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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第五章 『RAID6』へようこそ

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76 カプリニクスのダンジョン③ ~リリスと

 ― ルピス


 キィンッ


「どうゆうこと?」

 リリスに剣を振り下ろすと同時に、リリスが杖で止めた。


「カイト」

「そんな言葉で、俺がハイそうですか、って引き下がると思うか!?」

 声を荒げる。


「・・・だって仕方ないんだよ」

「何が?」

「『移行できなかった魔法少女はダンジョンから出られない』」

 リリスが小さな声で言った。


 ドドドドドッドドドドド


 急に、ダンジョンが揺れる。


「うわっ」

「地震・・・!?」

 アクアが持ち直して、天井を見る。


「ほら、来ちゃった。下がってて」

「!」

 リリスが杖を回して、俺の剣を弾く。 


 ― 鉄壁守護リールフ ― 



「これは・・・・?」

 ファナが手でシールドに触れる。

 リリスが前回とは違う、ガラス張りのようなシールドを俺たち一人一人の前に展開していた。


 手袋をはめながらこちらを見る。


「絶対に、その中から出ないで。危険だから」

「危険って、どうゆう意味?」




 ビービービービー


 けたたましく警報音が鳴る。

 瞬時に3体のロボットが現れて、両手から赤いレーザービームのようなものを出した。


 シュン シュン シュン シュンッ


 全てがリリスの肉体を貫く。


「!!!!」


 スローモーションのようにリリスが浮き上がって見えた。

 血が吹き飛んだ。


「リリス!!!!」


「・・・あ、大丈夫、私、死なないから」

 逆さまに浮きながら、余裕の笑みを見せる。


「そうゆう問題じゃないだろ!!」

 リリスが空中で体勢を直し、すぐに回復しながら、杖を回した。


「心配しないで。痛覚も魔力で調節してるから痛みも無いの」

「は・・・?」

 頭から血を流しながら、ロボットを囲むように、冷静に魔法陣を展開する。


『キュウショ ヲ ツラヌイタガ ウゴイテル』

『ナゼ ウゴイテル?』

『ヒキツヅキ タイセイ ヲ カクニン』


 リリスが何かを唱えると、魔法陣にコードのようなものが浮き上がった。


 ― 破壊クラッシュ


 パァンッ


 魔法陣が弾けると、ロボットがバグのように画質が粗くなった。


『エラー エラー ヨキセヌ コードヲケンチ』

『キュウショ ヲ サイド』

『ショウジュン ヲ アワセル ツギハ コロス』


「・・・やっぱり、これしか効かないのね」

 リリスが杖を銀色の拳銃に変えた。

 ロボットが手をリリスに向ける。


「リリス!!!」 


 リリスのシールドは魔力に電子コードが埋め込まれていて、簡単には解けないようになっていた。

 でも、このままリリスがやられているのを見ているだけなんてできない。

 頭を巡らせろ。解除コードを探せ。


 シュンッ


「いや、いや、駄目だよ! こんなの!」

「どうして、魔法が! 解けない!」

 ノアとアクアがシールドを叩いて叫んでいた。


「リリス・・・私はこんなの望んでるわけじゃ・・・・」

 ファナが血だらけのリリスを見て首を振っていた。

 

 ロボットの赤いビームがリリスを貫いた。

 血が溢れ出す。

 ジジ・・・と、肉の焼き切れるような音が響いていた。


「もう・・・もう止めて! お願い!」

 ノアが大剣を出して、シールドを打ち破ろうとしながら、金切声を上げる。


「このシールドを解きなさい! リリス!」

 ファナが杖でシールドを叩く。


「でき・・・ない・・・よ」

 リリスが体勢を崩しながら、片目を押さえて銃を構えた。


 床が血だまりになっていた。

 死んでもおかしくないほどの出血量だ。


『ニンゲン ノ キュウショ ツラヌイタ』

『シンダ シンダ』


 パァン パァン パァン


 しゅううぅううううう


 リリスが銃をロボットに命中させて、息を切らす。

 ロボットが煙を上げて消えていった。


 ザッ


「カイト!」

「っ・・・・」

 リリスのシールドを打ち破って、リリスに駆け寄っていく。  

 

