9話
空は起きるといつものように黒いコートを羽織り、腰には黒刀、背に大鎌――黒葉――を背負う。
「いよいよだな」
心なしか、いつもより動きが硬い。今日は試練とされている砦に向かう予定である。もちろん、対人戦も想定される。それもかなり大規模の。以前、【南の斧】という盗賊団を壊滅させた時の比ではない量の人間を相手にするだろう。冷静なままで、感情にもブレはない。だが、それでも違和感、もやもやとした気持ちを消し去ることは出来なかった。
階段を下りるとすでに仲間たちが準備をして待っていた。空が現れるとその場で膝をつき、彼の言葉を待つ。
「お前ら、準備はいいか?」
『はっ!』
覇気に満ち溢れた声。戦士たちには気負っている様子はない。だが、七海だけが少し強張った表情をしていた。
「七海、どうした?」
「いえ、何でもありません」
すぐにその言葉が嘘だと分かってしまうほど緊張している表情。普段なら決して声をかけることはない彼もまた緊張していたのだろう。それに気づき苦笑していう。
「一つ言っておく。命令はただ一つ無理はするな。誰にでも初めてという事はある。慣れている奴はそういう奴を見つけたら助けてやれ。それに俺も大規模な戦闘は初めてだしな」
最後は自嘲的な笑みを浮かべ告げた。その動作、言葉一つ一つに誰もが聞き入り、魅入っていた。
「行くぞ」
『おおぉぉぉ!!!』
短く号令をすると士気の上がった部隊を引き連れ、空は歩いてゆく。その瞳には迷いはなく、力強い光が宿っていた。
砦に向かって空たちは歩いていた。しかし、空と七海が一つの約束を思い出して今はイヴェール・フォレを目指して移動していた。
(冬弥がイヴェール・フォレの南門に来いとか言ってたな。面倒だ)
仕方なく進行方向を変更し、イヴェール・フォレに到着した。
すると、門の前にはイヴェール・フォレの師団長たちが集まり、その後ろにはそれぞれの部下たちが控え、空たちを待ち構えていた。
冬弥が空を見つけると手を挙げて迎える。
「よお、久しぶりだな。また、強くなったみてえだな」
「それで、俺を呼んだ理由は何だ?」
彼の性格は知っていたはずの冬弥たちも単刀直入な言い方に固まる。
「はぁ、そこらへんは相変わらずか。まあいい、話しをするために呼んだわけじゃねえからな。これを見ろ」
そう言って後ろの部下を呼び寄せる。その手に握られていたのは軍旗だった。
黒地に白と赤で縁取られた交わる二本の剣。その下に【零】という文字が金色で刺繍されていた。
「これはお前の部隊の正式な軍旗となるだろう」
「うん。私が考えた……」
冬弥が言うと、すぐに白く艶やかな髪に隠れた猫耳をぴくぴくと動かしながら褒めてと言わんばかりに前に出る。
だが、それに素直に応じる空ではない。
「これだけ、か?」
「いや、まだこれは十本ほどある。何本くらい持っていくんだ?」
視界の片隅で八生がしゅんとなっているが無視する。
「そうだな……」
旗を持つ者は戦闘に支障が出るだろう。部隊の人数から持つ人数を決めなければならない。
人数は空、七海、光、飛来の主要メンバー4人に加え、飛来の元々の部下である20人。また、新しく空の部下になった傭兵たち39人。計63人。
「なら、あと2本貰おう」
どうやら彼は旗を持たせる人数は3人にしたようだ。
「おう、分かった。受け取りな」
部下にそれを持たせるとすぐに発とうとした。それを慌てて冬弥が呼び止める。
「待て待て。まだ渡す物があんだよ」
「早くしろ」
やれやれといった様子で空は言うがその言葉が最も似合う表情をしているのは冬弥だろう。
列が割れ、師団長の部下たちが黒い物体を引き連れてくる。
「ナフィ、か?」
そうそれは鎖でつながれ、多少の防具を纏ったナフィだった。
「ああ、騎乗用のナフィだ。100頭いる。あと、騎乗用に繁殖された個体だから、体もでかいし、動きも速い。だが、その代わり嗅覚や白くは野生のナフィに比べると劣ってるから、そこだけ気をつけろよ」
