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1.小学生の記憶

小学生時代の僕は、いわゆる「悪ガキ」だった。授業中教室を抜け出して、隣の空き教室に忍び込んでゴミ箱にラクガキをしたり、やっぱり授業を抜け出して体育館裏でカードゲームをしたり。


 毎回毎回校長室に呼ばれていたことを記憶している。しこたま怒られたあと教室に戻ると必ず大悟は頬杖を付いたままこっちを見て笑っていた。


「隼人くんまた怒られてたね。」

「もう慣れたよ。次は何しようかなぁ。」

「あんまり怒らせちゃうと校長先生死んじゃうよ?」


 そう言って笑いながら、僕の頭を軽く撫でる。それが少し心地よかった。今思えばもう「大悟の沼」に落ちていたのかもしれない。


 大悟は勉強がすごく出来る子だった。僕とは違って。いつも休み時間は僕と話したり、本を読んだりしていた。それでも友達がいなかった訳ではなく、たまに外に出て走り回っているのを見た。


 放課後はよく大悟の家に遊びに行った。大悟のお父さんお母さんとはもう3歳からの付き合いだったし、いつも歓迎されていた。大悟のお父さんお母さんは子ども好きらしく、他の子どもたちが来ても嫌な顔一つせずにお菓子や飲み物を出してくれた。


 その日は、大悟と僕の2人きり。宿題を片付けていた。


「ねー、大悟。遊ぼう。」

「また宿題終わってないよね?宿題終わるまで遊ばないから。」

「ちぇー。あ、ここ分かんない。」

「ん?あぁここはね…」


 大悟に宿題の分からないところを教えてもらいながら、宿題をつつがなく終わらせる。遊びの時間だ。


「宿題終わったよ!何して遊ぶ?」

「限定のレアカード手に入れたんだけど、バトルする?」

「いや、僕カードゲーム分からないから。理玖の家でも行く?」

「そうだね。理玖くんちなら多分拓郎くんたちいるだろうから、バトル出来るね。」


 理玖とは、同じクラスのお金持ちな同級生だ。大悟の次に優しく気の弱い彼の家には、友人たちが毎日毎日集まっていた。


「あれー?大悟に隼人じゃん。どうしたの?」


 こいつは拓郎。リーダー格で逆らえるものはいない、ガキ大将だ。とは言っても殴ったりはしてこないけれど。


「限定のレアカード手に入れたんだ。バトルしようよ。」 「おっしゃ!負けねぇぞ!」


 理玖も僕もカードゲームをしないので、拓郎と大悟がカードゲームをしているのを壁にもたれながら見ていた。


「隼人くん、りっくんお菓子持ってきたから食べてね。」

「ありがとうございます!」


 流石お金持ち。出してくれるお菓子もどこか高級感がある。


「隼人、算数のドリルやった?」

「やったよ。見る?」

「見る。ありがとう。」


 理玖が僕の宿題を写している間に、拓郎と大悟は2戦目に入っていた。


「何、拓郎負けてんの?」

「ま、負けてねぇし!勝ちを譲ってやっただけだよ!」

「負けは負けだよ。さ、もう一戦やろうよ。」


 拓郎と大悟はカードゲームに夢中で、理玖は僕の宿題を写すのに夢中。僕は理玖が飼ってる猫と戯れていた。


「じゃあまた明日ねー!」


 理玖の家を出て、大悟と2人で家に向かう。ちなみに拓郎と理玖は同じマンションに住んでいて、僕は大悟の家から200m先にあるマンションに住んでいる。


「じゃあまた明日ね!」

「また明日!」


 大悟と別れて家路に着く。今日はお小遣いで買った、僕の好きなバンドのCDが届く日だ。


 翌日。登校班の集合時間に少し遅れて着いた僕は、先輩たちに挨拶をした後、大悟を探した。


「あれー?大悟は?」

「あぁ、風邪らしいよ。今日は休みだって連絡帳渡された。」

「そうなんだ…。」

「隼人、1年生の手、繋いであげてね。」

「あい。光貴くん手繋ぐよ。」

「はーい!」

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