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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
⑤女神テラ様降臨 編

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俺はドMじゃないぞ

 俺の第一の目標は、聖剣を手に入れることとなった。併せて、それ以外のことは、状況を見ながら適時パイセンと共に考えて行くこととした。


 それから、万が一魔人族四天王と戦うことになった場合、相手が一人なら『応戦』するが、複数でかかってこられた場合は必ず逃げること。パイセンからそう告げられた。いくらレベル99の俺でも、流石に四天王二人相手では分が悪いそうだ。


「わかった。でもそれは俺に限ったことじゃないんだぞ」

 俺は娘さん3人に向かってそう言った。更に——

「俺はお前たちを魔人族と戦わせる気なんて全くないんだ。それに魔人族の連中は、そりゃあもう、みんなメチャクチャ強いんだよ。だから、もし魔人族が突然襲って来た場合、俺が指示するから必ず逃げるように。いいな?」

 3人は不満そうな顔をしている。


「みなさん、そんな顔しなくてもいいんですよ。カイセイさんが飛び抜けて強いだけで、みなさんだって十分に、いえそれ以上に強いんですから」

 ナイスフォローだ女神様。


「それに、カイセイさんが、今これほど安定した力を発揮できるのは、みなさんの精神的なサポートがあればこそなんですから」


「その通りだ。なんたってお前たちは、女神様ご推薦のメンバーなんだから」

「え? なんのことですか?」

 もう、女神様ったら、トボけたこと言っちゃって。


「いやだなぁ、ミミーは最初の…… なんでしたっけ? 転生者初期特典? の、3人のうちの一人だし。アイシューとホニーは、えっと…… 『あなたにパーティメンバーをオススメしちゃうぞ特典』でしたっけ?」


「……『あなたにおススメ、パーティメンバー発見特典』です」

「……別にどっちでもおんなじようなモンでしょ」


「また失礼なことを! ……って、まあ、それは置いておくとして。あの、カイセイさん、何を言っているのですか?」


「いやだなぁ。今回のターンでは、アイシューとホニーの背中が光ったんですよ。これが女神様の言う、ナントカ発見特典でしょ?」

「カイセイさんは何か誤解をしているようですね。いいですか? まず、一番最初の転生者特典についてですが。転生者はこの世界に降り立った最初の街で、私が選定した3人のパートナー候補の中から一人を選んで、パートナーにすることが出来ます」


 そうですよね。


「出来るだけいろいろなタイプの人の中からパートナーを選んで欲しいので、私は異なった『属性』を持つ候補者を複数名選定しています」


 そうだった。ミミーは『短剣使い』だし、ナミダーメさんは『攻撃魔法』で、バインのイカレ野郎は『治癒魔法』だった。


「パートナーを選ぶと、今後その人と同じ『属性』を持った人が現れた場合、すぐに転生者が発見出来るよう、その人物の背中に光を生じさせます。これが『あなたにおススメ、パーティメンバー発見特典』です」


「え? ちょっと待って下さいよ。ミミーの『属性』は『短剣使い』ですけど、ホニーとアイシューは『攻撃魔法』じゃないんですか?」


「もう、カイセイさんったら何を言ってるんですか? それは『属性』じゃなくて、得意とする攻撃でしょ?」


「じゃあ、『属性』って何なんですか?」


「もう、そんなの決まってるじゃない!


S、or(オア)、M、or(オア)、ロリ!!!


これよ! これが『属性』よ!!!」



「………………………………………………は?」



「あ、ひょっとして、カイセイさんはもっとマニアックな『属性』がよかったのかしら?」


「………………………………………………え?」



「もう、カイセイさんは前回のターンで『Mルート』を選んだくせに、今回は『ロリルート』を選ぶんだもん、ちょっと驚いちゃったわ」


「…………そんなこと、初耳なんですけど。なんですか、その『ルート』って?」

「え? そんなの日本人ならみんな知ってるんでしょ? カイセイさん、ゲームやったことないんですか?」



「あああっっっ!!! ひょっとして、最初にミミーを選んだ時点で俺はロリ攻略ルートに入ったのか? それでその後、アイシューやホニーが同じ『ロリ属性』だから俺にオススメしたってことか?」


「オススメしたっていうか、『ここにロリっ子がいますよ』と教えてあげたっていうか」


「紛らわしいことすんじゃネエよ!!! あっっっ!!! ひょっとして、前回のターンで、俺のパーティにはロクでもないヤツしかいなかったのは——」



「もう、カイセイさん、ロクでもないヤツなんて言っちゃダメですよ。みんなドSだっただけなんですから」


「………………俺は女神様のお導きだと思って、背中に光が生じるヤツをみんなパーティに加えてたんだ」

「うーん…… お導きというより、『ここにドSがいますよ』と教えてあげた——」



「2回言わなくてもいいよ!!! テェッッッメェー、俺が前回のターンでどれほどあのクソメンバーたちに、精神的苦痛を負わされたと思ってんだよ!!! 地獄のような生活だったんだからな!!! このヤロォォゥゥー! 今日という今日は、絶対に許さネエぞ!!!」


