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プロローグ


 どうも♪ ゲレゲレです。

 今回オリジナル小説が初めての作者です(今まで二次ばっか書いてたので)。

 良い機会だと思って挑戦してみました!!

 最初に書いておきますが、言い訳ですが……正直、ファンタジーに全く慣れていないので、至らぬところも多々ありますが、よろしく御願いします。



 二次から来て下さった方は、アンケートの方をご協力下さい。

 そうして頂けると、かなり助かりますので……。



 強い風が吹きすさぶ蒼穹の大空を、鷹は力強く翼を羽ばたかせながら舞う……。

 鷹が舞う大空の下には金色に輝く麦畑が、鷹が見る視界一面に広がっている……。

 多くの麦畑の麦はこの世界中で吹かれている風に流され……。

 まるで大海の波の様な風景を醸し出している。

 そして、世界の空を気持ち良く舞っている鷹の視界に、一人の大きな人間が目に入った。


 その人間は、鷹が舞っている下の世界に広がる麦畑の中心をばっさりと切り裂いた様な、そんな力強く長い一本道の街道をひたすら歩いていた。

「鷹か……」

 大きな人間はそう呟きながら、雲一つ無い空を気持ち良さそうに飛んでいる鷹を見上げる。

 声からして男であろうこの大きな人間の姿は、黒いフード付きのマントで全身を隠しながら。その背には大きな男の身長程の巨大さを誇るが、何やら汚れた白い布で巻かれた、長い鉄板の様な大剣が背負われていた。

 そんな全く周囲の風景に溶け込めていない大男と、大空を舞う鷹の視線が一瞬だが交わった。

「空を飛べるってのは良いねぇ……」

 だが視線は交わったものの大空を舞う鷹は、地上をひたすら歩く者になど目もくれず、そのまま飛び去っていってしまった……。

「ふん……さて、もう少しの辛抱だ」

 つれない鷹に溜息を吐きながらも、黒いマントで全身を隠している大男は、目の前に広がる途方も無い道を見据えたのだった……。



 長い街道を歩き終え、全身黒マントの大男は現在。

 辺り一面に広がる巨大な城壁の前にある跳ね橋の上に到着していた。

 跳ね橋の上に到着した大男は一度立ち止まり、その目の前に堅牢に佇む巨大な城壁と城門を、フードの影越しに見据える。

 巨大城壁は白い石造りの物で、その城壁の上には何人か監視係の白フードを被った“魔導師”も見られた。また城門付近には、この城門の中へと入りたい商人達の馬車や、多数の人だかりが確認出来た。

 その光景を見据えた後に大男は「ふん……」と、小さな溜息を一度吐きながら再び歩き出しす。

 すると黒マントの大男の前に、この城門を守る、銀色の西洋鎧で身を固た二人の兵士が近づいてきた。

「おい、そこの怪しい男! ここ“セントラル”になんの用だッ!!」

「止まれ! 止まらなければ、敵対行動と見なすぞッ!!」

「……」

 大男に近づいて来た二人の兵士は、無言で近づいて来る怪しい人物に警告の言葉を投げかける。

 だが、大男の歩みは止まらない……。

「貴様! 我々の警告を無視するかッ!!」

 そう叫びながら、一人の兵士が腰に携えていた鞘から両刃の剣を抜き出した。この一人の行動に、大男に近づいて来た兵士と、それ以外の城門で警備をしていた兵士達も鞘から剣を抜き放った。

 だがこの光景を目の当たりにしても、大男はこれと言って気にした様子は無い……。

 剣を抜き、完全に臨戦態勢に入った兵士達の眼光が徐々に鋭いものへと変わって行く。

 すると、黒い全身マントの大男は。何やらマントの中の懐を漁り始め、暫くした後に一枚の羊皮紙を取り出した……。

 大男の様子に、兵士達は訝しげな表情をするも。大男が懐から取り出した羊皮紙を、目の前の兵士達に掲げると、兵士達は一斉に剣を収め始めた。

「これは失礼を致しました! まさか、国王様直々の通行許可書をお持ちであったとは露知らず!」

「別に構わん、早く此処を通してくれれば問題は無い……」

「了解致しました!!」

 大男が掲げた羊皮紙の端っこには、十字のラインが入った盾の後ろで、二頭の獅子が背中合わせで佇んでいる国章の印が押されていた。

 この印を確認した兵士達は、先程までの臨戦態勢を急いで解き。この印が押されている羊皮紙を持った大男を、丁重に城門の中へと案内をして行った……。


 巨大城壁内部へと通された大男の目に、まず飛び込んできたのは。ここ城塞国家“セントラル”の東西南北それぞれに建てられている巨大な剣の形をした“オベリスク”であった……。