「リリス・・・」

「私・・・痛くないからそんな顔しないで。死なないんだし、魔力だってあるから自己回復できるし・・・」

「ふらついてるだろうが」

 リリスを抱えて、その場にしゃがむ。

 銀色の銃が地面に落ちると同時に消えていった。


「少し血を流し過ぎただけ。回復まで時間はかからない」

「そうじゃないって」


「あ、よく私のシールド、解除できたね。さすがカイトかな。でも、またいつあいつらが来るかわからないから、私がいなくなるまではシールドの中にいてほしかったんだけど・・・」

 俺以外はシールドが展開されたままだった。


「どうしてこんな・・・・こんな戦い方するんだよ!」

「え・・・・? ふふ、カイトは変わらないね。大げさだな・・・」


 リリスは羽のように軽かった。

 不死の呪いがリリスの治癒魔法より早く、回復しているようにも見える。


 俺が手をかざして回復魔法を唱えようとすると、リリスが首を振った。


「本当に大丈夫。ごめんね、見た目がグロかったよね。だから、早く離れたかったんだけど・・・」

「・・・・・・」


 また謝っていた。

 リリスは何も悪くないのに・・・。



「AIポロ、『移行に失敗した魔法少女』について説明して」

『かしこまりました』

 ノアが大剣でリリスを隠すようにしながら、ポロを呼んでいた。


『移行に失敗した魔法少女はプレイヤーと契約するまで、ダンジョンを抜け出すことはできません。勝手に地上に出ようとした場合、死ぬことになります』


「は!?」

「何それ!?」

 ノアとファナが同時に声を上げる。


「そもそも移行できないって何? 移行できない魔法少女が何かしたの!?」

『いえ、振り分けで移行対象外とされたためです。移行対象外を選択するロジックは、ランダムに作られています』

「ひどい・・・」

 ファナが言葉を失っていた。


「プレイヤーと・・・・契約するの?」

『そうです。ただいま、この『RAID6』には多くのプレイヤーがログインしてきております。彼らと契約すればダンジョンを出られるのです』

「じゃあ、主との契約はどうなっちゃうの?」

『プレイヤーと契約することで破棄されます。主は複数の魔法少女と契約できますが、魔法少女は1人の主としか契約できませんから』


「何? その勝手な契約・・・・・・」


『魔法少女戦争を『RAID6』で実施する上でのルールとなります』

 ポロが淡々と話していた。


『他にご質問はありますか?』


「何もない。消えて・・・」

 ノアが脱力したような声で呟く。


「早く! 消えて!」

『かしこまりました』


 ジジジ・・・


 電子音が響く。

 ポロが消えたのを確認して、ノアがこちらを見た。


「・・・そうゆうことだよ」

 リリスが長い瞬きをしながら言う。


「他の魔法少女は最下層にいるんだけどね。私みたいに外に出ようとするとロボットの攻撃で急所を打たれて死んじゃうんだ。あのロボット、どこまでも追いかけてくるから」

「どうしてリリスは、こんな目に合ってまで、ダンジョンを出ようとしてるんだよ」


「『黄金の薔薇団』に戻らなきゃ。魔法少女戦争が終わる糸口が・・・」


「なんで自分をこんなふうに扱うんだよ!」

 ダンジョン内に俺の声が響いていた。


 人間の戦い方じゃない。

 人間がやっていい戦い方じゃない。


「・・・悲しまないで」

 リリスが青白い顔で、手袋を脱ぐ。

 右手を頬に当ててきた。


「カイトが私のことを想ってくれるのは、カマエルの言う通り、契約という名の呪いのせい。本当だったら、とっくに見放してるよ」

「そんなわけ・・・」

「如月タツキはカイトのお父さんだから、カイトと同じ血がある。彼は魔法を残したいみたいだけど、魔法少女戦争は終わらせることに同意している。今回はちゃんと勝つから、終わらせるから・・・・」

 言葉を遮って話す。


「もう行くね。早く行かないと・・・」


「リリス、一方的に話さないで、ちゃんと俺の話も聞けよ」

「え?」

 笑いかける。

 リリスの血は止まり、傷は、もう治りかけていた。


「俺が信頼できないか?」


「違っ・・・!」

「じゃあ、俺ともう一度契約しろ。リリス」

 目を見つめながら言う。


「・・・・・」

 一瞬、沈黙が降り落ちた。


「契約しろ、リリス=ミュフォーゼ」

「っ・・・・・」

 二度言うと、リリスが大きな蒼い瞳を潤まていた。  

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