op03 大義
空には満天の星が広がっている。
『RAID6』は上書きされ、如月カイトが創りだした電子世界に変わっていた。
ロンギヌスの槍のある聖堂に、結界が張り直されていた。
「ここで待っててくれ」
「かしこまりました」
如月タツキが魔法少女に伝えて、聖堂に近づいていく。
「ヴェルネス司祭、いや、ペルロって呼んだほうがいいかな?」
「なんだ、君か。相変わらず歳を取らないな」
「俺には魔法があるからね」
聖堂の前で、如月タツキがヴェルネス司祭に話しかける。
「言っておくが、聖堂に入ることは禁じておる。いくら、君でもな」
「もちろん、わかってるよ」
如月タツキが階段に座る。
頬杖をついて、遠くを見つめる。
「俺だって魔法少女戦争の経験者だ。共に戦ったじゃないか、ペルロ」
「・・・・思い出したくも無いな」
ヴェルネス司祭が息をつく。
「君だってそうだろう? タツキ」
「・・・・・・・・・」
「まったく、また魔法少女戦争に参加するなんて馬鹿げてる。こっちは関わりたくも無いのに、仕方なく関わっているというのに」
長い瞬きをする。
「サクラは魔法少女戦争の戦闘で受けた呪いで15年後に死んだが、ガキを2人産んだんだ。2人とも魔法少女戦争に関わってる。1人は魔法少女、一人は主だ」
「は?」
「・・・・・・」
如月タツキが何も言わずにほほ笑む。
ソロモンの指輪に触れながら、まっすぐ前を見た。
「この書き換える魔力・・・まさか、『RAID6』の消滅は、お前の子供が関わっていたのか?」
「そうらしいな」
「・・・はぁ・・・・おかげで結界は張り直しだ。聖堂が壊れなかったのは奇跡だな。神々の加護か・・・」
ヴェルネス司祭が聖堂を見つめながら頭を搔いた。
「神か」
如月タツキが吐き捨てるように言う。
「君はまだ、神が憎いのか?」
「聞くまでも無いだろう」
「・・・・・・・・」
如月タツキが立ち上がって、マントを後ろにやった。
「じゃあな、俺は『黄金の薔薇団』に戻って色々やることがある。今度こそ必ず魔法少女戦争の勝者となる」
「一度負けたというのに懲りない奴だ」
「俺の願いは大義だ。世界のために叶えなければいけない」
「友として言ってこう」
ヴェルネス司祭が胸に手を当てた。
「君が呪縛から解かれるよう、神に祈るよ」
如月タツキが手をひらひら振って、聖堂から離れていった。