「(相変わらず、無駄にデカイな……)」

 大男は、その目の前にそびえる一本のオベリスクを見上げながら、何やら感慨に耽っていた……。

 すると其処へ、白フードを被った一人の小さな太った男が近づいて来た。

「旦那、久しぶりで……どうでしたか? 十年の旅は?」

「ん? おお、えいか! よく俺が帰ってくると分かったな!」

 どうやら近づいてきたのは、この全身黒マントの男の知り合いだったようだ。

 だが傍目から見れば、両方とも顔をフードで隠してしまっているので、どう捉えようとも怪しい光景なのは否めない……。

「ええ、あっしの情報網を舐めて貰っちゃ困りますね~旦那?」

「それはすまない、あまりに久しぶり過ぎてな……」

「あれから丁度十年でさぁ……そりゃ記憶も薄くなってますからね」

 表情こそ窺えないが、久しぶりにあった二人が笑いながら会話をしているのは伺える……が。この和気藹々とした雰囲気を、突然今まで楽しげに喋っていたえいが崩し始めた。

「そろそろ久しぶりの御喋りも、これくらいにしやすか……」

「……分かった、で? ここ十年で、“セントラル”に変わった事は無かったか?」

 この切り替えに対し全身黒マントの大男も、纏う雰囲気を一変させる。

 すると、エイが言葉を続けはじめた……。

「変わった事は特にありません……まあ、この世界は旦那が十年間行ってた“デットライン(死の境界線)”の向こう側以外は、全て“ミトラス教”が支配してやすしね」

「そうか……だが、俺が“デットライン(死の境界線)”の向こう側に行っていたのは機密事項なんだがな? どうやって知ったんだ?」

「その辺は企業秘密でさぁ……。ですが、あっしが何処で情報を仕入れているかは言えませんが。旦那が気になる情報なら、これくらいで……」

 エイは、そう言いながら右手の人差し指を一本立てた。

 目の前の男の行動に、全身黒マントの大男は「ふん」と鼻を鳴らすと。マントの内側の懐から、革で出来た小さな巾着袋を取り出し、中から一枚の金貨を取り出した……。

 大男は、目の前で掌を合わし『ここに置いて』のゼスチャーを取っている男の掌に、その取り出した一枚の金貨を置いた。

 すると、エイは「まいどあり~♪」と機嫌良く言葉を発してから。直ぐにその金貨を懐に仕舞いながら、目の前で若干イラ付き始めた大男へと口を開いた。

「簡単に申しますと、城内の様子と国王の様子がきな臭くなって来たって事ですかね」

「……で、それがどうした?」

「旦那ぁ? 焦っちゃいけませんぜ? 話しはここからでさぁ」

「だったら早くしないか? 俺だって、これから迎えが来るんだぞ? それよりも早く済ませてくれ」

 黒いフードに顔を隠されていても、大男のイラ付きはエイにも十分に伝わっていた……が。

 エイは、その目の前でイラ付く大男を楽しむかのように、被っている白フード越しでも分かるぐらいに眺めていた。

 どうやら、この情報屋……タレコミ屋とも言うが―――― エイにとっては、この様に目の前で相手を焦らす様に勿体つけるのが楽しい、そんな変わった趣味の持ち主の様であった。

