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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
④はじめてのダンジョン 編

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後日談 〜ジョーキューシャーの街① 宿屋にて〜

〈 これは冒険者ギルドで宴会があった翌日の朝、コッソリとミミーから聞き出した話だ。今回も適度にツッコミを入れながら、この話を振り返ってみることにしよう 〉


「いよう! おジョーちゃまたちじゃねえか、ヒック。おらあ、冒険者のイノチシラズーってもんだ、ヒック。あんたらのリーダが酔いつぶれたんで、ここまで運んで来てやったぞおおお!!!」

 ……お前も相当酔ってるじゃねえか。


 俺が運び込まれたのは、俺と娘さんたちが宿泊している宿屋の一室。

 どうやら飲み過ぎて寝てしまった俺は、イノチシラズーや他の冒険者達に、ここまで運んで来てもらったようだ。


 俺はベッドの上に放り投げられたそうなのだが…… まったく記憶にない。

 今の時間はすでに午前0時を回っている。

 イノチシラズーたちは、俺を投げ捨てるとさっさと帰って行った。



「ウワッ、コイツ酒クサ……」

「なによ、このだらしない格好……」

 ホニーとアイシューがあきれている。


「オウっ! オニーサン、ゴゼンサマだゾ!」

 ミミーは荒くれ冒険者を見慣れているためか、それほど驚いてはいないようだ。


「チョット! ここアタシとアイシューの部屋なのヨ! さっさと起きなさいヨ!」

 ホニーが俺の体を揺すっているが、まったく起きる気配がなかったとのこと。なんだか申し訳ない……


「もう…… 仕方ないから、私たちは違う部屋に行きましょう。ミミーちゃんも一緒に来るわよね?」

 ミミーを気遣い、アイシューが尋ねる。


 俺がなかなか宿に帰って来なかったので、俺と相部屋だったミミーも、二人と同じ部屋で寝ていたそうだ。


「ン? オレっちはこの部屋でいいゾ?」

「チョット、ミミー! コイツとおんなじ部屋で大丈夫なの? ほら、もうすでにサケくさい臭いが部屋に充満してるじゃないのヨ!」

 ……本当に申し訳ない。


「ン? オレっち慣れてるから平気だゾ? 荒くれ冒険者は、大抵サケくさいものだゾ?」

 いや、そんなことないと思うが…… お前は一体これまでどんなヤツと一緒に行動してたんだよ?


「うわっ、嫌だ、なにこれ! 服に口紅がついてるじゃない! 不潔よ!」

 アイシューがうす汚ないゴミを見るような目をして叫ぶ。


 いや、別にイヤラシイことをしてたわけじゃないんだ。たぶん、酔った勢いで女性冒険者が抱きついて来たような記憶があるんで、その時についただけなんだよ。まあ、ちょっとだけ、ラッキー! とか思ったけど……



「ネエ…… ホントにコイツ、人間族最強魔導士なのかしら……」

「本当ね…… もし今敵に襲われたら、ひとたまりもないじゃない……」

 ……おっしゃる通りです。


 でも…… でも言い訳させて欲しい!


 俺は前回のターンの後半約2年間、ずっと戦場にいたんだ。そりゃあもう、戦場生活は辛くてさあ……


 そうさ…… 今夜は楽しかったんだ。スッゲー楽しかったんだよ……

 今回のターンでもこれまで約1ヶ月、なんだか娘さんたちの保護者みたいになっちまって、まったく飲みに行ってないんだよ!


 たまにはいいじゃないか、俺だってハメを外して!


 ハァ…… 以上、言い訳終わり。



「ホント、コイツこんなことで、この先やって行けるのかしら?」

「いつか命を落とすと思うわ……」

 エライ言われようだな……


「さっきはチョット、カッコいいかなって思ったけど……」

「ええ、今日のカイセイさんはいつもと違うって思ったのに……」

 うわぁ、幻滅されてるよ、俺……


「コイツの姿みてよ…… なんて頼りない……」

「これがこの人の本当の姿なのかも知れないわね……」


「なら、オレっちたち3人で、オニーサンを守ってやればいいと思うゾ!」

 笑顔を爆発させたミミーが叫ぶと——


「「 え? 」」

 驚きの声を上げる二人。


「パーティメンバーは助け合うものだゾ! だから、頼りないオニーサンを、オレっちたちで助ければいいんだゾ!」


「そうね…… アタシったら、今まで、カイセイに助けてもらうのが当たり前だって思ってたみたい……」

「私も…… 自分がカイセイさんにやってあげられることなんて、何もないって思ってたけど……」



「仕方ないわネ! このだらしない男を、アタシたちで守ってやることにするわヨ!」

「ええ! このいい加減な人を支えられるのは、私たちしかいないんだから!」

「オウっ! オレっちも、たぶん、いろいろ、それとなく、オニーサンを支えるゾ!」


 こうして俺たちのパーティは、より一層、固い絆で結ばれることになったのでした。めでたしめでたし、かな。

 やっぱりパーティって、誰か一人に依存するものじゃなくて、メンバー全員が仲間のために全力を尽くすものだよな。


 たまには俺が呑んだくれた方が、メンバーの結束力が強まるんじゃないか?

 ……なんてことは思わず、今後は身を引き締めますとも。



「じゃあ、もし今強盗に襲われたらいけないから、カイセイなしで野営してるつもりになって、一人ずつ寝ずに見張りをしましょうヨ!」

 俺は寝ていても、危険が近づくと殺気で目が覚めるのだ。今は酔い潰れているので無理だけど……


「いい考えね。じゃあ、順番はどうする?」

 アイシューも賛同してくれるようだ。


「じゃあアイシュー、アンタからお願いネ」

「は? なんで私からなのよ? 言い出しっぺのホニーからやりなさいよ」


「チョット、アンタ今、『いい考えね』って言ったじゃないのヨ!」

「それとこれとは別の話でしょ!」


 こうしてホニーとアイシューは、見張りの順番を巡って朝まで喧嘩を続けたそうだ。その横で、ミミーはスヤスヤと眠りについていたとのことであった。

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