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ダンジョンは攻略する派、です  作者: 踊るかっぱ
2/11

2、雲行きは怪しい

早くもブックマークして下さった方、ありがとうございます(*゜∀゜)

少し説明回が続くかもしれませんが、ダンジョンも、ヒロインとも確実に出す予定です。

 視界が晴れた先には白いコートを着た一人の聖母と、それを挟むようにしてマントを羽織った中二臭い騎士が二人。大人の顔を実際に見てみると、騎士二人の要望は、それなりに、成熟しているので自分の父親がコスプレしている様にしか見えない。


「皆様、お気を確かに」


 聖母が1歩前に出て、静かにそう言った。

 手は下腹の上で重ね、背筋には針金が入ったかのようにピンとして、尚且つ聖母としての丸っこさを失っていない。


「……あんたら誰だよ」


 柊木(ひいらぎ)は何故か、頭を抱え、目に涙を止まらせ、頭痛でも催しているようだった。


「つか、どこさ、ココ」


 柴原(しはら)も見る限りあまり体調が良くないようだった。


 俺は柴原が言ってようやく、辺を見渡してみるが、机と椅子以外、そこはまるで別世界だった。

 クラスメイトの大半は机に突っ伏し、三島の様に購買に出ていた者や食堂に出ていた者は机がフリーになっており、三十人を超えるクラスメイトが在籍する中、現状俺や浩介を含めた十一人しか、ここには、居なかった。


 辺りの壁は、見慣れない石灰石の様な白く所々に穴が空き、年期による偏食からポツポツと黒ずんでいる。足元の床は大理石レベルに磨かれた正方形のタイルが敷き詰められていた。


「おい、これ、異世界転生ってやつじゃねぇか? あ、転移か? まぁどっちでもいいや」


 俺は突っ伏している浩介の肩をゆすり起きるように催促する。

 二、三身体を揺すってやると、浩介は半目を開き、ようやく起床。


「では、皆さんの意識が戻ったようなので私、オースティン・ロッド・アイリスからお話があります」


 浩介が、覚めたのが最後らしい。

 それから、聖母アイリスの説明会が始まった。




 ◇ ◇ ◇



 

 ……幾分か経過した。

 時計を持参していない事を涙した有吾。既にスマホは圏外、しかも、いつからここに居るのか記憶していない。故にどれ位時が流れたか判らない。体感でざっくり二、三十分だろうか。皆突然の出来事過ぎて最後まで口を挟む奴等が出てこなかった。


 とりあえず、アイリスの説明を纏めると、俺等、三年E組の十一名は異世界に来た、召喚されたって言ってたかな。

 

 アイリスが住む、ここの世界はカートニアと言われ、魔法が犇めく、ファンタジー世界なんだとか。実際に火の玉を出してみたりしてくれたので、俺や浩介の様な連中は、ここが異世界だと一発で理解できただろう。他の連中も説明を追加すれば、伝播する様にみんな首を縦に振った。


 まず、俺らを召喚した理由として、カートニアにある唯一の大陸、コンティニュアの領土問題を解決したいのだとか。コンティニュアの面積は実にユーラシア大陸の18倍にも及ぶ広大な大地を誇っているが、島国がなく、すべての国がどっかの国の国境に触れるため争いが絶えない。


 有吾が正確な面積が判ったのはこの世界に、発達した測量術が存在し、尚且つ、有吾が受験に控え余計な知識を持ち合わせていた、全くの偶然である。有吾は別段、秀でて頭が良いわけではない、むしろ成績は下の方だ。


 話を元に戻すと、コンティニュア大陸で【3つのダンジョン】がここ十数年前から異様な速さで勢力を伸ばし、ダンジョンを大量に作り、アイリス側、つまり人間が住む領地が脅かされているらしい。

 

 人間側の勢力圏が危うくなる前に、俺らを勇者、英雄として召喚した。という、何ともテンプレなオチに少し意気消沈気味の有吾。


 柊木や柴原、河原も滅茶苦茶反撃した。「ふざけんな、んなのやってられっかッ」「俺らを危険に晒す気か?!」「コッチには女子もいるんだぞッ」等等、ぼやいていたが、アイリスの持ち掛けた莫大な報酬に加えて、向こうは何故かコチラがジュケンという(おぞ)ましいモノを控えているのを事前に知っており、甘美な表現と、重要点を簿()かすダブルパンチで皆、戦う事に賛成した。


 ある程度、自分の中で整理がつき始める頃、口をポカーンとしていた浩介が、会話出来る迄の意識を取り戻す。


「おい、有吾。マジやべぇなこれ」

「だが、安心できないぞ……

 まだ、俺等にはモブキャラ路線が付き纏っている」

「あぁ、そうだったな。油断ならねーわホント。ステータスとか確認できないのか? 正直滅茶苦茶、不安なんだけど」


 有吾も同感だった。

 アイリスという女がやたらと、勇者や英雄だとか、一々焦らすような言葉を連呼するので、有吾の期待値がゲージを突き破りそうになっていた。


「……皆さんに、個々の力を示すステータスカードを1枚ずつ配ります」


 タイミングを見計らったかのように、アイリスがそう言うと、脇の騎士二人が箱から黒い身分証明書大のカードを取り出し、丁寧に配り始めた。


 手元に届いた黒いカードを眺め、浩介と、一回見合ったのち、ゴクリ、と両者は息を呑んだ。


 なにせ、最初のステータスで今後の異世界生活の全て決まるのだから、チーレムかモブ以下、練習台になるか、これで九分九厘、決まる。

 実際、小説を読んでいる時は、経過はともかく、(いず)れ最強になるのは判っているので、安心して居られるが、いざ、自分がそういう立場になってみると、緊張で脂汗が染みる位にビビる。


「ステータスオープンと念じてみて下さい。そうすれば、皆様の現在の能力が表示されます」



( ( ス、ステータス。オ、オープン ) )



 浩介と有吾は祈る様にカードに力を込めた。

 すると、黒のカードから白い文字が浮かび、それは中心から淡く輝いた。



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名前 八雲 有吾   男 17歳

種族 人間

戯職 調合師

Lv 1        GUILDPOINT 0


体力 100

耐久 10

気力 10

俊敏 10

魔力 10

抗魔 10


【スキル】

 :調合速度Lv1

 :翻訳修正Lv1


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 体力、無駄に多いな。他ステータスの十倍ある。

 ていうか?強いのか、調合師って。

 ていうか!混ぜるだけなら要らねぇだろこの戯職。



「とりあえず、皆さんの、ステータスカードが問題無く作動しているかを一応個人で確かめて貰います。今から前の方に、この国のレベル1の平均値を表示しますので、(ついで)にそちらも見てください」


 アイリスが入った後すぐにステータスが幅広く全方に黒板のように表示された。


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名前 (本人の名前と性別年齢が記入でクリア) 

種族 (人間でクリア)

戯職 (各人報告をしてクリア)

Lv 1 

※一定条件でレベルアップ       

GUILDPOINT 

※魔物を倒すか、ギルドカードを持つ物同士、決闘をして勝つと増える、負けると減る。このポイントが多い程ギルドランクが上昇。



体力 15

耐久 15

気力 15

俊敏 15

魔力 15

抗魔 15


【スキル】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 やらかした。

 体力以外平均より下とか、絶対に俺弱い。

有吾くんは、安易に最強にはさせません。


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