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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第五章 『RAID6』へようこそ

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77 クリフォトの樹の魔神集結と『RAID6』の終焉

「できないんだよ。だって、貴方は・・・カイトは死んじゃうんだよ!」

 リリスが涙を流しながら言う。


「何度やっても駄目なの! どうしても最後で勝てないの」

「リリス・・・・」

「私は死なない。でも、カイトは死んじゃう。何度も、何度も、何度も、一緒に魔法少女戦争で戦ってきて、一度も勝てない」

 リリスが体を起こして、座り込んだ。


「もう、何度も貴方が死ぬところを見たくない」

 懇願するように言う。


「約束する。俺は絶対に死なない。今度こそ、魔法少女戦争の勝者になる」

「カイト・・・・・」

「思い出したんだ。昔のこと」

 リリスの涙を拭う。


「え?」 

「リリスが聖杯の水を飲み、最初の魔法少女になったこと。俺が魔神サマエルだったときのことを思い出したんだ。そこから魔法少女戦争が始まったんだよな」

「!!」

 はっとした表情でこちらを見る。


「・・・・リリス、俺を信じろ。もう一度、契約してくれ」

「死なないって・・・約束できる?」

「あぁ」

 リリスが頷いた。

 人差し指を指輪に置いて、何かを唱えると、模様のようなものが浮き上がって消えていった。


「さんきゅ」

「約束・・・守ってね?」

「当然だ」

 リリスはまだどこか不安そうだった。


「もういい? このシールド解いてくれない?」

 ファナが腕を組んで言う。


「あ、ごめんごめん」

「全く・・・あれだけ出血してシールドを展開し続けるなんて、どうゆう魔力してるの。ねぇ、ラインハルトは何してたの?」

「け・・・見学だよ・・・・」

 ラインハルトが真っ白な顔を上げて、力なく笑った。

 ファナが呆れたように、髪をかき上げる。


「リリス、さっきは偽物とか言ってごめんね」

「わっ・・・・」

 ノアがリリスに抱きついた。


「でも、こんな戦い方しないで」

「ノア?」

「僕も反対だからね。次は許さない」

 アクアが涙を拭きながら、屈んでいた。


「ありがと。私、七陣魔導団ゲヘナのために何もできていないのに」

「これから働いてもらうから」

「了解」

 リリスの表情が柔らかくなる。


「・・・・あと、カイトのことは私もライバルだから」

 ノアが聞こえるか聞こえないかのような声で呟いた。


「え?」


「えっ、ノア、どうゆうこと!?」

「んーと、なんでもない。みんなには内緒ね」

「僕、聞かなかったことにできないよ・・・」

 アクアがノアを揺さぶっていた。

 ノアが少し顔を赤くしながら、視線を逸らしてとぼけていた。


「あれ? カマエルは?」

 ファナが周りを見渡す。




 ザァッ・・・


 カマエルがエリンを抱きかかえて、奥のほうから歩いてくる。


「カマエル・・・その子は、えりえり・・・・?」

「そうだよ」

「あれ? カマエル、声が・・・」

 エリンは眠っているようだった。

 

「ロボットからは逃れられたのか?」

「俺が介入することでね。魔法少女戦争において、神の介入は許されない。でも、こんな一方的なシステム、ありえないだろ!」

 カマエルの目が赤く光り、地面からは小石が浮き上がっていた。

 空気が震えている。


「『RAID6』だから、魔法少女に何してもいい? 限界だ! クソ過ぎるだろうが! エリンちゃんがどうしてこんな目に合わなきゃいけないんだよ!」


「俺たち気が合うな」

 笑いながら言う。


「たった今、俺もそう思っていたところだ」


 ジジジジ ジジ


 急に魔法陣が展開され、AIポロとロボットが現れる。

 さっき、リリスを攻撃したロボットと同じ者だった。


 立ち上がろうとするリリスを、手を上げて止める。


『貴方は戦の神、カマエルですね。神が魔法少女戦争に介入することは禁止されています。また、閉じ込められていた少女を勝手に連れ出すのもルール違反となります』

「だから、なんだよ」

『よって、殺さなければいけません。魔法少女えりえり、およびそちらにいる魔法少女リリスは・・・・』


 シュンッ


 カマエルがAIポロを一突きした。

 ポロは無表情のまま、別の場所に移動した。


『無駄です。貴方が何の神であっても、電子世界にいる私を刺すことはできません。『RAID6』にいる限り、私たちがルールとなります』

「クソが」

 カマエルが吐き捨てるように言う。


 指で空中をなぞるようにしながら、詠唱を始めた。


 ― XXXXXXXXX XXXXXXXXX XXXXXXXXXX

    XXXXXXXXX XXXXXXXX XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX ―


「カイト!」

 リリスを無視して詠唱を続けた。


 俺が唱えていたのは、魔界の門を開ける一つのキー。

 クリフォトの樹の魔神の招集・・・リリスの知らないものだ。

 