「やれやれ……仕方ないですな、旦那?」

「……」

「……じゃあ、教えますぜ?」

 そう言いながら、エイは一度「コホン」と咳払いをしながら情報をタレコミ始めた。

「まず、国王以外の連中からでやすが……。旦那は、“四大枢機卿”の事は覚えていらっしゃいやすか?」

「ああ、覚えてるぞ……俺がいた時と変わりなければ、“政・軍・隠・親”を司っている連中の事だろう?」

 大男の言った“政・軍・隠・親を司る者達”とは、この“セントラル”……いや、この大陸を支配している宗教である“ミトラス教”の中核を担う人物達の事である。

 エイは、大男がその事を覚えている事を確認すると、少しだけ大男との距離を縮めながら小声で説明を続けた。

「その“四大枢機卿”の連中が、国王様の暗殺を企てているそうなんですよ……」

「馬鹿な!? ありえんだろそれはッ!」

 影から出た言葉に、大男は空気を読みつつ小声で驚きの声を発した……。

 その様子に少しの安堵を覚えながらも、エイは話しを続けた。

「ありえない事は無いと思いやすがね? “四大枢機卿”はあくまで皇帝……つまりは、国王様の上に君臨する、“ミトラス教”教皇様の手駒でやすからね」

「教皇か……そういえば、俺がいない間に、あの“引きこもり”は一度でも出てきたのか?」

「滅多な事を言うもんじゃないですぜ? 旦那? 教皇様は確かに、ここセントラルの城、ネイロス城の中央塔の天辺から出てきたときはありゃせんが、その事は禁句でっせ? もしも他の信者に聞かれでもしたら……」

「おれは無宗教者だ、特に気にする事もなかろう?」

 この国……いや、大陸では、ミトラス教の信者は白いローブを身に着用しなければならない。

 逆に、この大男の様に白以外の服を着ている者達は、この大陸では無宗教者と呼ばれ。信者達とは違って、教えなどには拘束される事は無いのだが……。

「でやすが、無宗教者はただでさえ、信者達からは良く思われていないんでやすから……」

「良く思われるとかレベルじゃない、ほぼ奴隷の様なものだ……それか、俺みたいに国の犬にされるかだ」

 大男が言った様に、この大陸では無心教者は最下位の階級に置かれており、正直信者達からは大男の言うように奴隷の様に扱われているのだ。

「そいつは失礼しやした、でやすが、気を付けてくだせえよ? あっしだったから良かったものなんでやすからね?」

「人を選んで言っているつもりだ、問題は無かろう?」

「……話しを戻しやすよ?」

 自身の忠告を軽く流した男に、エイは溜息を付きながら話しを元に戻した。

「とにかく、国王の暗殺を企てている可能性は高いとみて間違いはないでやすよ? 何たって、情報源は城内部にいる人間なんでやすから」

「城内部から情報を? お前、どんな手を……」

「キャアアアアッ!!」

「デ、デーモンだ!!」

「ッ!?」

 大男がエイと話しを続けていると、突然大男が先程潜って来た城門の外から、人々の悲鳴が聞こえて来た。

「旦那! デーモンが出たそうでやすよ!?」

「そんなものは、今の叫びで分かっている!!」

 突然の出来事に狼狽するエイを他所に、大男は身に纏っている黒いフード付きマントをなびかせながら、声が聞こえて来た城門の外へと、その体格からは考えられない速度で疾走していった。


 ◇――◇――◇――◇


 黒い大男が城門外に到着すると、そこには一体の細長い異形の者が存在していた……。

 その異形の者は、人間よりも倍近い大きさを誇っているが、足は短く折り曲げられており、逆に胴体がやたら長く、それと比例するかのように長い腕の拳を地面に押し付けている。どうやらこの立ち方が、この異形の者にとっては本来の立ち方の様であった。

「オークか……“セントラル”に“生まれた”にしては、随分と低級のデーモンが出たものだな」

 黒い大男は、背中に背負っている、白い布で覆われている巨大な鉄板の様な大剣の持ち手を握りながら、跳ね橋の上に佇んでいる異形の者を見据えながら構えていた。

「グルルルル……」

 オークと呼ばれた異形の者もそれに気付いたのか、普通の人間が直視すれば恐怖で慄いてしまうそうな視線を、目の前で腰を落しながら、背中の武器を構えている大男へと向けた。

「それに大きくはあるが、太さが足らないな……」

 異形の者と対峙しているというのに、大男はフード越しでも分かるぐらいの冷静さで呟いた。

 オークは、その大男の呟きに反応するかのように、体を大男へと向け、地に付けている拳に力を込め、もともと折れ曲がっていた背中を更に折り曲げ、まるで猛獣が今から獲物を捉えるかのような構えを取った。

