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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
⑤女神テラ様降臨 編

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驚愕のアイシュー

 俺たちパーティメンバー4人と女神様、パイセンは、女神様とミミーが作った宇治金時を美味しくいただいた。


「さて、じゃあそろそろ本題に入らしてもらっていいっスか? カイセイ氏は女神様に、いろいろ聞きたいことがあったんでしょ?」


「うーん…… なあパイセン。ここは一度仕切り直して、俺一人でもう一度ここに来るってのはどうだ? 宇治金時も美味しくいただいたことだし、今日はこれでおいとましようかと……」


「カイセイさん! 私たちに聞かれたらマズいことでもあるの!?」

 アイシューが真面目に叫んだ。


「いや、そういうわけじゃないんだけど…… ほら、世の中、聞かない方がいい話だってあるじゃないか。それに悪気なくポロっと口が滑ることだってあると思うし」


「チョット! カイセイはもっとアタシたちを信頼するべきよ!」

 ホニーが勢いに任せて叫んだ。


「いや、別にお前たちを信頼してないわけじゃないんだよ。ほら、特にミミーはまだ小さいし」


「ムムムムムっ! オニーサン、オレっちはこう見えて、結構大人だゾ!」

 ミミーがプンプンしながら叫んだ。ちょっとかわいい。


「いや、そういうところが子どもなんだよ……」

 まいったな…… どうしようか。そんなことを考えていると——


「まったく、カイセイがさんったら、すっかりお父さんになっちゃって。カイセイさんはみなさんのことを心配しているのですよ」


 おっ、女神様ナイスフォローじゃないか! 実はそうなんだ。前回のターンの話を聞いて、アイシューやホニーがショックを受けないか心配なんだよ。それに、ミミーがポロッと秘密を喋ってみろ。いくらポンコツ女神様だって、きっと許してくれないと思うんだよな。


