輝かせながらふんぞり返った。 ムカつく。


 「マキ・ワタナベよ。あなたの問いに答えてあげましょう。」


 「ん?何だっけ?」


 素で何を言ったのか聞いたのか忘れていた、、。


 「あなたの遺言は、ちゃんとご両親に伝えられました。 ご安心なさい。」


 ニンマリと微笑みながら女神アルテミスはそう言った。


 「きょ、、巨乳って?」


 それはそれは満面の笑顔で彼女はこう言った。


 「巨乳ってw」





 残したくない遺言が伝わってしまった事実に打ちひしがれながら、僕はこれからの身の振り方を考えなくてはと思いはじめた。


 「で?僕は転生する訳? どうなる訳?」


 『ちっ』『ぷっ』騒ぎで揉めた後だけに僕の口調はトゲトゲしくなっていた。


 「本当ならあなたは30年後に転生する予定でしたかr・・・」


 え?何それ?


 「ちょっと待て!それどういう意味だよっ!」


 本当なら?30年後?意味が分からず女神に詰め寄ってみた。


 「全ては神の意志なのです・・・。本当なら30年後に亡くなり転生する予定でしたが。 神の意志であなたは召されたのです。」


 「意味が全く分からん。30年後に死ぬのが神の意志だったの? さっきダンプに潰されたのが神の意志だったの?どっちだよ!」


 ますます分からなくなって僕は、さらに詰め寄りながら問いただしてみた。


 「マキ・ワタナベよ。 ダンプに潰される予定で無かったあなたを、リストを読み間違えて潰したわたくしの過ちも、すべて神の意志なのですっ すっ すっ すっ(エコー)」


 またエコー使いはじめた。『誤魔化そう感』がめちゃめちゃ漂ってきた。


 「納得できん! さっきの神呼べよ!神っ! あんたのミスで僕はここに居るって意味だよね! 神よべー! 全然納得できねー!」


 目も明けていられない程の後光が射して来た。 神か? 来たか?


 「あの、、ごめんなさいっ いっ いっ いっ(エコー)」


 後光使うわエコー響かせるわ謝るわで訳分からなくなってるな。 ここは有利な条件を出すチャンスと見た。


 「それじゃ生き返らせてくれよ。 まだDVD 見てないし、、死んでも死に切れんからさ。」


 「もう転生の手続きしてしまったので、向こうも用意して待ってるみたいなのです。 無理かもっ かもっ かもっ(エコー)」


 この期に及んでまだエコー効かせて威厳出そうって魂胆が、無性に腹立たしい!


 「エコーうざい。 神呼んでもらっても良いんだぜ、女神のアルテミスさんだっけ? え?」


 あ、弱み握ると強気になる僕って最低で素敵。


 「あの・・15年で手を打ってもらえませんか・・・? 半分の」


 女神ともあろうものが値切るかね、、まだ押せるな。


 「いや、30年きっちり生きたい! びた一文まけられんね。」


 僕に背を向けてなにやらコソコソと話してる女神。 年増は好みじゃ無いけど、少女じゃ無いけど、油の乗ったお尻もいけるかも、、。


 「では、30年後にあなたは召され転生出来るよう手配しました。マキ・ワタナベよ。」


 「え? やる気になれば出来るんじゃん。 最初からそうしてよ。」


 微笑みながら女神は黙って書簡を手渡して来た。


 「これは生き返ってからお読みなさい。 では残りの人生にお励みなさいっ さいっ さいっ(エコー)」


 


 (「エコーうざいっ!」と言おうとした瞬間、僕はまた闇に包まれ意識を失った。)



 

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