 黒いマントに覆われた大男は、マントから大剣を掴んでいる腕だけではなく、逆の腕も体の前に突き出しながら、これから飛び込んでくるであろう相手を見据えた……。

 突き出された腕は、まるで相手との距離を測るかのように、相手に向って真っ直ぐと向けられており、反対の腕はまだ背中に背負っている大剣の柄を握っている。

 大男の構えは左の腕を前に出した左構えだ、加えて重心も膝を少しだけ曲げながら落としており、完全に向ってくるオークを迎え撃つ構えであった。

 そして、一人と一匹の間合いが形成されて行った……。

 オークと呼ばれた異形の者の間合いは、明らかに目の前で構えを取っている大男を飲み込むぐらいの大きさがあった……当然だ、前に飛びかかろうと、それ相応の構えを取っているのだから。

 大男の方は、明らかに間合いが狭い……当然だ、目の前で飛び掛ろうとしている異形の者を迎え撃とうとしているのだから。

「グルルル……」

「……」

 両者の緊張が張り詰めていく……。

 そして動き出したのは、やはりオークの方であった――――


「ガァァァ!!!!」

 オークはこれまで構えていた四つん這いの低さのまま、後ろ足で木製の地面を爆ぜさせ、目の前で己の事を迎え撃とうとしている相手に突貫した。

 オークがこちらに迫るスピードは単純に速い……。

 それも走り方が、まるで猛獣の様に四肢を使った走り方なのだから、オークの外見のおぞましさも相まって、かなりの獰猛さを感じさせる姿であった。

「すぅぅぅぅ……」

 黒い大男は、その凄まじいスピードで迫ってくるオークを見つめながら、静かに息を吸い始めた。

 一人と一匹の距離が、凄まじい速度で縮まっていく……。

「ガッ!」

 オークが自身の間合いに相手を強引に入れ込んだ瞬間、オークはその巨大な右拳を振り上げながら大男へと攻撃の体勢に入った。

 だが大男は動かない……。

 まるで、まだその瞬間が訪れていないかのように……。

 オークが振り上げていた右拳を、大男に向けて打ち放った。

 だがそれでも大男は動かない。

 オークの右拳が、大男が突き出していた左手を通過しようとしたその瞬間……ついに大男が動き出した。

 しかし、遂に動き出したと言っても、大男が取った行動は至ってシンプルだ。

 大男は今まで掴んでいた鉄板のような大剣を背中から抜き放ち、黒いマントを翻しながら、一瞬のうちに片手から両手持ちに切り替え、左構えにしていた体を前に進むようにして入れ替え、体を入れ替えた事によって、相手の右拳を自身から見て左側へとやり過ごし、それと同時に抜き放った大剣をオークの顔面に振り下ろしただけなのだ。

 この間、大男の動きを追えた者は、城門前の兵隊を合わせてもほぼ皆無といった状態であった。

 それほどのスピードで振り下ろされた大剣は、辺りに轟音と、暴風を吹き荒れさせた……。

 この暴風のせいで、周囲にいた人間達は、舞い上がった埃や木片などから顔を守るため、腕で目の前を覆うだけが精一杯であった……。


「……や、やったのか?」


 誰とも知らないその声は、どこか不安に満ちた声色であった……が。

 舞い上がった埃などが風で流され、視界が良好になって行くに連れて、その不安も風に流されていった。

 周囲の人間達がまず見たのは、鋼の様な太い腕で、汚れた白い布で包まれた大剣を振り下ろしたまま、自身が大剣を振り下ろした先を見ている大男の姿であった。

 そして、周囲の人間達もその視線を追う……すると、そこには大男が振り落とした大剣に頭部を潰され、突き出した拳をだらけさせながら、前のめりに地面に突っ伏しているオークの姿があった。

