06:クインの1日
ここで私こと、クイン・ニキアスの1日を説明すると……
朝。
メアリーに起こされ、だだっ広いテーブルにてひとりで食事をとる。
アイドルの時は糖質をある程度制限してたこともあって、フルーツとか野菜中心に食べる。
おいしい。
おいしすぎる。
コックとメイドさんにお礼の花とメッセージを送る。
朝ご飯が終わると勉強の時間。
なんせ現代日本から来たので歴史とかあんまり詳しくない、ので結構まじめに勉強していたら家庭教師から死ぬほど驚かれる。
どうやらクイン嬢は勉強をめちゃくちゃ嫌がっていたらしい。
それなら私も勉強しない方がいいのかな?
と思ったけど、ヒロインちゃんのお助けキャラなのに勉強教えられないのはどうかと思ったので、やっぱり真面目にやることにする。
家庭教師どころかメアリーまで死ぬほど驚かれる。
何なら熱の心配までされた。
昼。
だだっ広いテーブルにてひとりで食事をとる。
夜が結構豪華なので昼は質素な感じだったんだけど、逆に夜は控えめにしたいから昼は豪華に食べたいっていったら正気を疑われた。
この世界はディナーの時間が大事らしい。
世間知らずのままではヒロインちゃんが困るかもなので、ディナーを大事にすることに考えを改める。
ただディナーの時間は少し早めてもらうことにして、昼は少なめにすることにした。
昼ごはんが終わると自由時間。
ぶらぶらと屋敷の中とか庭とかを散歩したり、本を読んだりする。
メアリーからは刺繍を勧められたので刺繍なんかもしたりする。
本来はマナーの勉強があるらしいんだけど、私はそれを断固として拒否して部屋に引きこもってたらしいので今は中断してるんだって。
なんか「私」っておにいさまとお話ができる唯一の人だからか、結構甘やかされてる感じがあるんだよな。
好き嫌いも多いっぽいし。勉強もイヤがってたりするし。
けど私は勉強はもちろん、マナーの勉強したいなーといったらメアリーにめちゃくちゃ驚かれた。
いや、マナーは大事でしょ。
そうこうしていると3時くらいには「おにいさま」とのお話をする時間だと呼ばれる。
お話といったって……
髪を切った時に話しかけてくれた以来、おにいさまは私に話しかけてくれない。
おにいさまと私のお話の時間の目的は、おにいさまがヒトの言葉を忘れないこと。
なので「お話」というよりも、ヒトの言葉を一方的に聞いていても問題はないっちゃあないらしい。
メアリーに聞くと、私が記憶を思い出す前の「私」はヘビのおにいさまがイヤすぎて小屋の中ではずっと泣いていたらしい。
言葉を交わすことなく、適当な詩集を持って入って一章だけ朗読すると飛び出しちゃうとか。
確かにそれでも問題ないんだろうけどさぁ。
でもさぁ!
ちょっとはしゃべりたいじゃん!?
ということで、今の私は詩集を読んだりはしない。
こっちを見向きもしないおにいさまに向かい、ひとりでペラペラと最近あったこととか読んだ本とか勉強したことをマシンガントークしている。
たとえディナーが豪勢であっても、ひとりでご飯食べるのは寂しいからなぁ!
なので個人的にはおにいさまとのお話の時間は好きだったりする。何もいってくれないけど。メアリーを筆頭にメイドとか庭師とか執事とかしか話してくれないんだもん。みんなも仕事中だから忙しいし。
ベラベラベラベラベラベラ。
「実は勝手に名前をつけて愛でてた花が咲いてさ」みたいな話題から、「朝食べたフルーツが美味しかったんだけど名前がわからない。でも種を残しておいたから植えてみる。実がなれば勝てる」みたいな話題まで。
ひとりで話していると食事の準備ができたとメイドが呼びに来たりする。
「じゃあおにいさま、また明日〜今日は少し調子悪そうだね。早く元気になってキレイな瞳を見せてね」
とかいって去る。
おにいさまはもちろん何もいわない。
そして夜。
豪華なディナーが並ぶだだっ広いテーブルにて、ひとりで食事をとる。
ご飯が終わると自由時間。
本を読んだり、落書きしたり、ゴロゴロしたり。
このお屋敷にはお風呂があるのでお風呂に入ったり。
そうこうしているとメイドさんが来て服を着替えさせてくれ、就寝の時間。
「…………いやヒマすぎるだろ、これは」
相変わらずふわふわのベッドに潜った私はつぶやいた。
ヒマだ! ヒマすぎる! そりゃあ本ばっかり読むわ、私も!
早急に何とかせねばならない!!
と、いうことで。
「おにいさま。私、剣と乗馬を習い出したんだよね。才能あるみたい」
『………………え?』
翌日。
早速私の良いニュースを告げたところ、スーパー久しぶりにおにいさまの声を聞いたりした。
★★★
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