だが、そこは黒い毛の大きな体を持つナフィードウルフ。それが移動する姿は相手に畏怖を抱かせるだろう。
「そうか。では頂いていく」
また、空がすぐに発つ前に冬弥たちが言葉をかける。
「へっ、負けんじゃねえぞ」
威勢よく言うのが茶髪でツンツン頭の大地。
「あなたなら大丈夫だとは思いますが、我々に同胞になるのですから失敗は許されませんよ」
これまた茶髪で肩まで伸びた髪を後ろでまとめている尚貴。もっとも、この場で茶髪ではないのは白い髪を持った弥生だけなのだが。
「クロちゃん。無理、しないでね」
八生の呼び方に空の部下が噴き出しそうになったのは秘密だ。
「そうだぜ、いつでも出れるように準備しとく。何かあったら連絡しろよ」
心配そうな顔で空に声をかける冬弥と弥生。
それに何も問題はないと言わんばかりの普段通りの空。その姿は味方には安堵感を与え、敵には恐怖感を与えるのだろう。
「行くぞ」
やはり、短く告げると戦場へと向かって歩を進める。
その歩みは一切の迷いも、恐怖もない。
あるのは覇気と圧倒的な存在感と力。
その背に七海は安心感を覚えた。
砦の前に位置する森の中で陣を構える空たち。
今は主要メンバーと頭の切れる一部の者たち計8名テーブルを囲んで作戦を立てていた。
そして、作戦会議の主導権を握っていたのは光と飛来。もちろん、最終的な決定権は空にあるが、基本彼は黙って静観というスタンスなので、積極的に関わろうとはしない。
「では、作戦を立てる上で一つ確認をしておかねばならない事があります。戦力の確認です。私達は今63名と言う構成です。しかし、職業は? 一体どのような能力持つのか? こういった事はまったく知りません。これでは任務に支障が出るでしょう。これからも共に闘うと言うならばなおさらです。では、何か反対意見はありますか?」
皆黙って、無言の了解を示す。
「それでは、準備の段階で能力の調査を終わらせてありますよね? 後で他の55人の情報は飛来さんから報告が聞けると言う事で構いませんか?」
「ああ、分かった」
空以外の了解したような雰囲気に溶け込めないものが一人。何を隠そう空である。
「どういう事だ?」
眉をピクリと動かした事に焦ったように光は取り繕う。
「ええとですね」
「はぁ、だから言ったんだ。一応了解取っておいた方がいいぞってな」
その様子を見てあきれた様子で飛来が助け船を出した。
「騎士殿。これにはわけがあってだな。俺たちはここに来る前に一度自分たちの能力を調べておこうと言う事になってたんだよ。まあ、知らせなかったのは悪かったけどよ。騎士殿に言っても自分の力を調べたり、他人に知られたりするのは嫌がると思ったからなぁ」
ばつの悪そうに眼を逸らしながらだが、七海も頷いているため嘘ではないのだろう。
「そうか。ならいい、続けろ」
「はっ。ありがとうございます。ではここにいる者から言っていきましょうか。最初は三浦 準」
「はっ」
そう言って敬礼し立ち上がる背の高い一人の青年。鼠色の軍服、軍帽をかぶっている。いかにも軍人と言ったような人物に思える。
「この度は召し抱えていただき誠に――」
堅苦しい挨拶に空は嫌気がさした。机をトンと人差指で叩き急かす。
「前置きはいい。名前と能力を早く言え」
空の態度にも表情一つ変えることなく従う。余程徹底して上下関係を叩きこまれたと見える対応だった。
「はっ。上官殿、自分の名前は三浦準。狼の国出身、狼族です」
簡単に自分の生い立ちを話すと、能力について話し始めた。まとめるとこうなった。
三浦準 21歳 魔法剣士 熟練度、百一 生命力、三百一 精神力、二百九十 魔力、三百四十四
【指揮】【鬼動術強化】【魔力増加】【魔強化】
【指揮】という技能は自分の配下の軍隊や部隊を先導する技能。これは配下となる者たちに向け、事前に自分の魔力を付与しなければならない。また、指揮が発動するためには30秒間の付与時間が必要なため、戦闘中には不可能と言っていいだろう。
