見えない男――ジャングル奥地の密室
【注】
本作の内容には、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『プレデター』と、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『コマンドー』の重大なネタバレがあります。未視聴の方は読まないでください。
そんな奴がこの宇宙にいるとは思えませんが、念のため。
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「殺人のトリックだけ見るとバカみたいだが、真犯人の深謀遠慮には恐るべきものがある」
――――ジョン・ディクスン・カー『震えない男』読書メーター感想より。
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【主な登場人物】
ジャック・トレンチ――演:アーノルド・シュワルツェネッガー(吹き替え:玄田哲章)
ビック・エリオット――演:ビル・デューク(吹き替え:素人)
イワン・ストロング――演:カール・ウェザース(吹き替え:池田勝)
クレンナ・マクティアナン――演:ケヴィン・ベーコン(吹き替え:安原義人)
ビレンダ将軍――演:ジェームス・オルソン(吹き替え:阪脩)
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1
「およそ四十二時間前、日本人を乗せた旅客機が、バル・ベルデのジャングル、それも国境から百マイルにも立つ場所に墜落した。周辺は反政府のゲリラ連中が縄張りにしている危険地帯だ」
ビレンダ将軍が声を張り上げ、耳を劈く声で叫んだ。私の隣にいたジャックが、自身の角刈り頭を撫でながらニヤリと笑った。頬の肉が引きつったのが見える。
「旅客機墜落で生き残りがいなければ、我々が出張しなくとも、どこかの消耗品軍団辺りのゴロツキ野郎共に任せときゃぁいいでしょう。将軍、この任務には何か特殊な訓練を受けた人間が必要。そうでしょう? 救援部隊の俺たちを読んだのは何か意味があるんじゃないですか?」
ジャックがニヤリとし、そのバリトンの野太い声で答えた。彼の前にいた将軍は汗を拭った。それがこの熱帯雨林いるための汗なのか、あるいは冷や汗なのか分からないが――もっとすると、ただの汗かきなのかもしれないが――ふぅと言いつつ、ジャックと私の方を振り返り、
「旅客機墜落の……生き残りがいたらしいのだ……。ゲリラの糞ったれぃ共から、音通信による声明がきた。日本人の生き残り二人を人質として確保しているとな……」
少佐が私に向かって言う。私の横にいた、ジャックが答える。
「派手な事故の後にまた派手な事件に巻き込まれたわけだ。ツイていない奴はイピカイエーを口癖にする、カウボーイだけで充分ですよ」
ブワハハ! と、私の周囲の連中が笑っている。私が最後に言う。
「しかし、俺たちはいくら特殊訓練を受けているとは言え、殺し屋じゃない。救援部隊だ。そうだろう、ジャック」
「その通りだ、迅速にかつ正確にゲリラ連中を殺し、人質を救出する。そして、必ず戻ってくるぜ」
リーダーであるジャックの意見にその場の全員が参道した。
2
温帯低気圧のジャングルの中、ヘリから急降下するためのロープを用意する。鉄製の協力なものらしい。私たちはそれを伝い、ジャングルへと降りていった。メンバーは私含め、リーダーのジャック・トレンチ、ハゲ頭の黒人であるビック・エリオット、事務処理が得意なイワン・ストロング、優男のクレンナ・マクティアナンだ。
「降下開始!」
この少数部隊で果たして勝てるかな? 最後にロープにしがみ付いていた私を含め、全員がジャングルの中に降り立った。将軍とジャックが部屋の奥で内密に、話し合った作戦はこの様なものだった。この五人でゲリラグループが日本人を拉致している、一キロ手前に着地する。そして、慎重にゲリラのアジトに潜入し、全員抹殺。人質を救出するというような事だ。
「なぁ、ジャック、簡単にいきそうか?」
イワンがジャックに呼びかける。二人ともこの熱帯低気圧のせいか、湿気のせいか汗をかいている。かくいう私も汗をかいている。
「なぁに、簡単な仕事だ。給料をもう少し安くしても良かったぐらいだ」
「ふふん、少佐は変わってませんねぇ」
ハゲ頭の汗を拭いながらビックが軽口を叩いた。
その一時間後、彼らが密林をかき分けながら進んだ時、ゲリラグループのアジトが見えてきた。噴煙が目と鼻にツンと刺さる。その場だけ開かれていた。ジャックが指で合図をし、私を含めほかのメンバーを散らす。
参考引用語録。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『プレデター』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『コマンドー』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『バトルランナー』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『レッドブル』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『トータル・リコール』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『ターミネーター2』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『ラスト・アクション・ヒーロー』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『トゥルーライズ』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『イレイザー』