200.動物相の観察, 7
(ローズ)
道は予期せぬ出会いに満ちている。まあ、文字通りいっぱいではないけれど、時々起こるんだ。
かつてない動物。他に類を見ない植物。起源を知ることのできない場所。星が空にあるように、それらは地上にある。
黒い人工の道路が突然、人里離れた空に向かって何十メートルも伸びていくことがある。
木そのものが動いたり消えたりすることもある。私はイギリスでも、木が根を這って移動するのを見たことがある。
以前ブルーメと話したように、自然は狂っているわけでも、間違っているわけでもない。ただ...いつものルールが少し甘くなっただけだ。物理学もそうだ。彼女のおかげで、僕は空を飛べるようになった。
彼女のエネルギーは、自然のルールをより甘くする可能性を秘めている。彼女のエネルギーが多ければ多いほど、理屈を超えたことができる。
もし彼女のような死者の遺品が十分に見つかり、凝縮されたパワーが結晶化すれば、私は鳥のように自由に飛び回ることができるかもしれない。魔法だって使えるかもしれない。
どうだろう?そんなことが本当に可能なのだろうか?
それでも、一緒に歩んできた道のりを思い返すと、結局、何がもうないんだろう?
物語や伝説から本当に不可能なことは何か?
よく分からないけど...。時間を戻すことかな。他の星に到達するために宇宙を飛ぶことさえ、人類は魔法を使わずに自分の力でやったとブルーメは言った。信じられない。
まあね。あのアーティファクトはとても珍しいものだから、まだ夢見るほどには飛べないだろうね。
もう2回も飛行機に乗った。ほんの数週間かそこらで、すでに2回も一生に一度の経験をしたことになる。
いつか私は、彼女と彼女の力のおかげでより優れた魔法使いになれるかもしれないが、私はその野望のために生きているわけではない。そのために急ぐこともないし、特に達成しようとも思わない。なるようになるさ。
今のところ、私の目標はどちらかというとおとなしい。おとなしいのが好きなんだ。僕はヒーローじゃない。世界を救ったり、変えたりするつもりはない。たとえ時折、私があまりにも間違っていると判断したものと戦うことはあってもね。あちこちにいるモンスター、いたずら好きな悪魔よりも心ないモンスター。
少なくとも少しは理性的に行動できる程度には、言葉を話したり、考えたりする魔物なら、一緒に暮らせるが......。廃屋にジンが住み着くのは構わない。トリックスターとは共存できる。
非常識な無意識の殺人者は無理だ。今のところ1人しか会ったことがない。でも、もっとたくさんいることは知っている。おそらく数十人がランダムに旧大陸に散らばっている。
遅かれ早かれ、別の種類にも出会うことになるかもしれない。本当にひねくれた怪物たちにね。
真の悪魔よりも危険な非論理的存在。機械よりも、病気よりも......。私はそんな存在に会うのが楽しみでならない。
そして、一目見ただけではどれがどれだかわからないときは、用心深く、新しいものが現れるたびに驚きを乗り越えなければならない。
そのため、この予期せぬ新しい出会いに最初は恐怖を感じた。
~
広い空から初雪。
道路があまりにも傷んでいるので、私は脇を歩いた。何十マイルにもわたって波紋が広がり、道路から何百もの壁や穴ができている。見渡す限り、石垣だ。私は脇からそれを追う。
ブルームが突然震え上がった。彼女は、おそらく敵対的な何かがこちらに向かってきているのだろうと教えてくれた。私は近くの瓦礫と壊れた車の山の後ろに隠れた。少し頭を上げて広い空を見る。
シミが動いている。布が、黒い毛布が、私たちのいる方向に向かってはためきながら飛んでいる。
まるで怪獣のような悲鳴。その音を表現する言葉は他にない。
コウモリのように左右非対称の羽のようなものを羽ばたかせる動物の一種だ。体ははっきりせず、私には意味がわからない。毛布かスカーフが裂けて生き返ったような感じだ。
道路と敵を追いかけ、私たちを通り過ぎる。遠くで再び悲鳴が上がる。
見えなくなってから、あえて動いて話す。
R「あれは?
