【第5話】 人殺し旅団
「ところでよ、おっさん。なんで俺を助けてくれたんだ?俺あのまま死ぬとこだったから本当に感謝してぇんだけど理由はなんなんだよ。」
グリーンゲルを含めた三人とアンゴが、街中へ行くため歩いている。
「モリモリモリ、ここはね、別名始まりの惑星。君は知らないかもしれないけど最終星は、''神秘の惑星群''に含まれている。そして、このモーリー星は、その始まりと呼ばれているんだよ。だから、君みたいな人が割といるんだよ。だからこういう人助けは慣れている。気にするな。モリモリモリ。」
グリーンゲルは長いヒゲを右手で触りながらアンゴにそう答えた。
「そっか、てことは、まだまだ最終星は遠いって事だな!とにかくありがとう!」
アンゴは笑顔でグリーンゲルに感謝した。
「あ、そいえば自己紹介をせねば。私の名前はグリーンゲル。そしてこの二人が双子のフーガとムーガだ。今は私の家に住んでいる。アンゴ君も今日は私の家に泊まっていくといい。燃料が回復するまではこの星にいなさい。」
「俺がフーガで」
「俺がムーガだ。」
フーガとムーガが2人それぞれアンゴにそう言った。
「お前らそっくりだなおい、マジでどっちがどっちか分かんねぇよ!とにかく、三人ともありがとうな!本当に感謝しきれないよ!」
「まあ困ったときはお互い様って事よ。モリモリモリ。」
そう話しているうちにグリーンゲルの家に着いた。
「ここが私の家だ。さあ、ゆっくりしていきなさい。」
グリーンゲルはドアを開け、アンゴを中へ入れた。
「おじゃましまーす、本当にこの星は、真緑だなおい、このおっさんの家も一面緑だ。てか、他の住民はいないのか?」
アンゴは、玄関に足を踏み入れながらグリーンゲルに聞いた。
「ああ、'今は'私たち三人だけだね。」
グリーンゲルもアンゴの後に続いて玄関に入ってそう答えた。
「そうなのかー。なんか変な星やなー。」
このあとも、アンゴ、グリーンゲル、フーガ、ムーガの四人は、夜になるまで色々な話をした。そして、就寝の時間になった。
「じゃあ、みんなおやすみ!俺もう寝るよ!」
アンゴは、グリーンゲルに案内された二階の寝室へ向かった。
「はー。疲れた疲れた。とにかく、あいつらに救われて本当に良かったなー。」
バンバン
アンゴが、一息ついた時、ベランダの窓から音が鳴った。
「ん?なんだ?」
アンゴは、そーっと窓を開けた。
「ンンンン、ンンンンンンン!!」
そこには、傷だらけで口をガムテープで覆われ、体も縄でしばられた男がいた。
「な、なんだお前!どうした!?」
━━━━━一方、リビングの三人は…
「おい、アイツ行ったか?」
グリーンゲルがそう言うとフーガが、ドアから廊下を覗いた。
「行きました。もう上へ上がっていったようです。」
「そうか。」
そうして、三人は、リビングの真ん中にあるソファーで向き合うように座った。
「まずは、フーガ、ムーガありがとう。」
グリーンゲルは、頭を下げた。
「そ、そんないつものようにしただけです!」
ムーガが両手を上げて答える。
「いやー、こんなに二日連続で人が来るとは思わなかったよ。モリモリモリモリモリ。」
「本当にそうですよね。本当私たちは幸運ですよね。」
「ああ、そうだな。」
「となると、問題はアイツをいつ''殺る''かですよね?」
「モリモリモリ、モリモリモリモリモリモリ。楽しくなってきたじゃないか。もちろん今日の寝ている隙に殺ってしまおうじゃないか。楽しくなってきたじゃないか。早く殺りたいな、モリモリモリモリモリモリモリモリ。」
グリーンゲルは、盛大に笑った。
「''二日連続''って事ですね?となると、今日は、グリーンゲルさんが殺る番。なぜなら昨日は私たちが殺りましたからね。」
「あぁ、バカそうな奴だから手応えはなさそうだがな。でも、人を殺れることに変わりは無い。いつものように、私は、任務を遂行する。モリモリモリモリモリ。」
「昨日のやつは、意外と手応えありましたよ。一度殺ったつもりがまたすぐ立ち上がってきましたからね。最後は、体を縄で縛って殺ってやりましたよ。戦闘力は確かに高かったですが、まあ私たち二人にかかれば、こんなのお手のものですよ。」
「本当にお前ら二人も逞しくなってきたじゃないか、これで我らが''人殺し旅団''の完全なる仲間入りだ!モリモリモリモリモリ!」
「それはそれは、まだ''100人''殺っただけですから。グリーンゲルさんの''9999人''に比べたら本当に僕たちは並以下です。」
「そいえば、もう9999人だったな、今日で10000人か、モリモリモリモリ。なんてったってこの星に上陸して生きて帰った者は一人もいないからな!モリモリモリモリモリ!」
━━━━二階の寝室
ベリベリ
「プハァッ!ハァ、ハァ、ハァ」
アンゴは、その男の口のガムテープを外した。
「だ、大丈夫かお前!?全身血だらけじゃねぇか!」
「あぁ、本当に死ぬかと思ったよ。」
「一体、何があったんだ!?」
「いいか、心して聞けよ。アイツら三人は''人殺し旅団''だ!アイツらは、この星に来たもの全員を殺してそこら中にある森林に死体を埋めてやがる!そして俺は、昨日この星にやって来て寝ている間にあの双子の二人に襲われたんだ!」
その男は、真剣な表情でアンゴにそう言った。
「ま、マジかよ!てことは、俺も……。」
「あぁ、このまま寝たら襲われるぞ…!」
「なんちゅう嫌な奴らなんだよ!あんなにいい風にしてくれたのに!」
「てか、お前はなんでこの星に来たんだ?俺は、いわゆる一人旅でここに来てみたんだが、なんかお前はそんな感じじゃなさそうだな。」
「俺は、最終星に行くために、スペースシッコに乗って、向かってたんだ。そしたら、訳わかんねぇ燃料切れっていうのを起こしやがってアイツらに助けてもらったんだよ。」
「ラ、最終星!?お前、最終星まで一気に行こうとしてたんか!?」
「あぁ、そうだ!」
「お前、宇宙船の仕組みを理解してないようだな。」
「仕組み?」
「あぁ、いいか、''神秘の惑星群''にある星は全部、ほぼ等間隔にある。そして、この世にある全ての宇宙船は、一つの惑星までしか行けない程の燃料しか入らないんだ。だから、一つでも星を越えようとするとお前みたいな燃料切れを起こす。」
「へー、そうなんか。お前、詳しいな。」
「これくらいは知ってないと最終星なんかに行けねぇぞ。」
「じゃあよ!俺と一緒に旅団を結成しよう!」
「は!?馬鹿言え!俺は一人旅でここまで来たんだ!最終星に行きたいとは思わないね。だから、旅団に入るつもりもない。」
「じゃあ、お前ずっとそのままな。」
「お前!タチ悪いぞ!」
「じゃあ、俺と旅団を結成しよう!」
「ったく、まあいい。俺もこんなところで死んでられねぇ。一応言っとくが、俺は強いぞ?」
「あぁ、強いなら尚更ありがたい!一緒に倒すぞ!あの三人を!」
「あぁ、そうしよう、団長。」