173.最悪の夜, 5
(ローズ)
私はまた寒さで目が覚めた。寝ている間にあの鋭い青い目を見ると、嫌な予感がする。
まるで突然、捕食者の気配を感じ、近くから、とても近くから私を見ているような......。
怖い夢を見た後は、心臓の鼓動がいつもより速くなる。ブルームはその直後、私を優しく慰めてくれた。心配は落ち着く。
もうすぐ友達に会うんだ。今、向かっている。
身支度を整え、歩き始める。
果てしなく広がる野原。私たちは田園地帯を自由に横断している。緩やかなカーブ、古い丘、新しい草に覆われた果てしない野原。風はまだ新しいが、春はもうすっかり定着している。
いい天気だ。
空を何かが飛んでいった。それが何なのかはわからなかったが、たぶん1マイルほど先に着地したのだろう。
R「あれは？
B 「よくわからない。存在を感じなかったから...。気をつけて。
私は警戒しながら、少し先に着陸した未確認飛行物体に向かって歩く。
静かな世界で、いつものようにしばらく歩くと、シルエットが見える。
誰かが遠くを見ていて、じっと立っていて、彼女の背中を見せているのが見える。
私はその若い女性の背中を見て、目が回り始めた。彼女のシルエットは私にとって紛れもないものだ...。
しかし、それは不可能だ...。
体が急に鉛のように重くなった。
私の心は乱れている。汗が噴き出してくる。ありえない。
彼女はゆっくりと振り返り、私に顔を向けた。
胸と背中を10本の刃物で貫かれたような気分だ。もう涙が止まらない。ありえない！
R 「そんなはずは...。
彼女はやっと私を見て、私を認識した。病弱だが、いたずらっぽい表情でニヤリと笑う若い女性。 別の時代に失った私の妹...。
私はもう一歩、多少軽くなったが、もう一歩は踏み出せない。私は疑念と恐怖に襲われた。
ブルーメも迷っている。彼女の声が聞こえる。
B - 彼女は...人間に見える...これが彼女？
彼女の名前を正しく声に出せない。私は死にそうで、震える膝の上に倒れこもうとしている。
彼女はそれをあざ笑うような口調で笑い、かわいらしく手を口の前に上げる。私は震えすぎてバランスを崩す。
彼女は軽やかな足取りで素早く近づいてくる。彼女は私に手を差し出す。とても抱きしめたい。でも動けないし、涙を通して見ているものを信じることもできない。
そしてもっと遠いところで、私の心の片隅が、もう本当に気づくことのできない警鐘を鳴らしている。
- 私を覚えている？うれしいよ...
彼女の声はひどくざらざらしている。深く、荒々しく、若い女性というよりは岩や砂利のようだ。
彼女は私を立たせ、その青い瞳が私を射抜く。私の心はまた傷ついた。でも今、私は一歩下がった。
R 「あなたは...あなたは彼女じゃない。名前とは裏腹に、彼女の目は決して青くなかった...。あなたは何者？
彼女の目が輝く。彼女の微笑みはより悪魔的なトーンに成長する。
- 私はあなたの妹よ。あなたと同じよ、ローズ
私はあなたと同じ...」。初めて会ったとき、ブルームはそう言った。私はまた一歩下がる。人間のように見えて、服を着て、彼女の顔をしていても、明らかに違う...。彼女じゃない...