B 「新しいビーイング・ライク・ミーだと思う。若いやつだ。吸収する獲物を探していたんだと思う。
R - 吸収する?
B 「まあ、いいボディをゼロから作るのは難しすぎる。盗んできて、後から自分たちの好きなように改造する方が簡単だよ。
彼女は親切にも、かつて私にそうする機会があったが、そうせず、代わりに私と暮らすことを選んだということには触れない。
R 「そして、いったん餌を食べたら...。何になるんだろう?
B - 何とも言えない。たぶん、その動物そのものか、それ以外の何かだろう。私のような存在は、最初はあらゆる可能性を持っている。そしてその後でも、いったん自我に目覚めれば、さらに進化することができる。結局のところ、私たちは...
R - あなたと私のような生き物。
B 「はい...。
あなたと私のようにね。私はその考えが好きだった。あなたと私...
~
また雪が降っている。かなり寒くなってきた。もうすぐキャンプをする。
そしてブルームは警告を繰り返す。彼女はその存在を感じた。
ただ、私たちがいるフィールドには何もない。隠れる場所もない。
私は油断することなく、良い隠れ場所を見つける前に出会うまで歩き続けた。
それほど威嚇しているようには見えない。何かの動物の上に倒れているのだと思う。今、私の存在を気にすることなく、それを食べている。
私は慎重に近づき、その過程を観察する。
肉体を消化し、再生しているのだ。そこから生物学や動物の代謝や知識を学んでいるんだ。
今は休眠状態で、吸収と学習を繰り返しながら、ゆっくりと新しい構造を作り上げ、自分の体を作り上げている。
数時間後には、新旧の形が少し混ざった、新しい彼女のような存在が誕生するのだろう。
だから、犬か狼のようで、破れた服やスカーフを体につけているようなものでなければならない。
私が見ていると、ピクピクと動く。これ以上構うと敵意をむき出しにしそうだ。
でも、私が危険な目に遭わせず、十分な距離を保てば、人類との最初の接触も悪くない。おそらく私は脅威ではないし、お互い生きて帰れるだろう。私が後ずさりすると、ブルームも私も敵意が薄れていくのを感じる。
R 「昔は何を食べていたんですか?ああ・・・気にしないで。
B - ...足元にあったものを食べた。同じ列車に乗っていた人の食べ残しとか、植物とか、キノコとか。小さな沼も飲んだ。意識を取り戻したとき、私はドイツ語で歌いながら、近くに根を生やしていた。でもアンには聞こえた。
当時のことを思い返しながら、私は黙っている。嵐はとっくに去ったが、トラウマはさまざまな意味で鮮明に残っている......。
~
夜は氷のように寒い。寝る前に大きな焚き火で暖をとる。
ブルームが火をつける。もう一匹がやってくるかもしれないが、私たちを攻撃する可能性は低くなった。もし攻撃してきたとしても、ブルーメは用心深く私たちを守ってくれるだろう。
そして数時間後、それはやってきた。しかし、大きなサーモンのように見えるが?その理由は私にもブルーメにもわからない。
火の横に落ち、自重でわずかに液化している。私は気にしない。
私は小さなテントの中で眠りについた。夜明けにどう変身しているか見てみよう。
R 「おやすみブルーム。おやすみなさい。
B 「おやすみなさい。ぐっすり眠ってね。
火のそばでは、すでにわずかに溶け始め、無定形の肉の山になっていた。何か考えているのだろうか。
夜は穏やかに過ぎていく。
日の出まで星を見ていたかのように、空が夜から昼へと急速に変わっていく夢を見る。それも子供の頃の記憶かもしれない。
そして、驚きの展開が外で待っていた。
~
さやが大きくなっていた。周りの草は枯れていた。
球根は何か別のものに成長し、生まれようとしていた。
まるでプレゼントが包装を解いてくれるように。
外皮のひだが花開き、新しい動物が私の足元に姿を現した。私は思わず後ずさりした。
人魚がいた。
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