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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第五章 『RAID6』へようこそ

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68 いじめられるほうが悪いらしい

「君がいじめの標的になった理由を言おうか。なんとなくなんだよね。なんとなく・・・ほら、鼻につくやつっているだろ。それが君だった」

 海道がどうでもいいことを、上機嫌に話し始める。


 後ろで魔法少女たちが戦闘しているのも、セレーヌ城の者たちがゾンビみたいに何度も蘇って戦っているのも、何も気にしていない。


「最期だろうから聞いておきたいだろ?」

「別に、どうでもいい」


「ふうん、つまらない奴だな。俺、弱者を見るのが好きなんだよね。面白かったな、思った通りに人間たちが動いて、君は何もしていないのに悪者になった」

 楽しそうにしていた。


「馬鹿馬鹿しいな」

「君のそうゆうところが嫌いだったんだよ。ちゃんと、俺の思うように動いてくれなきゃ面白くないじゃないか」

 息をついて、剣にコードを刻んでいく。



 ザッ


 海道が素早く自分にバフを付与して、剣を振り下ろしてきた。

 

 キィンッ


「美憂!?」

 俺が動く前に美憂が海道の剣を止めた。


「あれ? 妹ちゃん」

「・・・よくも、よくも、私の兄を侮辱したな・・・・」

 目を血走らせて、足を踏み切る。


「殺してやる」

「美憂!」


 キィン キィン キィン キィンッ・・・

 

「妹ちゃん、さすが魔法少女だね。強いんだ」

「黙れ」

「俺、君には被害がいかないようにしてたんだよ。そうゆうふうに操作してたからね。妹ちゃんが死んでなくてよかったよ」


「煩い。その口でおにいのことを話すな!」

 激しく剣をぶつけあっていった。

 美憂が一歩踏み出すごとに、魔力が大きくなっていく。


「!」

 美憂の体内から溢れる魔力は、ファナが思わずこちらを見るくらいだった

 カマエルが顔をしかめている。


 さっき、メルといた魔法少女が降りてきた。

 詠唱しながら杖を振る。


 ― 巨人の防壁ウォール ―


 ドドドドドドッド


「!!」


 ザッ


 美憂がひらりと飛んで、瓦礫の上に立つ。


「海道様! 大丈夫ですか!?」

 

 美憂と海道の前に、2メートル程度の岩の盾が現れていた。

 魔法少女の一人が海道の近くに寄って行く。


「お怪我は・・・・」

「あぁ、レイラ、助かったよ。如月カイトは雑魚だが、妹は別格・・・」


 ドーン


「え・・・・」

 美憂が魔法少女が出した盾を蹴り破っていた。

 無限に魔力が高まっていく。


 鳥肌が立つくらいに・・・。


「ねぇ、私の兄のことをなんか言った?」


「っ・・・もう一度!」

 レイラが杖を出して回そうとしたとき、美憂が杖に剣を向けた。


 ― 砲撃ボム


 バンッ


 しゅぅううううう


 魔法少女の魔法が無効化されていく。

 呆然として、顔を上げた。


「邪魔、どいて」

「あっ・・・・」

 美憂が瞬く間に背中から剣を突き刺していた。


「レイラ!!!」

「かいど・・・・・さま・・・・」

 手を伸ばしていたが、体が光の粒になっていくほうが早かった。


「・・・レイラを殺すとは・・・」

 海道の表情が変わる。


「私の大切な人が殺されたの。貴方の大切な人も殺されて当然だよね」

「は?」

「あんたが、おにいのこといじめの標的にしてたのは知ってる。ほら、言うでしょ? 『いじめは心の殺人』って。あんたは私のおにいを何度も何度も殺したの」

 美憂が剣を持ち替えて、体勢を低くする。


「何を言ってるんだ・・・・」

「絶対に絶対に許さない。私が殺してやる」


 キィンッ


「!!」

 剣を勢いよく投げて、美憂の前に突き刺した。


「美憂」

「・・・おにい・・・そこをどいて」

 軽く飛んで、美憂と海道の間に入った。

 美憂から溢れ出す力は剣に留まらず、思いのままの魔法陣を描き出す。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「なっ・・・」