R 「あなたは何者ですか？
- 私もあなたと同じ...。もう私を殺したいの？再会したばかりなのに？
彼女は両手を広げて私に向かって歩いてくる。私は愛する妹になりすましたあの女に殺意を覚えた。筋肉が緊張している。
R 「取っておけ！あなたは彼女じゃない
- ああ、でもそうなんだ。ありとあらゆる方法で。私に嘘をつく必要はない。あなたが今日持っているその花のために、偽る必要はない。
ブルームはいつものように生きていないふりをしていたが、見透かされたように動き出した。私は後ろに下がり続ける。彼女は同じスピードで私に向かって前進し続ける。
- 私はあなたたち姉妹のことを知っている。そして、たとえ私があなた方と同じ肉体から生まれたわけでも、生まれ変わったわけでもなかったとしても、私たちは姉妹なのです。私たちは同じだ。あなたが今、私を殺したいと思っていることは知っている。心配しないで、あなたはあなたでいられるわ。
R 「何を言ってるんだ！私のことを知らないくせに......。そうだ、必要ならお前を殺す！
どうにもならない怒りがこみ上げてくるのを感じる。私は拳を握りしめている。彼女は笑い続ける。彼女が私の過去から大切なものを冒涜するやり方、そして彼女が選ぶ言葉のひとつひとつが、狂気の効率で私を狂わせる。
- 言っただろう、偽る必要はない。自分を脅す必要はない。あなたは殺しを楽しんでいる。私はそれを知っている。それを分かち合っている。私を殺したいんでしょ。私があなたの昔の姉のように見えるからではなく、私が姉を思い出させるからだ。
R 「何を言ってるんだ...。殺すのは好きじゃない...なぜ...なぜ君のような...
- 私はあなたを知っている...獣だけでなく、人を殺すのも好きなんだろ？私はあなたを見た。あの者を窒息死させたとき、私はあなたの喜びを分かち合った。もう一人の心臓を刃物で貫いたとき。刃物で抉り出さなかった他の者を撃ち殺したとき。あの至福の力の感覚。ああ、あなたはそれをとても楽しんだ。あのスリル。相手の人生を支配し、粉砕することから生まれる、この歪んだ喜びを。あなたは苦痛の中で相手の人生を粉砕することを楽しんだ。
汗だくで返事もできない。ひどい気分だ。ブルームも私と同じショックを受けているが、必要なら攻撃する準備はできている。
- ただ殺すことの喜びが、私たちを同じにする。あなたは、愛すること以上に、殺したいと思っている。あなたの妹のように。あなたはどんなことがあっても彼女を愛した。妹があなたに苦しみを与えたにもかかわらず、あなたは妹を愛した。あなたは自分の本当の、深い、感情をオープンに表現することを許さなかった。なぜなら、あなたは今ほど強く自由ではなかったから。
唾液を飲み込もうとして失敗する。舌を飲み込みそうになり、代わりに唾液を吸い込み、緊張して咳き込んでしまう。私が軽く回復すると、彼女はひどい事実を私に吐き捨てた。彼女の目が怖い。
- 心の底では、あなたは彼女を殺したいと思っていた。何よりも、誰よりも、彼女を殺すことを夢見ていた。そしてそれは、あなたにとって温かく感じられた。
私は今、反応できずに泣いている。否定することもできず、ボロボロになっていく...。彼女は、何かを激しく絞め殺すような真似をしながら、鮮やかな動きを続けている。
- あなたは彼女が眠っている間に絞め殺したかった。あなたの手から逃れようとする彼女の命をゆっくりと奪うために！ああ、彼女が死ぬのを見るのは、どんなに至福な気分だっただろう。彼女が涙を流し、その目が恐怖に、愛に、不可解さに泣き、その口が最後の言葉を囁こうとするのを...。殺しを楽しんでいるんだな、ローズ...。そして何よりも、いつも殺すことを夢見、それが性的な衝動に変わるほどだったのは、苦しみに満ちた毒に満ちた妹だった！
私は気を失った。彼女の笑い声が聞こえて...。
~
私は殺すことを楽しんだ。
殺人を犯したときの自分が見える。トラウマが繰り返され、そのたびに微笑んでいる自分が見える。私の手の中で彼らの命が消えていくのを見ながら、一瞬の至福を味わい、快感が血管を震わせる自分が見える。男たち。女たち。子供たち。動物たち。サディスティックな笑いを浮かべながら目をえぐり出し、痛みで泣き叫ぶ声を聞きながら快感に震えている自分が見える。
胸が張り裂けそうだ。
