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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
第1章 女神様と3人の少女  ①獣人族の少女ミミー 編
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後日談 ~ハジマーリの街~

〈 これは俺とミミーがハジマーリの街を出てから数日後、旅の商人から聞いた話だ。適度にツッコミを入れながら、この話を振り返ってみよう 〉



 俺達がハジマーリの街を旅立ってから数時間後。お色気垂れ流し神官バインバイーンは、その日も相変わらずハレンチな格好で——ボディラインがくっきりわかる、パッツンパッツンの鎧を身に付けて——冒険者ギルドを訪れていたそうだ。もちろん俺に会うのが目的だったようだが……


「カイセイ様がすでに旅立たれたですって!? それはいったいどう言うことですの!」

 バインがギルド職員ナミダーメさんにわめき散らす。


「そ、それは、何度も言いましたように…… そのぉ…… 獣人族の冒険者ミミーさんと一緒に、朝早くに出立されたそうで…… それ以外のことは、本当になにも知らないんですぅぅぅ」

 ナミダーメさんは本日も涙目のようだ。まったく、バインのヤツめ。


「おかしいじゃありませんの! どうしてこのわたくしではなく、あんな子どもを連れて行ったのですか?」


「そんなこと私に聞かれましてもぉ………」


「あなたもご存知でしょう? 異邦人はこの世界で最初に降り立った街において、必ず最初のパーティメンバーを選ぶと言うことを!」

 ……バインの野郎、どうやら転生者特典のこと、知ってやがったようだな。


「あの…… カイセイさんは当ギルドではパーティ登録されていませんので…… あのー、ミミーさんは弟子になると言われていたそうですから、恐らくパーティメンバーとは関係が無いように思うのですが——」


「お黙りなさい!!!」


「ひぃっっっ! す、すみません!」


「それではいったい、誰をパーティメンバーに選んだって言うのかしら? まさか…… ひょっとして、あなた! あなたが抜け駆けしてパーティメンバーになったのではないでしょうね!?」


「そんなこと、あるわけないじゃないですか! あ、あの…… 少しよろしいでしょうか? 私もバインさんがおっしゃられている、異邦人の方々の噂? 言い伝え? えっと……」


「ああ、もう、鬱陶しいわね! 最初のパーティメンバーを選ぶって話ですわよね! それがどうしたと言うのですか?」

 ……まったく。バインのヤツは、女とブ男には容赦ないんだよな。


「す、すみません! はい、その件ですが、カイセイさんには当てはまらないのではないかと思うのですが……」


「……その根拠は?」


「あっ、ハイ。えっとですね、カイセイさんの強さは桁違いでしたよね? あのような人がパーティメンバーなど必要とするのでしょうか? 少なくとも、あの方と肩を並べて戦える人がこの街にいるとは思えない…… あっ、いえ、訂正します! 訂正させて下さい! この街の冒険者の中にいるとは思えない、そう言おうと思ったんです! 神官は含まれてませんからね。ここ、重要ですよ! だから、あの、べ、別にバインさんがダメだとか、エロいとか、チャラいとか、そういうことを言ってるのでは…… あれ?」


 うーむ、ナミダーメさんもそう思ってたんだな。共感することこの上ない。


「お黙りなさい!!!」


「ひぃっっっ! も、申し訳ありません!」


「あっ、そうですわ! わたくし、今思い出したことがありますの。あなた、聞きたいですわよね?」


「あっ、いえ、私は別に…… いえっ、聞きたいです、是非聞きたいです!」


「ええ、そうでしょうとも。わたくし、聞いたことがありますの。異邦人の世界の恋愛事情について」


「恋愛事情?」


「ええ。なんでも、あちらの世界には、幼い子どもしか愛せない殿方がおられるとか。確か『ろりこん』と呼ばれているそうですわ」


「はあ……」


「きっとあの男も、その『ろりこん』に違いありませんわ!!!」


「いや、それはどうでしょう……」


「いいえ、それしか考えられませんわ! だって、このわたくしを差し置いて、あんな幼女を連れて行くなんて! なんとフシダラなことでしょう!」


「いや、あの…… フシダラなのはどちらかと言うと……」


「ちょっと、そこの冒険者さん、私の話をお聞きなさい! そちらの冒険者さんにもお話しして差し上げますわ!」


 こうして、エロくてチョロいフシダラ神官バインバイーンは、冒険者ギルドにいた冒険者達を片っ端から捕まえては、自分の妄想を吹き込んで回ったそうだ。そして、その噂は瞬く間に、ハジマーリの街中を駆け巡ったとのことであった。


 かくして、ここに記念すべきこの世界における俺のロリコン疑惑事案第一号が発令されたわけだ。おのれ、バインめ…… やはりお前とはいつか決着をつけねばならないようだ。

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