 海道が下がる。


 美優を中心として、狂ったようにいくつもの魔法陣が展開されていった。

 魔法少女たちが戦闘しながらどよめいている。


 無理もない。


 美憂の魔法陣は一瞬でセレーヌ城ごと破壊する力を持っている。


『・・・・・・』


 カマエルが腕を組んでこちらを見ていた。

 これが聖杯を一番最初に手にした者の、本来の力だ。


「美憂、落ち着け」

「おにい、早くどいて! 私、知ってたの。おにいがこいつに何かされてるって、ずっと気づいてた」

 剣を持つ手に血管が浮き出ていた。


「へぇ、カスでも兄は兄なのか」

「おにいのことを、これ以上・・・」


「もういいって、美憂」

 美憂の手を握って、魔力を分散させる。

 魔法陣がうっすらとしながら消えていった。


 海道の傍に、メルが降りてきていたが、こちらを警戒して動かなかった。


「俺は別にお前がいるから、学校で何されても落ち込んだことはない。学校から帰ったら、美憂がご飯作って待っててくれただろ?」

「わ・・・私が作ったのより、おにいのほうが回数多かった。というか、いつも作ってくれてた」

 美憂の魔力が平常に戻っていく。


「はは、そうだったな。でも、美憂とご飯を食べたり、ゲームをやったり、勉強を教えてやったり・・・落ち込む暇が無かった。母さんが亡くなった後、2人の生活も楽しかったよ。それなりにな」

「おにい・・・・」


「魔力の使い過ぎだ。あとは休んでろ。俺がやる」

 美憂の手を離すと、ファナがすっと降りてきてふらつく美憂を支えた。


「あ・・・・」


「全く、やりすぎよ。カイト、あとはいいんでしょ?」

「あぁ、任せろ」

 ファナが美憂を連れて、祭壇の端のほうへ寄っていった。


「ふふふふふ、馬鹿め。馬鹿な奴らだ。さっきの魔法が起動していれば・・・といっても、無理か。体がもたなかっただろうな!」

 メルが海道の隣で高笑いしていた。


「美しい兄妹の絆か。反吐が出る」

 海道が吐き捨てるように言う。


「状況を冷静に見てみろ。セレーヌ城の住人は上手くできてるだろ? 『RAID6』になるときに、プログラムを組み込ませてもらったんだ。奴らに死はない。魔法少女は持久戦に弱いだろ?」


 ガシャーン


 人の形をした者たちが、剣や斧、鎖鎌を振り回し、暴れまわっている。

 子供も老人も関係ない。


 魔法少女が急所を狙うごとに、強くなっているような気がした。


 奴らも学習してるのか。


「どちらにしろ、お前らの魔法少女戦争はここで終了だ。いじめってさ、いじめられるほうが悪いんだよ。どの世界も加害者が得するようにできている。犯罪じゃないしね」

 含み笑いをしながら続ける。


「そうそう、モニターで見てて爆笑したよ。セレーヌ城の王だって、城下町の人間に持ち上げられて浮かれてただろ。こんな弱い人間が王になんかなれるかよ。どこまでゲームに夢見てるんだ?」

「そうそう、そうそう、海道様の言う通り」


「魔法少女戦争は弱肉強食だ。妹ちゃんは可愛いし、こんな兄を持って気の毒だけど、これも運命だ」

 海道の言葉に、メルが頷いていた。


「ん、妹ちゃんだけ俺の仲間に入れるってのもアリか。ろくでもない兄といるより、俺といるほうが有意義だってわかるだろう」

「えっ、あの子も仲間になるの!?」


「嫌かい?」

「か・・・海道様が言うなら仕方ないけど・・・」

 メルが心底嫌そうな顔をする。


 海道は終始笑っていた。


 仲間意識が薄いのか、レイラが死んだことに何も言ってこなかった。


 まぁ、こいつは人間を駒としか見ない奴だから仕方ないか。 


「か・・・海道様! すみません」

 モニターを3台出したまま、クルミが海道の傍に降りてくる。


「どうした? 用意したコマンドを・・・」

「う、動かないんです。コマンドが、全く・・・」

「!?」

 モニターのコードを見ながら固まっていた。


「俺、ゲーム関係のバイトしてたの、知らなかったのか?」

 笑いながら言う。

 真っ青になった海道の顔を見ながら、最後のコードを剣に刻んでいた。


「ぶっちゃけ、セレーヌ城の奴らはどうでもよかった」

「は? だって、自分は王だって・・・・」


「俺はどこにでもいる普通の兄で、魔法少女参戦の目的はロンの槍の主になることだ。王であるかなんか心底どうでもいいんだよ」

 剣を地面に突き刺す。


 ブオンッ


「!?!?」

 セレーヌ城の地面と天井に巨大な魔法陣が展開された。

 襲い掛かってきていた城下町の奴らの動きを封じる。


「城下町の奴らだけって絞り込むのが意外と難しくて時間かかったんだ。みんなが時間稼ぎしてくれて、助かったよ。シロナも、ありがとな」


『久しぶりに、フル稼働できて光栄です。レベッカも助けてくれたんです。あとでレベッカにもお礼を』

「そうだな」

 シロナが近づいてきて、頭を下げる。


「ど・・・どうゆうことだ・・・・?」

 海道が唇を震わせていた。

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