何回パンツって言えば気が済むの?
俺とホニーが、天界からのカミナリを身に受けてからしばらくして。
ホニーの体力が回復したようだ。
「今からナカノ国の王宮に行って、アタシの下着を取り返すわヨ!」
ホニーがいつにも増して、力の入った雄叫びをあげている。
「おい待て、一旦、北の国の3人と鍛治師6人を他の場所に移動させるのが先だ」
俺がそう言うと、
「別に、みんなでナカノ国の王宮まで行けばいいじゃない!!!」
と、今すぐにでも国王のところに乗り込みそうな勢いでホニーが応える。
「キタノ国の3人のも一緒に行くって言うのか? 隣国の王女と王子が勝手にこの国の王宮に乗り込んでみろ、キタノ国とナカノ国で戦争になるぞ」
はちゃめちゃ王女シーナも、俺の言葉を聞いてホッとしているようだ。
流石に、自分たちのせいで、戦争になんてなったらマズイと思っていたようだ。
「じゃあ、悪いけど、ここから歩いて帰ってもらいましょう」
ホニーがまたなんか、勝手なこと言ってるし。
「キタノ国の王女様と王子様に、歩いて帰れって言うのか? 国境にたどり着く前にナカノ国の領内で何かあってみろ、やっぱり戦争になるぞ?」
「いえ、僕たちは歩いて帰っても、全く問題ありま——」
シオス王子の言葉を遮り、またホニーが叫ぶ。
「ナニヨ! 戦争戦争って! アンタ、そんなに戦争が怖いの!?」
「当たり前だ!!! お前は戦争がどんなもんか知らネエだろうが!!!」
「アンタだって…… あ、そうか…… アンタは前回のターンってヤツで……」
「あれ? お前、なんでそのことを……」
「その…… アイシューとかコテラさんから、いろいろ聞いたのよ…… 悪かったわ、ワガママ言って」
「いや、そんなしおらしい態度をとられると、俺もどうしたらいいか……」
「チョット! なによ、情けないわネ! じゃあ、キタノ国の3人と鍛治師の6人をそれぞれ送り届けたら、直ぐ下着を取り返しに行くわヨ!」
ホニーが折れてくれたようだ。ホニーも少しずつ、相手の気持ちを考える心が育ってきてるのかな? なら嬉しいんだけどな。
「よし! じゃあ、これからキタノ国の国境付近とヒトスジー領に行くとして…… 明後日だ! 決戦は明後日だ!」
「いいワ! それで決まりだからネ!!!」
俺はミミー、アイシューの顔を見る。
二人は無言で頷いた。
「よし、じゃあ決まりだ! さあ、そうと決まれば、また超級魔法ショーの始まりだ。ついでに今回は、ヒトスジー領でご好評をいただいた、ドラゴンっぽい混合魔法も披露してやろう」
♢♢♢♢♢♢
俺の超級魔法ショーを見て唖然としているナカノ国の兵士たち。
俺は兵士たちに向かって、大声で叫んだ!
「俺は日本から来た転生者キシ・カイセイ、人間族最強魔導士だ! 明後日、王宮にホニーのパンツを取り戻しに行く。国王に伝えておけ、ちゃんとパンツを用意して待っておけとな!」
見よ、高校入学時、演劇部に1回だけ見学に行ったことのある俺の渾身の演技を!
「ついでに、パンツ泥棒だけじゃなく、今後一切変態行為をしないと約束するまで、キッチリお仕置きしてやるからな! だいたいパンツ泥棒なんてなに考えてんだ。そんなにパンツが大事なのか! いいか、パンツってのはな、身につけるものであって——」
「チ、チョット!!! アンタいったい、何回パンツって叫んだら気が済むのヨ!!!」
頬を赤く染めたホニーが叫んだ。
「と、とにかく、絶対に逃げるんじゃネエぞ!!!」
こうして、元ナンバーズ諸国の鍛治師たちを救出するという、俺たちのミッションはやっと完了した。
まあ、後半は、まったく関係ないことで揉めてたんだけど……
じゃあ次は、ホニーのパンツ奪還作戦に全力を尽くすことにしようか。
待ってろよ、パンツ国王!