そして、【魔強化】。これは自分の魔力を媒体として自身の強化を行う。その際、自身に多大な負担をかけ、魔力を大量に消費し続けるため、余り長時間使う事は出来ない。
【魔力増加】だが、これはいつも発動していて魔力の上限を増加させる効果を持つ。これにより、生命力より、魔力の方が上という事を可能にしている。
ここからは三浦準は力押しによる戦闘をするのではないかと言うのが推測される。技能と言うのは熟練度五十上がるごとに一つづつ増える可能性があるが、最初の二つは普段の行動によって追加されたものであるため、つまり、どのような技能が持っているのかを知ることでその人の手の内が分かってしまうのである。そのため、不用意に他人に教えるべきではないのだが、忠誠を示すのと、トップにいる者の信用を勝ち取るためによくこの手は使用される。もっとも、空は開示して当然、いや、そうすることが自然だと思っているのであまり後者の考えは空に対しては通じない。それでもこうする事にはメリットがある。空に近しい者たち、つまり光や七海はこの世界の常識ともいえるこの手段を知っているため、この二人の一定の信頼は得る事が出来る。
光は準の報告を聞くと、頷き進める。
「では、次は三國兄妹。お願いします」
そう言うと二人の人影が立ちあがった。
「よろしくお願いします」
「……」
耳をぴくぴく動かしながらはきはきと答える男の子。灰褐色でよく手入れのゆきとどいた髪が特徴の少年。スカイブルーのフードつきコートを羽織り、元気よく答える。
一方で同じくコートを着て、フードを目深に被っている少女。時折フードの下から見える長い灰褐色の髪。こちらは放っておいたら伸びたというような感じで無造作に伸びている。
「俺は三國翔です。よろしくお願いします。それと、こいつ、人見知りなんで俺が紹介してもいいですか?」
光は空の了承を取るべくちらりと見るが特に問題はないようなので進める。
「ありがとうございます。俺たち生まれも育ちも王猫国の――」
簡単な口上に続けて能力を言う。
三國翔 十四歳 剣客 熟練度、百十四 生命力、三百五十 精神力、二百九
【軽身術強化】【刺突】【不意打ち】
三國來未 十二歳 魔導師 熟練度、百二十八 生命力、四百四 魔力、四百五十五
【火・雷・風属性魔法強化】【魔力増加】【魔力探知】
「なかなか面白いですね」
光はそう呟く。
まず、兄の翔の剣客と職業。これを取得するには初級の剣士と中級の刺客の熟練度を上げなければならない。そして、剣客もまた、中級の職業。つまり、職業補正を狙うならば、わざわざ転職する必要はないのである。
たが、現に妹の來未は魔法使いからの派生で中級の魔導師に転職している。これを物好きと言わず何と言おうか。
次に技能。翔は【刺突】と【不意打ち】を覚えている。これは特定の動作をする際に補正がかかるという技能だ。もちろんその際は精神力を使うが威力が上がったり、攻撃速度の上昇などの見返りが得られる。
來未は【魔力探知】と【火・雷・風属性魔法強化】という技能を習得している。まずは【魔力探知】。これを使用すると一定の魔力と引き換えに魔力を持つ者の位置やどの程度の魔力を持つのかを調べる事が出来る。その際の魔力消費量は探知系の魔法を使うより少ない。
次は【火・雷・風属性魔法強化】。これは読んで字の通りではあるが、その属性の魔法を使う際に威力を上げる効果を持つ。だが、これにもデメリットはある。まず、この技能は自動的に発動してしまうという事。自然と威力が上がるならばいいのではないかと思うかもしれないが、違うのである。威力の上がった魔法を使う際。この技能なしの場合と比べ魔力の消費量が1.5倍になってしまう。このようにいい点と悪い点、両方の側面を持った技能なのである。
また、翔は年齢ゆえの幼さからか、精神力が低いのは否めない。
二人の能力を聞き終えると、光は和服の一種である紺色の長着を着て、瞳を閉じた男を見た。
「それでは次はあなたですね。お願いします」
スッと立ち上がりその瞳を開ける。その瞳は見事なまでの翡翠色だった。その黒髪にはよくその瞳が映えた。
