後日談 〜ミズーノの街〜
〈 これは俺達がミズーノの街を出てから数日後、旅の商人から聞いた話だ。適度にツッコミを入れながら、話の内容を振り返ってみることにしよう 〉
アイシューはミズーノの街を旅立った。アイシューがこの街を離れたことに対して、多くの市民はアイシューの気持ちを理解して、温かく見送ってくれたそうだ。
「聖女様、今頃どうされているだろうか」
「なに、心配することないさ。なんたってあの凄腕の魔導士さんがついてるんだから」
「それにしてもあの魔導士、本当に凄かったな」
これはこの街の冒険者ギルドでの会話だ。この街の冒険者は心優しい人が多いようだ。なんと言っても、俺のことを信頼してくれるなんて、人をみる目のある人達ばっかりだな。
「ああ、その通りだ! アイツはまったく凄いヤツだよ」
……なんだかわかったような口を聞いているこの人。コイツはミズーノの街で俺にたかろうとしていた、ダサンテキーだ。結局、前金もらってウハウハ出来たのかな?
「おいダサンテキー。オマエ、あの凄腕魔導士と知り合いなのか?」
心優しいミズーノの街の冒険者の一人が尋ねる。
「あん? テメー知らねえのかよ? 俺とアイツは一緒にメシを食う仲だぜ」
……おい、待てダサンテキー。いつ俺がオマエと一緒にメシを食ったんだ? オマエが一方的に、俺にたかろうとしてただけじゃなかったか?
「お、おい、ダサンテキー。オマエ、そんな凄い人脈を持ってたのか?」
……持ってネエよ。
「ふっ。まあ、そんなところだな」
……どんなところだよ?
そんなすっとぼけた会話がなされる中、一人の男が冒険者ギルドに足を踏み入れた。
「俺はハジマーリの街から今着いたばかりなんだが…… アンタらいったいなんの話をしてるんだ?」
「なんだオマエ、そんなことも知らないのか」
心優しいこの街の冒険者達は、ハジマーリから来た男に一連の出来事の顛末について、あれやこれやとを話をして聞かせる。
話を聞いたハジマーリから来た男は、恐る恐るこの街の冒険者達に尋ねた。
「その凄腕の魔導士って…… ひょっとして獣人族の小さな女の子を連れてなかったか?」
「そういえば、一緒にいたと思うが…… それがどうかしたのか?」
「やっぱり…… あの男に間違いない……」
「オマエ、あの凄腕魔導士のこと、知ってんのか?」
「ああ。実はその魔導士、つい先日までハジマーリの街にいたんだ。ヤツは異邦人なんだが……」
「へえー、あの男、異邦人だったんだ。通りで凄いわけだ。じゃあ、オマエもダサンテキーみたいに、あの凄腕魔導士と知り合いなのか?」
「おいっ、やめてくれよ! 俺にはそんな趣味ないからな!」
……あれ? 何言ってんだ、オマエ?
「そりゃ、どういうことだよ?」
「俺もよく知らないんだが、なんでもハジマーリの街のバインバイーンっていう神官が言うには——」
……嫌な予感がしてきた。
「なんでも異邦人達がもといた世界には『ろりこん』っていう性的偏向者がいるそうで……」
……おい、ちょっと待てよ。
「『ろりこん』は少女を性的な対象として…… ああっ! チクショー! 俺にはこれ以上言えねえよ!」
……予感が確信に代わった。
「あっ!!!」
おい、どうした? 心優しいミズーノの街の冒険者よ?
「そう言えば…… あの男、一緒にいた獣人族の女の子に、確かパンツがどうのこうのって言ってたような……」
バカ! 違うだろ! あれは俺の超級魔法を見てミミーがチビったから、可哀想だと思ってパンツ洗ってやるって言っただけだろ!!! 性的な意味なんてこれっぽっちもネエよ!!!
「マズイ! 聖女様は今もあの男と一緒にいるはずだ!!!」
「あの男! 初めからそのつもりで、年若い聖女様をたぶらかしたのか!!!」
「聖女様は騙されたのか?!」
「「「 聖女様が危ない!!! 」」」
……やっぱりこうなるのか。
冒険者達の視線がダサンテキーに向けられる。
「お、おい! オマエらそんな目で俺を見るなよ! 俺はただ、アイツとメシを食う約束をしただけだよ! 本当だ! そ、それにアイツは俺との約束をスッポカしやがったんだ! アイツは約束も守れないクソヤローで、俺もアイツもことは嫌いだったんだよ!!!」
……覚えとけよ、ダサンテキー。たった今、オマエは『今度会ったらお仕置きする』リスト第2位に入ったからな。
第1位は誰かって?
決まってるだろ!
色欲魔バインの誤情報拡散マシーンめ! いつの日か、オマエの性癖もバラしまくってやるからな! 覚えてろよ!!!
最後にこれだけは言わせて欲しい。
俺はロリコンじゃないからな!!!