「ではこうしましょう。ここで話した内容について他人に口外できないよう、私が魔法をかけることにします」


 え? 女神様ってそんなことも出来るのか? なんかスゴイな。


「それから…… もしカイセイさんの話を聞いて娘さんたちがショックを受けた場合、私が魔法でみなさんの記憶を消すことにします。それでいかがですか、カイセイさん」


 え? 女神様ってそんなこと…… って、おい、待てよ。記憶を消すってなんだよ? この人、そんなことも出来るのか? ちょっと怖いんですけど……


「ははぁー。女神様のお申し出、謹んでお受け致します!」

「何言ってんだか、このお調子者は…… カイセイさんの記憶は消したりしませんからご心配なく」


「ありがたき幸せ! って、本当にやめて下さいよ、記憶を消すとか?」


「ハイハイ、大丈夫っスよ。自分も約束するんで。じゃあ、カイセイ氏、ちゃっちゃと質問を始めて欲しいっス」

 よし。なんとなくパイセンは信用できそうなので、女神様のお申し出を受け入れることにしよう。


 俺はまず、『前回のターンの話をしてもいいのか』という点について質問した。

 女神様の答えは、パーティメンバーには話してもいい、というか、もう側で聞かれているからな。ただし4人とも、時間を巻き戻した話については他言無用とすること。


 俺と女神様のやり取りを聞いていた娘さんたちが、とても驚いていた顔をしている。しかし——

「もし前回のターンの話が聞きたいんなら、後日改めて話してやるよ」

 今の俺には、そう言ってやることしか出来なかった。


 次の質問は今回のターンの目的。これが本題だ。

 戦争を起こさず平和な世界を築くというか考え方には賛同するが、具体的にどうするのか。


「パイセン、お願いね」

 女神様はパイセンに丸投げした。


「じゃあ、話を整理するっス」

 当たり前のように、パイセンが話を始めた。なんとなく、この二人の関係がわかったような気がした。


「魔王は今から約4年後に復活する。これは前回のターンでも今回のターンでも変わらないと——」


「「えっ!」」

 アイシューとホニーが驚きの声を上げた。


「チョ、チョット! 魔王はもう復活しないんじゃないの!? あっ、ゴメンなさい、アタシったらつい……」


「いいんスよ、ホニー氏。疑問があるんなら言って欲しいっス。アイシュー氏もどうぞ」

 パイセンから指名を受けたアイシューも口を開く。


「私が聖堂会で学んだ歴史は、こんな感じでした——」

 そう言ってアイシューは目を閉じ、自分の記憶を辿たどりながら、美しい音を周囲に響かせるかのごとく言葉を紡ぎ出す。


「——世界に仇なす魔人族の王。の者は100年に一度復活し、我ら人間族の正義の化身けしん勇者と戦う。これまでの戦いの回数、数えるに能わず。しかるに200年前の戦いにおいて、世界に厄災をもたらす魔王はじめ魔人族ども、栄光ある我ら人間族軍により天罰が与えられ壊滅す。今より100年前、ついに魔王の復活は果たされず。故に、今後、魔王が復活すること永久にありえず。私はそのように学んだのですが……」


「半分正解っスね。この世界では、千年以上前から100年に一度、魔王と勇者が戦ってたんスよ。でもそれはあくまで魔王と勇者だけの戦いだった。それが今から200年前、人間族の連中が、勝手に戦争なんておっ始めやがったんス」


「そんな………… それじゃあ、戦争を始めた人間族が悪いのですか!?」


「いやぁ…… 戦争に良いも悪いもないっスよ。当時の人間族にも、それなりの理由があったんじゃないっスかね。ただ、戦いの形というかやり方を変えたのは、間違いなく200年前の人間族の連中っスね」


 アイシューの表情が哀しく沈んだ。そりゃそうだろう。今まで正義の人間族が悪の魔人族を倒したって教わってきたんだ。自分が正しいと信じてきた価値観が今、音を立てて崩れ去ったのだ。では今、俺はなんて声をかければいいのだろう? 正直言ってわからない。でも、何か言わなければならないことはわかる。


「……おい、アイシュー。まったくお前はマジメ過ぎるんだよ。別に200年前の連中がしたことなんて、お前には関係ネエだろうが。だいたい歴史なんてものは、編纂する側が都合よく書くもんなんだよ…… それに…… えーっと……」

 俺がその後の言葉を言い淀んでいたところ——



「そうっスね。ねえ、アイシュー氏。この話については、また機会を改めて、ゆっくり話をすることにしないっスか?」

 ナイスフォローだ。ありがとうパイセン。


「はい。ご配慮ありがとうございます。少し取り乱してしまいましたがもう大丈夫です。パイセン様、どうぞお話を続けて下さい」



「了解っス。でも、自分に『様』は付けなくていいっスからね?」

 苦笑いするパイセン。コイツ、口は悪いけど案外いいヤツなのかも知れないな。



「じゃあ、話を進めるっス。200年の年を経て魔王が復活するのは今から4年後、これは確定事項っス。でも前回のターンでは、魔人族軍は魔王が復活する1年前に攻めてきた。今回のターンでも、それは変わらないと思うんスよね。だから、やっぱり遅くとも、今から3年後には魔人族軍が人間族領に侵攻して来ると考えておくべきっスね」


「『遅くとも』ってことは、魔人族軍の侵攻が早まる可能性もあるってことか?」

 俺が尋ねると——


「確定的なことは言えないっスけど…… 状況によっては、侵攻が早まることもあると自分は考えているっス。さてこの状況を踏まえ、カイセイ氏から何か意見はあるっスか?」


 あれ? どうすればいいか教えてくれるんじゃないの? えっ、俺が意見を出すの?

 あっ、娘さん3人が、アツい眼差しで俺のことを見ている。


「フッ、では俺の意見を述べさせてもらうとするか」

 俺はアイシューに負けないほどイイ声を出して、とりあえず、カッコいいとこを言ってみた。アイシューが綺麗な声でカッコいい話をしたので、俺も真似しただけだ。


 今後の方策について、考えてみたのだが…… ダメだ、サッパリ思いつかない。


「ハァ…… まあ、カイセイ氏にもいろいろ考えはあるかと思うっスけど、ここは自分から提案させてもらうとしましょうか」

 なんだよ、パイセンのヤツ、意外といいヤツじゃないか。


「ああ! そうしてもらおう!」

 俺は力強く答えた。


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