「ようやく、それがしの順番でござるな。拙者、姓は藍原。名は小太郎でござる。世俗を見聞きすべく参った。宜しくお願いいたす」
そう言い、一礼すると自らの能力を説明し始めた。
藍原小太郎 二十歳 侍 熟練度、九十八 生命力、二百八十八 精神力、四百十四
【軽身術強化】【神刀術強化】【見切り】
これを見る限り藍原小太郎という男がこの中で一番熟練度が低い。だが、侮るなかれ生命力に比べ精神力が異常に高い。余程修練を積んだと見える。この能力を見てからだと、小太郎の落ち着きようがより強調される。
ここで特筆すべきは【見切り】という技能だろう。この技能は簡単に言ってしまうと即神術の強化、特化版である。精神力を消費し、視神経のみを強化する技能である。
「それがしの技能はこれで以上でござる」
「これで主要メンバー以外の紹介が終わりましたね。では、今度は我々の能力を披露いたしましょうか」
光は飛来、七海と目配せをする。ここでさりげなく主要メンバーの中に自分をねじ込むあたり流石の手際である。
「最初は七海さんから順に飛来さん、最後に私といきましょう。ではどうぞ」
そう言って、七海に手の平を向け、促す。
だが、次の瞬間新規に入ったメンバーは驚愕で目を見開くことになる。
七海 十九歳 獣戦士 熟練度、百五十八 生命力、四百六十二 精神力、四百十 魔力、八十九
【軽身術強化】【魔強化・弱】【遠吠え】
飛来 二十五歳 魔双剣士 熟練度、百九十一 生命力、千五十二 精神力、九百六十二 魔力、五百二
【軽身術強化】【神刀術強化】【刺突】【剣舞】【魔強化】
源光 二十三歳 陰陽師 熟練度、百九十二 生命力、千三十六 魔力、千五百六十四
【火・水・雷・土・風・光属性魔法強化】【凍結魔法強化】【魔力増加】【陰陽術強化】【千里眼】
次々と発表されていく七海たちの能力。この三人の力はやはりこの中では突出しており、中でも光と飛来は抜きんでている。
「す、すごい。この力は王猫国トップクラスの力じゃないですか!!」
興奮を隠すことなく翔は言う。横では來未が首を縦に勢い良く振っている。
「そうですよ。だから、この戦いで我々が負ける事はありません。それにしても七海さんあなたは変わっていますね」
照れることなく答え、呆れたように七海に言う。
「む、何ですか?」
眉を寄せ、不機嫌さをアピールしつつ言う。だが、七海の容姿ではなんとも迫力がなく、寧ろ可愛さを感じさせる。
「いえ、あなた以外のここにいる全員は中級以上の職業に就いています。しかし、あなただけが初級で獣戦士。更に本来ならあるはずがない魔力を有している。たとえそれが微々たるものだったとしてもそれが特異なことには変わりませんよ」
眉間を指で押さえ、いかにも悩ましげな表情をする。飛来は感心したように見ている。
「おお、すげえじゃねえか。【魔強化】を覚えてるとは思わなかったぜ」
そして、一拍置いて三人それぞれによる自分の能力を解説し始める。
「わたしの能力でここまで出てきていないのは【遠吠え】だけですね。この技能は大声を出し、自分の位置を知らせる技能です。まあ、それだけです」
「次は俺だな。俺の技能はすでにほとんど出てきてるからなぁ。一応言っとくと【剣舞】ってのは【刺突】と同じで動作を補助する技能だ。以上、終わり」
飛来のあっけらかんとして、適当な説明に眉間にしわを寄せるが空と向き合う時には笑顔を作る。
「では私も説明いたしましょう。私の技能は――」
まず、【火・水・雷・土・風属性魔法強化】【凍結魔法強化】は來未の【火・雷・風属性魔法強化】の進化版である。だが、これではほとんどの魔法を使う際に、補正がかかることになる。すなわち、魔力消費量がとてつもない事になるわけだが、光はその膨大な魔力量によりそれを可能にした。【凍結魔法強化】が一緒くたに示されないのは火・水・風・雷・土・金・光・闇の八元素の中に含まれていないからである。また、【陰陽術強化】も上と同じような説明、効果が挙げられる。
