表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
④はじめてのダンジョン 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/219

ジョーキューシャーのギルドで

「ねえ、カイセイさん。パーティ名は何にするの?」


 俺達は今、ジョーキューシャーの街の冒険者ギルドに来ている。パーティ登録をするためだ。パーティ登録をするとメンバー全員に、魔道具『共闘の指輪』が支給される。これを装備すれば、俺の無駄に多いMPをパーティメンバーで共用出来るようになる。娘さんたちの魔法の練習にはうってつけなのだ。


 残念ながら、受付カウンターには美人のお姉さんがいなかったので、普通のおじさんに対応してもらうことになった。まったく。お約束は守って欲しいものだ。


 俺はこの世界の文字が理解できないため、いろんな書類に必要事項を記載する仕事はアイシューに任せていた。そのアイシューが、俺たちのパーティ名を何にするか尋ねてきたのだが……



「オレっちは『オレっちとオニーサンと愉快な仲間達』がいいと思うゾ!」

 今日も元気いっぱいのミミーが声をあげる。


「チョット、ミミー。それじゃあ、アタシは『愉快な仲間』その1って言うこと?」

 不愉快そうな顔そのままに文句を言うホニー。


「ン? その1はアイシューで、ホニーはその2だゾ?」

「調子に乗るんじゃないわよ、このガキンチョ! あっ、ちょっと待ちなさいヨ!」


「わーい、ホニーが怒ったゾー」

「待ちなさいってば!」


 笑顔で逃げるミミーを、ぷんぷんしながら追いかけるホニー。おいおい、ここ冒険者ギルドの中だぞ? 場違い感がこの上ないな。

 こうなってくると、お決まりのシチュエーションが起こるんだよ。


「おい、お前ら。ここは幼稚園じゃねえんだよ」


 ほらな。いかにも『俺、荒くれ冒険者だぜ』みたいなのがカラんできたよ。それから、ここにいる全ての冒険者が、悪意のある目で俺達を見てるよ。


「しょうがないな。おい、アイシュー。ここはひとつ、中級水魔法『スノーシャワー』でもお見舞いしてやれよ」


「もう、なんで私なの? ミズーノの街であなたが使ったやつでしょ? やりたいなら自分でやりなさいよ」


「わかった」

 俺はもちろん無詠唱で『スノーシャワー』を発動。


「もう! ホントに使ってどうするのよ!」


 アイシューは『ウォーターウォール』を発動させ、自分と受付職員のおじさんの周囲を防御。しかし、詠唱に時間がかかった分だけ、少し俺の『スノーシャワー』をくらったようだ。まつ毛が若干凍っている。うーむ…… これはまた、後で怒られそうだ。


「お、お助けを……」

「寒い…… 何か温かいものを……」

「バナナで釘が打てそうだ……」

 荒くれ冒険者達の悲痛な声が聞こえてくる。

 大袈裟だよ。だからバナナで釘が打てる程の低温じゃないよ。とか思っていたら……


「オレチ…… オシコ行きたいゾ……」

「チョト…… アタシ、ガリガリさんじゃナインダケド……」


 お前ら、ちゃんと喋れてないぞ。それからホニー、そのガリガリなんとかの性別間違ってるぞ。


「あ、悪い。お前らがいるの忘れてた。ホニー、悪いけど自分で火魔法使って、温まってくれ」


 ホニーは寒さでガチガチ震えながらも、なんとか詠唱を完了。ギルド内の天井スレスレのところに、炎の雲のようなものを出現させた。


「へえー。ホニーやるじゃないか。それって中級魔法なのか? こんな使い方もあるんだな」


「ふふっ。これは私が考案した魔法、名付けて『天井サウナ』よ!」

「おお! じゃあ、俺がこれに風魔法を付け足したら、『エアーサウナ』になるかな?」


「なにヨ、それ複合技? ちょっとカコイイんだけど!」


「もう! あなた達、いい加減にしなさいよ! こっちはすっごく暑いんだから!」

 アイシューはそう言うと、ホニーが発現させた炎の雲を、水魔法を使って吹き飛ばした。


 あーあ、ギルドの中がめちゃくちゃになっちゃったよ。


「おい、ミミー。お前、風魔法を身に纏う『風魔装』が使えるようになっただろ? とりあえず、床に落ちてるコップとか皿とかをテーブルの上に片付けてくれないか? 俺も一緒にやるから競争だ。行くぞ!」


「オウっ!」


 風魔法を身にまとった俺とミミーは、目にも留まらぬ速さでコップや皿を拾い上げて行く。


「まあ、こんなもんだろ。パーティ名は…… とりあえず『カッコカリ』にしておこう。また後日、違う名前にしてもいいからな。じゃあ、受付の職員さん、そういうことで。さあ、ダンジョンに向かうとするか」


 俺は冒険者ギルドを後にした。ミミー達も俺の後に続く。


 ダンジョンへ行く道すがら、アイシューが俺に声をかけてくる。

「もう、カイセイさんってば! あんなことして本当に良かったの?」

 アイシューは本当に真面目だな。


「いいんだよ、あれで。というより、あれは必要なことなんだ」

「どういうこと?」

 不思議そうな顔をしてつぶやくアイシュー。


「なあミミー。ダンジョンの中で、一番危険な存在ってなんだかわかるか?」


「フフフだゾ。オレっち、オニーサンの言いたいこと、よくわかるゾ」

 珍しいな。まあいいや、それで?


「魔獣も危険だけど、一番危険なのは『人』だと思うゾ!」


「流石ミミー、その通りだ。弱っちい冒険者は、ダンジョンの中で他の冒険者達から狙われるんだよ」


「チョット、何よそれ! 冒険者ってそんなに悪い人達なの?」

 ホニーが驚いた顔をして尋ねてくる。


「みんながみんな、悪いヤツってことはないけど、中にはそういうヤツもいるってことさ」


 実際、ダンジョンから帰って来なかったヤツも、本当に魔獣にやられたのかどうかわかったもんじゃないからな。


「ムッフン! オレっち、さっきコップ拾うフリして、オレっちを睨んでたオジサンの足を蹴っといてやったゾ!」


「あー、あれな。ちょっと面白かったよ」

「オウっ! 流石はオニーサンだゾ。オレっちの蹴り、見えてたのカ?」


「当たり前だ。でも…… 次からは、ちょっと加減してやれよな」


「チョット! アンタ達二人の会話って、なんだかベテラン冒険者って感じがするわネ」

 またまた驚きの声を上げるホニー。


「「 おうっ!(オウっ!) 」」

 俺とミミーは、ホニーの問いに笑顔で答える。


「あっ! ひょっとして、ミミーちゃんのその喋り方って、冒険者ふうだったの?」


 なんだ、アイシューのヤツ、今まで気づいてなかったのか? ひょっとして、ミミーってちょっとバカな子だって思われてたのかな?


「あっ、そうだ。ダンジョンに向かう前に、ちょっと武具屋に寄って行こうか」

 このメンバーなら、いくら人間族領最難関ダンジョンとはいえ、命がけで戦うような事態にはならないだろう。でも、用心するに越したことはないからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