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14:これってやばいフラグ?

「ねーーーおチビちゃん、ビックリしたぁ?」


 朝の居間(パーラー)で義兄に会ってから数時間後。

 私とキーリーは子ども部屋にいた。


 キーリーは私の髪をぐしゃぐしゃにしてる。

 なんかずっとこうしたいと思ってたらしい、ヘビの時は手がなかったからね。


 まぁいいか、と私はされるがままになっていた。

 後ろに立つキーリーも楽しそうだし。


「そりゃビックリしたよ。いつの間にか既婚者だったし」

「幸せな家庭を築こうね♡ おにいちゃま、がんばる」

「犬とか飼って?」

「は? ヘビいるじゃん。オレ以外いる? いらねぇっしょ」


 犬と同じペット枠なの?

 義兄としてそれでいいのかな、と思ったけど、なぜかちょっと犬をライバル視してるみたいだったので黙っておいた。


 どういうわけだかそれをいいながらもキーリーの手は私の首に回ってるし…………

 締められちゃうのかな、ヘビの時と同じように?

 ほんっとうに攻撃的なおにいさまだなぁ。


「でもキーリーってペットにしてはおっきいし、私は小さいサイズのペットも飼ってみたいけどな。もちろんキーリーもステキだけど」


 それを聞いた途端、キーリーはムッとした顔をして私の首から手を離す。

 締められなかったことは安心すべきだけど…………


 キーリーはどうやら私の発言が気に食わなかったらしい。

 ガタガタと音を鳴らして適当なイスを壁に向けると、長い足を組んで座り黙ってしまった。


 拗ねてる……

 そんなにペットとしてのプライドがあるのか。

 まだヘビとして生活していたことの方が長くて、ヒトとしては赤ちゃんだもんな……


 でもこれ謝ることかな?

 ペットを飼いたいのは本当だし。


 私はチラ、とキーリーを見てからつぶやいてみた。


「……おにいさまが壁と睨めっこしているなら、私は剣の稽古でもしに行こうかな」


 そういいながら私は立ち上がる。

 さも思い付いたかのように。


「は?」

「お話してくれないんでしょ?」


 本当は突然、キーリーがヒトの姿に戻ったせいでバタバタしてるから剣の稽古も何もないけど。

 ちょっとしたイタズラ心からそういってみると、キーリーは思いっきり眉を寄せて私を見上げた。


「……………………本気でいってんの」

「もちろん」

「……………じゃあクインのこと嫌いになっから。オレ置いて行くなんて」


 普段の私ならヘビ姿の義兄にそういわれると「じゃあいるよ」とか「それなら一緒に散歩する?」とでも誘って一緒にいようとするんだけど。


 相談もなく急に勝手に結婚したとかいわれて。

 昨日の夜からこうやってバタバタにも巻き込まれ、少しだけやり返したい気持ちもあったりした。


 なので私はにこ、と笑う。



「どうぞお嫌いになって? 私も嫌いになるから」



 そういうとキーリーの白い肌は真っ赤になった。

 椅子を倒しながら立ち上がると、部屋を横切る。


「わかった!! 謝ってもゆるさねぇからな!!!」


 そう捨てゼリフを吐き捨てると義兄は部屋から出て行った。

 ちょうどやって来たメアリーが驚いた顔で私と、出て行ったキーリーの後ろ姿を見比べる。


 今度も私は笑った。

 実にニッコリと。



「最初が肝心でしょ?」



 ウィンクをするとメアリーは少し照れたように微笑んでくれたけど、すぐに何かいいたげに溜め息を吐いたのだった。


「これだからニキアス家はっていわれるんですよ。マウントの取り合いなんてして………」


 始めたのはキーリーの方からだよ。

 そういいたかったけれど、メアリーがこういう風に小言をいい始めると長いので黙っておく。


 メアリーはぐちゃぐちゃになっている私の髪の毛を見て、ブラシをあてようとしてくれた。

 長い髪じゃないんだから大丈夫だよ、といって私が手ぐしで整えると不機嫌そうに口を閉ざす。


 女の子は髪の毛が長くないと、ってまだ思ってるんだ。

 短い方が私には似合うのにね。


「ご兄妹で仲良くしてください。キーリー様がヒトの姿に変われるようになったので、これからはニキアス家の権限の一部が譲渡されるんですから」


 それにしたってどうしてキーリーは急にヒトの姿になったのかなぁ。

 聞きたかったけど、聞く前に怒らせちゃった。


「クイン様のご結婚のことだってこれからは侯爵様ではなく、キーリー様が決めるんですからね!」


 あ、もしかしてそのせいかな?

 私の結婚、と聞いてニタァと笑っていたキーリーのことを思い出す。


 いやまさか…………

 いやでも、そんな、ね?


「ねぇメアリー」

「はい、どうしましたか?」

「キーリーが私と真の結婚をしたら、この世界って崩壊しちゃうと思う?」


 私は大真面目に尋ねた。


「血が濃すぎます。おふたりが結婚した場合、生まれてくるお子様は確実に神付きでヘビですのでクイン様はショック死なさるでしょうね」


 メアリーも大真面目に答えた。

 それはやっぱりね、というような内容で…………



「やばい。私もしかしたらまた長生きできないかも」



 頭を抱える天使くんが見えたような気がしたのだった。


 いやまさかね?

 違うよね? キーリーが私のこと大好きなんてことないよね? 他の人と結婚するよね? 主人公ちゃんとかと。

 私、攻略対象から愛されなさすぎて世界崩壊させてるもんね? そうだよね?



★★★


やったーーー!

評価めちゃくちゃうれしいです!


少しでも面白いと思っていただければ

評価やブクマ、感想いただけると頑張れます!!

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