「なっ!?」

 皮膚がピリつくような魔力が走る。


「クリフォトの樹の魔神、ベルゼブブ、ルキフグス、アスタロト、アスモデウス、ベルフェゴール、バアル、アドラメレク、ナヘマー、タウミエル」


 地面を蹴って魔法陣を発動させる。


「集え」


 ドドドドド


「え!?」

「俺たちから離れてて。あ、エリンちゃんが目を覚まさないようにね。驚くと悪いから」

 カマエルがリリスとファナに下がるように言う。


 クリフォトの樹の図のように、魔神たちが集った。


「っ・・・・」

 ラインハルトが瞬時に片膝をついて頭を下げる。

 額に汗を滲ませていた。


 ファナ、アクア、ノアたちは呆然としている。


『久しぶりだな、サマエル』

 タウミエルが目を細めてほほ笑む。


「あぁ、長いこと人間でいたからな。悪くないだろ?」

『変わらないようで何よりだよ』

『我々を呼んだということは、準備が整ったのですね?』

『なーんか、魔界から出る機会はないから新鮮だよね』

『これが電子世界。カマエルが言っていた通り、なんだか面倒だな』

 魔神たちがざっくばらんに雑談していた。


 ジジジジ


『何をするつもりですか?』

 ポロが気の抜けたような声で聞いてくる。


「予測してみろよ」

 笑ってみせる。


「カマエル、移行のゲートキーパーはお前だろ。もちろん許可するよな?」

「当然だ。ぶち壊してやる・・・・あ、エリンちゃんを安全なところへ」


「え・・・うん」

 カマエルがリリスにエリンを預けていた。


『貴方たちをバグとみなします。エラーエラー、直ちに『RAID6』へのログインを停止。プレイヤーを強制ログアウト。如月カイトをゲームの外に・・・』

「遅いんだよ。神をなめるなよ?」


「魔神カマエルの名において、ゲートを開くことを許可する」

 カマエルが剣を出して、展開された魔法陣に突き刺す。


『魔法少女戦争からの追放を命じます』

 ポロが淡々と言う。


「ポロ、と、そこのロボット」

 言いながら、両手をかざした。


 サアアァァァ


 魔力を解放していく。


「これから進む電子世界は、俺たちクリフォトの樹の魔神の統べる世界だ」


『ありえません。そのようなことは・・・』

「魔法少女戦争の場を、ゲームの世界にしたのが間違いだったな。そもそも、魔神は頭がいいんだ。コードの書き換えは得意なんだよ」


『ショウジュン ヲ キサラギカイト ニ』


 ゴオォオオオオオオオオオ


 クリフォトの樹の魔法陣の外側がぐるぐる回りだす。

 魔神の魔力をコードに変換して、ゲームの世界を書き換えていく。


 全てが一度無になる。


『エラーエラー直ちに・・タダ・・・タダチ・・・』


 ゴオオオオォォォォォォ


 ダンジョンだった場所が変化していく。

 AIポロとロボットが吞まれるようにして消えていった。


「うわぁっ・・・」

「大丈夫。私たちは、守られてるみたいだから・・・でも、これは・・・」

 後ろで、アクアとファナの会話が聞こえた。


「カイト・・・・」

 

 ジジ・・・


 リリスが俺に近づこうとして、魔法陣の結界に弾かれる。

 

「危ないから近づくな。リリス、俺は無策で俺を信じろなんか言わない」

「何をしようとしてるの?」


「俺たちが『RAID6』を乗っ取る」

 

「!?」

 リリスが目を大きく見開く。

 

「ねぇ、カイト。クリフォトの樹の魔神中心の世界にしたらどうする? ゲームの名前は何にしようか?」

 カマエルが軽い口調で聞いてくる。


『俺はベルゼブブ様の名前を取ってベルゼブブって名前にしたいな』

『欲望が過ぎるぞ』

『私はアスタロトがいいわ。人間に私の名前が広まるのね。アスタンでもいいわよ』

『いや、”失楽園”が順当だろう。人間にもわかりやすい』


『えーつまらない』


「相変わらず、うるさい奴らだな」

 コードを展開していきながら、息をつく。

 アスタロトのコードが微妙に引っ掛かっていた。

 組み直して、再構築していく。

 


「名前は”ロストグリモワール”だ」


 低い声で言う。



 ― ロストグリモワール ―


 メイリアのような魔力が、横切ったような気がした。

 ”ロストグリモワール”の名前を唱えると、不思議と電子世界の接続が安定されて構築されていくのを感じた。

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