表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
⑥心優しいキタノ国の冒険者たち 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/219

もはや言葉が見つからない

 コッパヤクニーンの話によると、どうやらナカノ国の国王は…… ロリコンのようだ。


「……ひょっとして、王様は私が生成した水を飲んだの?」

 汚らしい腐った臭気を放つゴミを見るような目で、コッパヤクニーンを見つめるアイシュー。


「とんでもない!」

「なら、いいんだけど——」


「王様は聖女様が生成された聖水を、それはそれは大切にされ、毎日の入浴の際に少しずつご自分の体につけては…… ゴボゴボゴボ………… い、息が! 息が出来ません! お、お助けを!!!」


 アイシューの初級水魔法、ウォーターディスチャージが、コッパヤクニーンを襲う。


「おい、アイシュー。そろそろ止めないと、ソイツ窒息するぞ?」

 我に返ったアイシューが攻撃を止める。だがすぐに叫んだ。


「カイセイさん! 早く混合魔法ドライヤーで、私が生成した水を乾かして! この変態の体から、一刻も早く私が生成した水を蒸発させて!!!」

 アイシュー、絶叫。


「わかったよ」

 俺は混合魔法ドライヤーを発動させた。


 でも、変態なのは国王であって、コイツじゃないんだけどな。

 だが、コッパヤクニーンも、たいがいな性格の持ち主だと思う。



「お前、本当に優秀な特殊工作部隊員だったんだな」

 あきれた俺は、自然にそんな言葉が口から漏れた。


「いいえ、たいしたことはやっていませんよ!」

 喜色満面のコッパヤクニーン。

 ……俺、褒めてるんじゃないんだよ? あきれてるんだからな?

 どうやらコイツには、俺の真意が届いていないようだ。


「チョット! アタシはカイセイが『キョート人』だって知ってるからいいけど、『キョート人』お得意の『いけず』なんて、この世界では通じないわヨ?」


 そうなのか? でもホニーよ。お前には俺の『いけず』な物言いがわかるのか?

 それから、俺はそんなに『いけず』なのか?



 俺の心など知らないコッパヤクニーンが、得意げな様子で更に話を続ける。


「その後、転勤先のヒトスジー領で俺がやったことなんて、たいしたことじゃありませんよ。炎の令嬢様を尾行してその生態を調査するとか、令嬢様が捨てたゴミを拾って持ち帰るとか…… まあ、あとはパンツを盗んだぐらいですかね!」


 え? ナニ言ってんだ、コイツ? それって自慢げに語ることなのか?


 嬉々とした表情で話を続けるコッパヤクニーン。

「パンツを持って帰った功績で、階級が2つ上がりました!」


「……………………で、そのパンツは今どこに?」

 恐る恐る、俺は尋ねる。


「宝物庫に入れておられます。それはそれは大切にされていますよ!」


「……………………じゃあ国宝とかに、なってたりして」


「いいえ。王様は『聖遺物』と命名されました」

「あの………… 俺、皮肉のつもりで言ったんだけど…………」


「国王陛下は『聖遺物』をとても大切にされ、毎日のようにお手にとられて——」


「き…… き…… き……」

 あっ、ホニーの口から変な音が聞こえて来た……


「——『これを見ると一日を健やかに過ぎせる』とおっしゃるほど、それはそれはお気に入りで……」


「きいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーー!!!」


 あっ、ホニーが変な雄叫びを上げながら、コッパヤクニーン目掛けて突進した!

 ヤバイ…… 目がイってる……


 コッパヤクニーンの手前でジャンプしたホニー。

 顔面めがけて華麗に頭突きをかましやがった……


「ゴフッ……」

 コッパヤクニーンの身体が地面へと沈む。しかし……


 ホニーは馬乗りになりながら、コッパヤクニーンの顔面にグーパンチを連打。


「い、痛え! や、やめて下さいよ! ちょっと、引っ掻くのは反則ですって!」

 ヤバイ。ホニーが正気を失っている。



「おい、起きろミミー! とりあえずホニーを止めてくれ!」

 俺は慌てて、ミミーに言葉を投げる。


「ムムっ!? いつの間にこんな展開に? さてはホニー…… 瞬間移動の魔法を習得したのカ?」


「お前、今まで寝てたんだよ。それから、そんな魔法はこの世界にネエよ!」


 何はともあれ、俺の言葉を聞いた眠気まなこのミミーが、ホニーの背中に飛びついた。


「きいいぃぃぃぃぃぃーーーーーー!!! チョット、ミミー、離しなさいヨ!!!」

 ……とりあえず、ホニーの攻撃はおさまったようだ。


 しかし…… 人間って本当に怒ったら、魔法とか使わずに殴りかかるんだな。

 いや、それはホニーだけか。

 ホニーは本当に短気で困る。

 もう少し、落ち着きにある大人になって欲しいものだ。



「おいホニー、ちょっと落ち着けよ。気持ちはわかるけどさあ——」


 また俺の言葉をさえぎり、ホニーのヤツが怒鳴り散らす。


「チョット! アンタ何わかったようなこと言ってんのヨ! あああっっっ! さてはアンタも『ろりこん』だから、変態国王のことがわかるってことなのネ!!!」


「オウゥゥゥッッッ!!! オニーさんに『ろりこん』って言ったらダメだゾ!!! オニーサンはジョーキューシャーの街で、それはそれは悲しい目に遭ってるの、オレっちは見たんだゾ!!!」


「テ…… テ…… テ……」


「ヤバいゾ…… オニーサンの口から、ヘンな音が聞こえるゾ……」



「テッッッメエェェェーーーーーー!!! 俺はロリコンじゃネエって言ってんだろォォォーーーーーー!!!」


「チョ、チョット! なんでコッチにダッシュで来るのヨ! って、チョット、い、痛ッタイ! なんでアタシに4の字固めをキメにきてんのヨ! アンタ子どもなの!?」

「テメーこそ、俺の顔を引っ掻くんじゃネエよ! イテエじゃネエか!」


「ヒ、ヒョッホ!クヒをヒッハルんじゃないハヨ!」

「グ…… テ、テメー、クビをしめるのは反則だぞ!」


「生意気言ってんじゃないわヨ!!! 『ろりこん』はみんな滅びればいいのヨォォォ!!!」

「俺はロリコンじゃネエって言ってんだろぉぉぉ!!!」



「もう! 二人ともやめなさいよ! まるで子どもの喧嘩じゃない! みっともないわよ!!!」

 アイシューの声が聞こえたと思った次の瞬間……



 ————ガラガラ…… ズドーーーン!!!


 …………俺とホニーの頭上に、天界から雷が落ちて来た。

 とても痛い…… 俺もホニーも動けない……


 でも、おかげで俺は少し冷静になったようだ。


 うーむ…… どうやら、人間は本当に怒ると魔法とか使わずに殴りかかる説は、一部正しかったようだ。俺はもちろん、最後に残った理性を総動員して4の字固めを仕掛けるだけに留めたのだが……


 ホニーのヤツめ、古式ゆかしいプロレス技、4の字固めまで知ってるのか、なんてことは心からどうでもいいや。


 一方、ホニーは天を仰いでつぶやいた。


「こ、これって…… 『カミナリおやじ』の仕業しわざなのかしら」


 ホニーは本当にブレない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