「あ、ああそうだ! わ、私これから大事な用事があるんでした。私、今から長期の出張に出かけますので! あとのことはコテラさんに聞いてください、それじゃあ!!!」


 そう言うと、このポンコツは天界側のドアを開け、ダッシュで逃げて行きやがった。


 俺が追いかけようとしたところ——


「カイセイ氏、ストップっス!!! その先に行ったら、死んじゃうっス!!!」


「えっ!?」


「そのドアの向こうは天界っス。生身の人間が入ったら肉体が消滅するっスよ?」

 ……危ない。危うく3度目の死を迎えるとこだったじゃねえか。



「あのー……」


 パイセンが申し訳なさそうな顔をして口を開く。

「自分も女神様に聞かれるまま、日本の話をいろいろしちゃったから…… 特にゲームの話とか…… 女神様があんな風に考えたのは、きっと自分にも責任があるんス。申し訳ない」


 そう言ってパイセンが頭を下げたので、

「ハァ…… わかったよ。俺もちょっとアツくなりすぎたようだ」

 俺も少し頭を冷やすことにした。


 でも…… 俺、ホントに前回のターンでは、パーティメンバーたちに散々苦労をかけられたんだ。でもあれってアイツらの性格が悪かったんじゃなく、単にドSな連中だったってことなのか。

 俺、Mじゃねえから、ちっとも嬉しくなかったよ!


 ……俺の性癖がMだからバインバイーンを選んだわけじゃないんだ。アイツが治癒魔法の使い手だから選んだんだよ。まあ、多少、ビューティフルなフェイスとナイスなバディーに惑わされたのは事実だけど…… あ、ちょっと自業自得か。



 今回は、単にアイシューとホニーがロリ属性だから、背後に光が見えたってだけの話なのか。でもまあ、光が見えようが見えまいが、二人をパーティメンバーにしていたことに変わりないだろうから。

 今回のターンについては、まあ実害なしということにしておいてやろう。


 あれ? ということは、ナミダーメさんはM属性なのか? 今回のターンで俺は彼女を選ぼうとしたんだ。

 じゃあ、俺の属性はSなのか?


 …………バカバカしい。俺は前回のターンの対魔人族戦役で、凛として味方を鼓舞しながら戦うナミダーメさんを見て憧れたんだ。女神様のバカなお遊びに、これ以上悩まされてたまるか。



「それから言いにくいんっスけど…… たぶん女神様は女神の使徒コテラとして、もう祈祷所の休憩所あたりで待ってると思うんスよ」


「え? そんなことぶっちゃけていいのか?」


「なんかもう、いいかなって思って。で、まだ話の途中だったんで、もうちょっとカイセイ氏と話を詰めておきたいんス。申し訳ないんスけど、娘さんたちは先に休憩所に戻って、コテラになりきった女神様の相手をしてもらえないっスか?」


「えー、それならアタシも残る! アタシだってパイセンとお喋りしたいんだからネ!」

 ホニーが駄々をこねている。しかしアイシューが、


「もう、ホニーったら。パイセンさ…… 使徒様は、カイセイさんと二人で話を詰めたいのよ」

と言って、ホニーをなだめた。


「ふふ、アイシュー氏は本当に聡明っスね。それから、自分のことは『パイセン』でいいっスからね? ねえホニー氏。日を改めて、今度またゆっくり二人で話をすることにしないっスか?」


「ええ、わかったわ! でも約束よ!」

 そう言って、ホニーは自分の小指をパイセンに向けた。


「懐かしいっスね。自分が教えた『指きり』、覚えててくれたんっスね」

 パイセンが優しい微笑みを浮かべた。


 指きりか。本当に懐かしいな。なんだかほのぼのした気分になってきた。

 ホニーとパイセンが小指を絡める。

 なんだろう。母親と娘が小指を通して心と心を通わせているようにも見えるな。なんだか俺の心も暖かくなってきたよ。

 そして、ホニーとパイセンが歌い出した。


「「ゆーびきーり、げーんまーん——」」

 二人の優しい声が部屋中に響き渡る。



「「——うーそ、つーいたーら、ケツの穴ーに、うで()っ込んでー、内臓ひねーり出ーして——」」



「そんな歌詞じゃネエだろ!!! おいパイセン! お前、ホニーに何を教えたんだよ!!!」


「え? 違うの?」

 キョトンとした顔のホニー。


「ホニー! お前は今後一切、俺以外の日本人を信じちゃダメだぞ!!! いいか、絶対だからな!!!」

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