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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第五章 『RAID6』へようこそ

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72 魔法少女実験被験者の嘘

「わぁ、セレーヌ城も随分変わったんだね」

「あ、リリス様、少々お待ちを・・・」

 戦士たちがリリスを城門前で止めていた。


「どうして入れてくれないの? 私も七陣魔導団ゲヘナの1人なのに」

「今、カイト様が来ますので」

「はい。一応、カイト様の許可が無きゃ入れないことになっています」

 魔法少女の一人が言う。


「どうして?」

「前回、セレーヌ城下町の住人が操られて、その・・・大変なことになりまして・・・あ、カイト様」

 魔法少女が俺を見ると、道を開けた。


「リリス」

「カイト! 久しぶりだね!」

 リリスが俺のほうを見て、ぱっと表情を明るくした。


「・・・・・・」

 息を吐いて、リリスのほうへ歩いていく。


「リリスは相変わらず変わらないみたいだな」

「変わらないのも、いいところだもの」

 弾むように言う。

 吸い込まれそうなほど大きな蒼い瞳を持ち、茶色の髪はふんわりしていた。


 髪を耳にかける、ちょっとした仕草が、懐かしいほどリリスと同じだった。


「カイトは七陣魔導団ゲヘナに馴染んだみたいだね。仲間の結束も固いみたいだし、よかった」

「まぁ、リリスがいなくなってから色々あったからな」

「色々ってどんな? 聞きたい聞きたい!」

「順を追ってな」


「・・・・・・」

 リリスを止めていた戦士たちに、距離を取るように合図をする。

 ティナたちにも、俺とリリスが接触したらすぐに離れるように伝えていた。


「ところで『黄金の薔薇団』・・・」


 シュンッ


 ファナが剣を出して、リリスに飛び掛かっていった。

 リリスが瞬時に杖で止める。


「へ? 何、何?」

「リリスが死なないのはわかってる。リリスがロンの槍を手に入れない限り、呪いが・・・でも、私はお前にこの刃を刺すまで気が済まない!」

 目を見開いて、リリスに攻撃を繰り出す。


 パァン


 リリスが杖から火花を出して、ファナの剣にぶつける。

 軽く飛んで、後ろに下がった。


「ん? 誰?」

「私のことを忘れたの!?」

「ファナ」

 ファナが怒りに身を任せて、短い詠唱で魔法陣を展開していた。


「思い出せないならその体に思い出させてやる! 私はこの呪いのせいでどんなに苦しかったか・・・」


「え? し、知らないよ。人違いだよ」

「逃げる気!?」

「逃げない! 戦う理由がわからないだけ」

 リリスが杖を回しながら言う。


「腹が立つわ。あんたのその能天気なところ、誤魔化すように茶化すところ、何回魔法少女戦争に参加して来たのか知らないけど・・・・」

「ファナ、落ち着け」

「!」

 ファナの手首を掴んで睨みつけた。


「俺はこいつと話したい」

「・・・了解」

 渋々下がる。

 『主の命令だから動けない』といったようだった。

 ファナは全身が殺気に満ちている。


「びっくりしたよ。カイト」

「『黄金の薔薇団』はどうした?」

「抜けてきたよ。だって、私の主はカイトでしょ?」

 

「・・・・・!」

 ファナが何かに気づいたように、剣を降ろした。


 ― ルピス


 空中でルピスを取って、リリスに向けた。


「お前は誰だ!?」


「え・・・リリスだよ。どうしたの? カイトまで・・・」

「確かにお前はリリスによく似ている。魔力も、身のこなしも、しゃべり方もリリスにそっくりだ。でも、俺がリリスを間違うわけないだろ?」

 リリスがちょっと間を置いて、手を振った。


「ど、どうしたの? 私、リリスだってば」

「そもそも、リリスの主は俺じゃないんだよ」


「・・・!?」

 偽物のリリスがほほ笑む。


「奴を知らないってことは、『黄金の薔薇団』の者ではないな?」

「へぇ、やっぱり駄目か。データ解析して、完全にコピーしたんだけどな。でも、私の変身魔法は完璧だったでしょ?」

 両手を上げて、変身を解く。

 魔法少女の姿で、弓を手に持っていた。


「私は魔法少女実験によって生み出された魔法少女No0005。偵察に来ただけ。ここには前回の魔法少女戦争を勝ち抜いたファナもいるみたいだし、『RAID6』に移行したら来るように言われてたんだよね」