 大剣を振り落とした先には、オークの体から出た物であろう……緑色の液体が周囲に飛び散らしていた。

「や、やった! オークが死んだ!!」

 その瞬間、歓喜の声が周囲に伝染していった……。

 だが大男の表情は晴れない……。

 そんな周囲の喧騒とは真逆の雰囲気を醸し出している大男に、先程まで何処にいたのか、白いローブを身に纏った、小さく太った男、エイが近寄ってきた。

「旦那、こいつは?」

「ああ、セントラルに“生まれた”にしては低級過ぎる……」

 大男は影の言葉に返事を返しながら、ゆっくりと今まで振り落としていた大剣を肩に「ズシ……」と担ぎ始めた。

「デーモンは突然、どこからとも無く沸いてくる存在。それは場所を選ばず、ふとした拍子に空間を歪ませ、そこから“生まれ出てくる”」

「ああ、だが俺がいた頃はセントラルに出てきた時は一度も無かった……」

「怪しいですね……あっしも初めての経験ですから」

「という事は、俺がいなかった間も出てきたときは無いと……」

 大剣と担ぎながら、なにやら考え込む様な仕草をする大男と、それを見守るエイ

 するとその二人の下に、いつの間にかに出来ていた城門前の人だかりを掻き分けさせながら、一頭の馬に跨った一人の騎士が現れた……。

 その騎士は、身に纏っている全ての鎧が金色に輝いており。騎士の右肩には、ミトラス教最強の騎士にだけ送られる、金色の毛皮、天下の秘宝「金羊毛皮ゴルヅン・フリース」が掛けられていた。

「この近辺にデーモンが生まれたと聞いた! 誰か見た者はいないか!」

 金色の騎士は、兜を被っていないお陰で露になっている、その端正な顔の眉間に皺を寄せながら、周囲の人間に声を上げた。

 だが周囲の人間達は、皆一様にある一点の場所を見つめていた。

 その周囲の人間達の反応に、金色の騎士は。これまた金色の髪を揺らしながら、周囲の人間と同じ方向に視線を向けた……そこには、大剣を肩に担いだ、無神教者の証である黒い格好をした大男が立っていた。

「そこの無神教者! 貴様は誰だ? それとデーモンはどこにいった?」

 金色の騎士は、いまだ馬に跨ったまま、こちらをフード越しに見上げている大男に指を指した。

 大男はその指された指に肩を竦めながら、どこか楽しそうな口調で金色の騎士に言葉を投げかけた。

「セントラル最強の騎士である、“親”を司る程の騎士が態々デーモン退治とは。暫く見ないうちに、この国もだいぶ人員不足になっていた様だな!」

 金色の騎士は、その不敬とも取れる言葉よりも、大男から発せられた“低い声”に眉を顰めながら反応した……。

「その声……まて、どこかで聞いた事がある。それにその剣とも取れぬ大剣……無神教者で巨躯な男」

 金色の騎士は、周囲の人々など置いてきぼりにしながら、ひたすらに自身の思考を続けていた。

 すると、思考と続けていた金色の騎士が突然思考と止め、次にまるで信じられないと言った風な、またはどこか嬉しそうな表情で口を開いた。

「お、お前……もしやレオンか? レオン・アキレウスか!?」

 懐かしい友人の名を確めるように、金色の騎士は馬から身を乗り出しながら、大剣をいまだ担ぎ続けている大男に問うた。

 その問いに大男は「やっと思い出したか……」と呟きながら、自身が今まで被っていた黒フードを、その太い腕の大きい手で拭い去った。

 そこに露になったのは、黒く短い短髪、彫が深く厳つい目元、一般的な顎の太さであるが、首の筋肉や頬の筋肉のせいで頑丈そうに見える顎、そしてそこに生えている無精髭と……一見すれば、ダンディとも厳つい男とも取れる伊達男の顔が露になっていた。

 そして素顔を晒したレオンと呼ばれた大男は、目の前で馬に跨っている金色の騎士に口を開いた。

「久しぶりだなぁ! ケル・イアソン!!」

「やっぱりか! やっぱりレオンか、お前!!」

 レオンにケルと呼ばれた金色の騎士は、まるで再開を喜ぶ子供のように跨っていた馬から飛び降り、金色の鎧を“カシャカシャ”と鳴らしながら、フードを払い、いまだ大剣を担いでいるレオンに駆け寄って来た。