しかし、私にはよく知っている暗い廊下が見える。
ただいま
家に帰ると、何歳も若い自分がいる。背はそれほど高くなく、自分に合った場所を裸足で歩いている。
私たちがまだ子供だった頃、私は夜、彼女の部屋に行くために階段や廊下を横切った。
ベッドで眠っている妹を見ている自分がいる。私たちは子供だった。私は12歳くらいだったかな。
まだ彼女を起こさないように、そっとベッドに上がり、彼女の首に指をかけている自分が見える。真夜中のことだ。私は寝間着のまま、彼女はシーツと私の重みで動けなくなり、私は彼女の首を絞め始める。
そして、貪欲に微笑んでいる自分がいる。
悲鳴と胸の裂けるような痛みで目が覚める。こんなことがあったのか？
いや、これは悪夢だ。決して起こらなかった。
そんなことはしていない。
でも、今やったような気がする...。
胃の中にあったかもしれないものすべてを激しく嘔吐した。頭がボーっとして、焼けるようだ。
私はまだ同じフィールドにいる。私はまだあのダイウアの前に立ち、心を遊ばせている。
気絶していた私をブルームが支配した。私は守られ、怪物は近づかなかった。
非道い気分だ。
彼女はまだニヤニヤしている。
R 「誰だ...一体何がしたいんだ、怪物？お前の言うことは一言も認めない。
- 私に隠す必要はない。私に嘘をつく必要はない。あなたがいつも夢見ていたように、なぜ私を殺さないの？さあ。楽しんで。私はあなたのもの
彼女は首輪を外し、卑猥な首筋を私に見せた。変な衝動が沸き起こるのを感じるが、飲み込んで後ずさりする。いずれにせよ、ひどい罠だ。
- 私はあなたを完全に理解している。私はあなたを完全に理解している。さあ。あなたは私を殺すことができる。愛しい人よ。本当の自分を十分に楽しもう。私は生き残るためにあなたを撃退しようとさえする、ただそれがあなたをさらに興奮させる方法なのだ。来て。
もう何も考えられない。もう何も考えられない。
逃げなきゃ...。彼女の申し出の仕方に、殺したい衝動に駆られるのは否定できない。その快感がとても欲しい。でも、いけない...。花のような理想を捨ててはいけない...。どんなに世界が私のような者に寛容になったとしても...。
体のあちこちが熱くなるのを感じる。どう反応していいかわからない。私の心は壊れている。
逃げるべきだけど、すごく誘惑されているんだ。
私がたじろいだのを見て、彼女はしゃがみ始めた。彼女はしゃがみ始め、無防備に草の上に横たわっている。まるでお供え物のように、彼女は私に首を見せている。私はとても誘惑された。彼女の肌はとても柔らかく見える。
罠だとわかっている。
断ってはいけない。でも、最悪のファンタジーを提供されたら、断るのは難しい。私はまた飲み込む。
口の中には以前のひどい味が残っている。
私は空に向かってため息をつく。
その瞬間、私は欲望を捨て、彼女もそれを理解してくれた。私は悲しいかな、彼女の強い誘惑に抵抗した。
R 「やらない...やらない...お前が何者か知るまでは何もしない...
- なんて悪い言葉なんだ、ローズ。
R 「くたばれ。でなきゃ、このブルーメが、お前の浅はかな体に指一本触れさせずに、お前を殺してやる。
- なぜあなたは、本当の自分を受け入れることを頑なに拒むのですか？私はあなたにその喜びを与えただろうに...。そして、あなたは私が誰か知っている。
私は頭の回転が速い。
R - ダークブルー...あれだ。なんで妹に似ちゃったんだ？
- 最初に会ったとき、私はあなたからすべてを学んだ。そのずっと前にね。それで思ったんだ...ああ。私たちは似ている。私はすでにあなたを知っている...
R - ...その前に？
また一歩下がる。寒さを感じている。彼女の肌は、近づくにつれ黒ずんでいく。
ブルームもそれに気づいて、私と同じように震え始めた。
- そのずっと前に...。ダークブルーと呼ばれる前、あなたは私に別の名前をつけていた。私があなたの脳を覗き込むと、あなたはそれを何度も何度も心の中で叫んでいたのを、私はよく覚えている。
オーガだった。
ベールが剥がれた。巨大な怪物の闇が再び見える。ブルーメはその力が再び目に見えるようになるのを見る。
生き残り...洞窟の中に隠れていた。
オーガはまた私たちに向かってニヤリと笑った。
~