「・・・・・・」

「リリスのことも収集済み。そっか、主じゃなかったんだ。欲しいデータは取得できたからもういいかな?」

 魔法少女No0005がちらっとノアのほうを見る。 

 ノアが真っ青な顔をしていた。


 ― 斬炎剣 ―


「あ・・・・・」

 素早く魔法少女No0005の胸を貫く。


「・・・あはは・・・私を殺す前に、もうちょっと情報収集すればいいのに・・・」

「死ぬつもりでここに来たのか?」


「そうそう。私、神との契約が不成立だった、不良品だからさ。情報は漏らせないよ。あ、でも、ほら、あの子のこととか聞きたくないの? そこにいる・・・」

「黙れ!」

「・・・へぇ、知ってて置いてるんだ」

 消えていく体をなんとも思わないのか、笑いながら俺に話しかけてきた。


「いいね、正規品は・・・扱いが良くて」

 ノアを見ながら消えていく。


 こいつも利用された被害者だ。

 ノアと同じ、魔法少女として勝ち残るための教育を受けてきたのだろう。

 でも、震えが収まらなかった。

 

「・・・嘘でもこんな魔法使うなよ。クソが・・・」

 吐き捨てるように言う。 


「なーんだ。つまらないな。思ったより、き・・・・」


 魔法少女が何かを言う前に、光の粒になって消えていった。

 ファナが剣を消して、舌打ちをしていた。


「あの魔法少女が話していた話は、突っ込んで聞いたほうがいい?」

「しばらくは忘れてくれ。カマエルは把握している」

「わかった」

 ファナが手短に話した。



「カイト・・・」

 ティナが何か言葉をかけてこようとした。

 視線を逸らして、マントを後ろにやる。


「予定通り、明日はファナ、ノア、アクアと出発する。カマエルも、いいな?」

「う・・・うん」

 ノアが動揺しながら頷く。


『了解。ちょっとこの場所借りるよ』

 カマエルが降りてきて、魔法少女の消えた場所に手をかざしていた。


「何してるの?」

『色々とね』

「秘密が多いのね。ま、いいけど」

 カマエルは魔法陣を展開して、残存魔力から魔法少女No0005の力を探っていた。

 リリスの魔力、姿、身のこなし、全てを完全にコピーしていた。

 

 魔法少女戦争のために実験体となった魔法少女が、いかに対策を打っているかがうかがえる。ここまでリリスに似せるとは・・・。


 ノアが駆け寄ってきた。


「あの・・・カイト、さっきの子だけど・・・」

「悪い。後でな」

「あ、うん・・・」

 手を上げて、ノアから遠ざかっていった。




 キィッ・・・・


 研究室のドアを開ける。

 シロナが一人で、セレーヌ城を監視していた。


『カイト様、リリス、の偽物との会話はどうでしたか?』

「クソだったよ。悪趣味な魔法だよな」


 ドアを閉めて、息をつく。

 苛立ちを押さえるように、棚の本を持って深呼吸をした。


『先ほどの魔法少女の様子は記録しておりますのでご安心を』

 シロナがこちらを振り返る。

 シロナはやっぱり、どこかリリスに似ているような気がした。


「シロナはリリスに会えると思うか?」


『占い機能をご希望ですか? でしたら、AIにそのような機能がございます』

「はは、占いねぇ。占いっぽいのは聞いてるからいいよ」


『そうですか・・・?』

 ソファーに座って足を組む。


「シロナの意見を聞きたいんだよ。分析でも勘でもなんでもいい」

『では、カイト様が望んでいる言葉を言いますね』

 シロナが目を見て話す。


『リリスは見つかります。必ずカイト様と合流し、ロンの槍を手に入れることとなります』

「ありがとな」

『いえ』

 シロナが少しほほ笑んで、モニターを見上げた。


「あの魔法少女の動きを確認しておきたい。どこから現れて、ここに入って来たのか」

『かしこまりました。プレイヤーがセレーヌ城下町に入った痕跡はありませんので、先ほどの魔法少女を追ってみましょう』

 シロナがモニターを動かして、拡大しながら話していた。  

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