「久しぶりだな! 何年振りだ? もう十年か? それとデーモンはどうした!? やはりお前が片付けたのか!?」

「ケル……再開を喜ぶか、仕事の話しをするのかどっちかにしろ」

 興奮して捲くし立て始めるケルに、レオンは若干の呆れ混じりに注意をした。

 そんなレオンの仕草に、ハッと我に帰ったケルは「おほん」とわざとらしく咳払いをしながら、話しを整理し始めた。

「では、友との再会を喜ぶ前にデーモンの話しをしよう」

「ああ、それは俺が殺した」

 レオンはそう言いながら、ケルにある箇所を見るように、片手の親指を立てて指し示した。

 するとそこには、先程まで居た筈の異形の者の死体が消え去っており、周囲に緑色の液体が飛び散っているだけの光景が広がっていた。ついでに言えば、レオンの一撃のせいで、大剣を落とされた箇所が捲りあがったかのように木片を立たせていた。

「なるほど」

「ケル、頷いても良いが。どうして“親”を司るお前が直接来てるんだ?」

 レオンの説明に、ケルは当然と言った風に答えた。

「初めてセントラルに直接生まれたデーモンだからな、どれ程の危険性を孕んでいるか分からなかったために、私がこうして直接出てきた訳だ」

「いや、だったらまずは部下にやらせろ。それか、他に居ただろ? 態々親衛隊まで出す必要も、その長であるお前が来る必要もないだろ?」

 そのレオンの言葉に、ケルは「しかし、それでもし死人が出たらどうするのだ?」と返してきた。

 しかし、そのケルの言葉を聞いた瞬間、レオンは「(これは長くなりそうだな……)」と、心の中で判断をし、話題を変えるために自身の任務の話しをし始めた。

「それはそうとケル、俺を早く城に連れてってくれ。戻ったのなら早く国王様に報告をしなければならん」

 そのレオンの言葉にケルは「おお! そうだったな!」と思い出したかの様に大袈裟なリアクションを取り、身をレオンから後ろに控えさせていた馬の方へと振り返えさせた。

「それでは行こうか、我等が皇帝の膝下、“ヘシオドス”に!!」

「ああ」

 ケルが宣言をすれば、レオンは短い返事を返した……。

 ふとレオンが周囲を見渡せば、既に先程まで居た筈のエイの姿は無い。

 だがその状況を、レオンはまるで馴れているかの様に無視しながら、馬に跨り、既に城門の中へと進んでいたケルの後を追った……。





 それは昔々のお話し……。

 どれだけ昔かと聞かれれば、それはこの世界が始まる以前のお話し。

 この世界が出来る前は、全てに先立って混沌カオスが生まれた。

 そこに、混沌から大地ガイアが生まれ。この次に原初のエロスが生まれ、エロスは原初の力を用いて冥界タルタロスという奈落を生み出した……。

 ガイアは自らを包むため、自身と対等の大きさを持つ天空ウラノスを生み出した。

 この二人の神は、後に夫婦となって様々な神々を生み出す。

 そして、ガイアとウラノスが夫婦になってから何億年の月日が経った頃、それは起こった。

 神々の戦争だ……。

 これまで、世界は混沌と冥界のみが存在する邪悪な世界であった。

 この事を嘆いた、我等が永遠の皇帝ゼウスは、冥界の王ハデスに闘いを挑んだ……。

 その闘いは千年に及び、気付いた頃には他の神々もゼウス側とハデス側に別れていた。

 闘いは、我等が永遠の皇帝ゼウスの勝利で幕を閉じた……。

 この闘いに敗れたハデス側の神々は、ハデス諸共タルタロスに閉じ込められてしまった。

 ハデス達を閉じ込めたゼウスは、そこに新たなる世界を作り出した……。

 その世界の名は……カルマ。

 そう、これがおよそ四千年前に起きた、我々の世界が誕生した瞬間であった。


 どうでしたか?

 正直、前書きに書いた通り、ファンタジーだとかに馴れていないので、他の人いチャックしてもらわねば、修正点が分からないのです。

 ですので、ご指摘があればお申し付けくださると助かります。


 あと、アンケートの結果次第で、他に書いたもう一つのオリジナル小説と、こちらの小説のどちらを書くかを決めますので、どうぞ、二次から来た方々はそちらの方も宜しく御願いします。


 では、またの機会が御座いましたら、その際にはよろしく御願いしますノシ


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