そして、【千里眼】である。これは【見切り】と同じような作用だが、遠視に特化した点と魔力を元にしている点が異なる。
空以外の説明を聞き終えると妙な静けさが場を支配していた。
だが、その静けさも一時のもので、再び熱気と興奮が戻ってくる。そうなると次に好奇の視線に晒されるのは空である。これらの強者を束ね頂点に立つ者の力とは一体何なのか? そういった疑問がふつふつと浮かび上がる。
口にはしないが飛来や七海、さらには光でさえも知りたがっている。だが、彼らはこのような事を空が言うような性格ではない事を知っている。
好奇心を押し殺し、自らの主人の事を思いその視線を無視して進めようとした。だが、そこに予想外なところから待ったがかかった。
「待て、俺は言っていないぞ」
その言葉にこの場にいたすべての者が振り向いた。
「よろしいのですか?」
社交辞令半分、危惧半分といった感じで問う。この時光は何を危惧したのか? それはここまでの能力紹介で分かったとは思うが自分の手の内をさらすことと同義なのである。もし、空がいくら光たちを信頼していたとしても頂点に立つ者が自らの事を暴露するのはあまりにも危険すぎる。どこから情報が漏れるか分からないからである。警戒しすぎても損はないだろう。
故に問い直す。
「ああ。それとも俺にもう一度同じ事を言わせる気か?」
言葉に込められた殺気に光は顔色を悪くする。気丈にも笑ってみせ、空のやりたいようにさせる。
そこで明かされる能力値。他者との圧倒的な力の差に先ほどよりも深く、強烈な驚愕が広がる。
黒騎士|(仮) 二十歳 修羅 熟練度、二百三十九 生命力、千三百八 精神力、千六百四 魔力、千六十一
【毒耐性】【身体強化術・強】【神刀術強化】【生与術】【魔強化】【成長促進】【人刀一体】【威圧・強】【黒魔道無唱可】【見切り】【邪耐性】
例によって、名前は明かすことはなかったが|(反論は【威圧】する事で抑え込んだ)、その能力値は予想のはるか上をいっており、驚愕せざるを得なかった。
(静かになったな)
ただ呆気にとられ、空いた口が閉まらない状態の彼らを気にかける事なく、話し始める。
「まず、【毒耐性】【身体強化術・強】【神刀術強化】【魔強化】【成長促進】【黒魔道無唱可】【見切り】は前に出たやつもあれば、読んで字のごとくのやつもある。まあ、分かるだろ。後は【邪耐性】だが、これは光の方が詳しいだろうからこいつに聞け。
次に【生与術】【人刀一体】【威圧・強】だな。【生与術】は前に見せたからいいとして、【人刀一体】は武器を自分の手足のように扱えるようになった証みたいなもんだな。【威圧・強】は前からあったから、説明しなくていいか」
簡単にというか省いた説明を言うと、テーブルをトントンと叩いて光に目配せした。
光はハッとした様子で気を取り直すと、【邪耐性】についての説明をし始めた。
その横で飛来が空に話しかける。
「どういう風の吹きまわしだ? 今までの騎士殿だったらこんなこと絶対に言わなかっただろ」
口元を釣り上げた笑みを浮かべて問う。
「ただの気分だ。それに教えたからといっても誰にも負けるつもりもないからな」
「そりゃ違いねえ」
その傲岸不遜ないいように髪に隠れた左目も細めて楽しそうに笑った。
「此方も説明が終わりましたし、最後に飛来さん他の残りのメンバーの……そうですね。時間もかかりますし職業だけ報告をお願いします」
「ん、了解した。じゃあ、早速だが、中級職が11名。初級職が44名。内訳は中級が軽戦士6名、剣豪2名、魔導師3名だな。初級職は剣士10名、槍兵使い9名、弓師8名、斧使い、棍使い、騎士6、5、5名ずつだな」
光は満足そうに頷いた。
「ではここからが本番ですね」
そう言ってテーブルに地形図を開いた。
辺りには火がパチパチと燃える音とナフィーの息遣いが聞こえるほど静寂に包まれていた。嵐の前の静けさが支配する中始まる。
次回7/26日更新予定です。
ご感想などあればよろしくお願いします。




