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05:スパカラの世界を思い出そう!

「このゲーム、同じグループのアキラが好きだったな」


 今はもう会えることもない男装グループのメンバーを思い出し、私はそっと微笑む。

 ファンとのチェキ会でメンバーが殺されるなんて……大変だろうなぁ、今ごろ。


 グループのメンバーは泣いてるだろうか。

 ファンの子は後追いとかしてないだろうか。

 せめて私の死を好機だと思って、もっと有名になってくれたらいいな……


 なんて場合じゃなくて。


「私はガチャしかやってないけど……」


 えーーーっと、たしか……


 よくある話だ、貴族とか王様には神の血が混じってる、なんて。

 この世界ではそれが現実である。

 王族や貴族は神の末裔であり、時々濃い血を持つ人間が生まれてヒトの姿を保てなくなってしまう。


「おにいさまのように」


 真っ黒い大蛇の義兄。

 浮かぶようなスカイブルーの瞳。

 それを思い出しながら、私はベッドの中で頭を抱えた。もっと思い出せ〜〜〜!



 ゲームの中の「おにいさま」。

 つまりキーリー・B・ニキアスはクール無表情口数が少なく、たまに口を開けば悪態ばかりの性格が良いとはいえないキャラだった……はず。

 なんかそういうイラストだかをタイムラインで見たもの!


 その時はヒトの姿をしていたのは、たぶん「主人公(ヒロイン)と結婚」したからだ。


 この世界での結婚は一種の契約である。

 神の末裔達は心を通わせる者と「契約(けっこん)」をすることで、ヒトの姿を得る。


 そうすると魔法が使えるとか何とか忘れたけど。

 なんか音ゲー要素もあったような気がするやってないからわかんないけど。


 とにかく主人公(ヒロイン)はそんな高貴なイケメンケモノ達と契約という名の結婚をする、何人も。

 その中から「真の結婚相手を見つける」的な逆ハーレムなゲームだったはず。


「おにいさまはヒロインと結婚するまではヘビだったなぁ、たしか……」


 でもヘビの姿のままでいるとヒトの言葉を忘れてしまうらしい、メアリーがいってたように。

 なんかそのケモノの姿の方が高貴な姿なので(何てったって神様の姿だし)ヒトの言葉なんて忘れがちらしい。

 それでケモノの姿の時に言葉がわかりあえるのは血の繋がりがある人間しか無理だという。


 血の繋がりがなくても言葉がわかるのは愛し合っているものと、輝く魂を持つ者……

 輝く魂を持つ者は全ての神の言葉を聞き分ける伝説の人物、聖女様……それが主人公ちゃんってわけ。



 それでそうだ、ニキアス家に「私」はいるんだ。

 ここのご両親は忙しいらしく、毎日話すことは無理だからって。だから私が「おにいさま」と毎日話してるわけか。


 クイン・ニキアスは自分の血筋を嫌がってた。

 自分の生まれも、オッドアイも、ヘビの様な瞳孔も、大蛇の姿をした義兄も全て。

 だから髪を伸ばしてメガネをかけて顔を隠して、ジメジメとした部屋に閉じこもった……



「まぁお兄ちゃんがヘビって複雑な気分だもんなぁ」



 しかもでっかい。

 さすがにあの大きさは誰でもビックリする。


「けど私はアイドルやっててよかったなぁ!」


 売れる前は地下アイドル兼ユ●チューバーだったのが幸いした!

 ヘビを大量に身体に巻きつけてみたり、アフリカまで行ってヘビに食べられそうになってみたり……と過激な企画をしていたおかげで、でっかいヘビを見ても「大丈夫! ヘビは食べる前にサイズ測ったりするからその時に逃げれば何とかなる!」とか知識があったおかげでそこまで慌てなかったし。


 それにようやくわかった、天使くんがこのゲームを選んだわけ。


 ヒロインが私に惚れてしまったとしても世界が崩壊しないゲームだからだ!

 だってこのゲーム、ヒロイン自身には強大な力があるわけじゃない! いうならばヒロインちゃんは「めちゃくちゃ優秀な通訳」。

 ヒロインちゃんが私に惚れてもケモノとなってる攻略対象達はケモノのままだけど、別にヒロインちゃん以外の誰かと恋愛したら何とかなるわけ。

 聖女様が私に惚れたので世界崩壊しました! ってことにはならない。


 しかも、だ!

 億が一の可能性として「イケメンが私に惚れて世界崩壊」という可能性もほぼない。


 だって!

 攻略対象(イケメン)がケモノの姿のままだと、私は義兄以外とは血の繋がりがないので言葉がわかんない。コミニュケーションがとれない。

 攻略対象が人間の姿に戻ってる=ヒロインちゃん含めて誰かと契約を結んだ状態なので彼女持ち的なこと。それを盾に私はいくらでもスルーできる。


 え、完璧では?

 ヒロインちゃんと仲良くなってもならなくても長生きできちゃう!


「となりゃあ! 私は好きに生きさせてもらおうじゃないか!」


 ベッドの上で立ち上がり、私は叫んだ。

 メアリーにめちゃくちゃ怒られたのだった。



★★★


少しでも楽しんでいただけましたら

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