表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
第2章 国王になったカイセイ  ①インチキ国王誕生 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/219

悪魔の使徒?

 突然現れたパイセンが、ゆっくりと俺の隣へやって来て、なにやらコソコソ話し出した。

「天界を留守に出来ないんで、女神様には帰ってもらったんスよ」


 俺も小さな声で、パイセンに応える。

「え? それなら他の使徒さんに、留守番を頼めばいいじゃないか?」

「は? 女神の使徒は自分1人しかいないんスけど?」


 あれ? 女神の使徒って、大勢いるものだと思ってたんだけど……

 うーむ…… 天界の経営状態も意外と厳しいのかも知れないな。



「パイセン、久しぶり!!!」

 今度はパイセンを見つけたホニーが駆け寄り、パイセンに抱きついた。


「ふふ、ホニー氏、久しぶりっスね。しばらく見ない間に、また大きくなって」


「チョット! 久しぶりって言っても、この前会った時からそんなに時間が経ってないでショ!」

 そう言いつつも、嬉しそうな様子のホニー。


 その一方で、突然女神様が空の彼方へ消えていったため、ポカーンとしているミミー。



「ミミー氏には申し訳ないんスけど、女神…… いや、コテラ氏には、お留守番をしてもらうために帰ってもらったんスよ」

 すまなさそうな顔で、パイセンがミミーに話しかける。

 ミミーは女神様のことが大好きだからな。


「ん? 他の人にお留守番をお願いしたらダメなのカ?」

 やっぱりミミーもそう思うよな。


「天界…… いや、お家には自分とコテラ氏2人しかいないんスよ」


「ムムっ! まさかそれほどコテラさんのおうちが経済的に困窮していたとは、オレっち全然知らなかったゾ」

 やっぱりそう思う…… いや、お前はそんなこと思わなくていいぞ。


「でも安心していいゾ! オレっちは、『聞き分けのいいミミーさん』って、近所で評判だったんだゾ! お仕事があるなら我慢するゾ! それに、オレっちは、パイセンのことも好きだゾ!」


「ミミー氏…… あんたって子は……」

「天使だ。ここに天使がいるぞ」

 俺とパイセンが、ミミーの背中に羽根が生えていないか確認していると——


「あの、パイセンさま……ぁん——」

 アイシューのヤツ、やっぱりパイセンに敬称をつけないことに、まだ慣れないようだ。

 なんだかやっぱり、もだえているように聞こえるが、それを言ったらまたお説教を食らうと思うので、ここは我慢だ。


「——ミミーちゃんがいい子なのはよく知ってますから、とりあえずなにが起きているのか説明していただけませんか? ほら、ナカノ国のみなさんも、唖然としておられるので」


 本当だ。みんな口をあんぐりと開けてこっちを見てるじゃないか。ご高齢のケッパーク卿なんて、顎が外れないか心配になる。


「自分は女神の『巫女』をやらせてもらってる者っス。気さくにパイセンって呼んでもらえると嬉しいっス」

 確か女神の『使徒』は天界に存在し、女神の『巫女』は人界で生活する、だったか。

『使徒』は人界に来たらいけないんだっけ?

 だから『使徒』ではなく『巫女』と名乗ったんだな。

 よく見ると、パイセンのヤツ、巫女服なんか着ちゃってるし。用意周到だな。

 実はパイセンも人界に来たくてウズウズしてたんじゃないのか?

 なんてことは、どうでもいいや。


 さて、パイセンの話は更に続く。


「さっきまでここにいた同僚のコテラ氏は、急用が出来たみたいで帰ったっス。それからカイセイ氏と自分は、誠に不本意ながら友だちみたいなもんなんっスよ。だからちょっとしたアドバイスをしに、ここに来たって訳っス」


 俺はパイセンの発言に言葉を添える。

「コイツは口と性格は悪いけど、頭のキレるヤツですのでご安心下さい。口と性格と根性は悪いですけど」


「……悪いところが更に一つ増えてる気がするけど、まあいいっス」


「流石はパイセン…… さん! カイセイさんからのトボけた挑発を、サラリと流されるところが素敵です!」

 感嘆の声を上げるアイシュー。


「そうネ…… 女神、いえ、コテラさんだったら、きっとここから、ボケをはさんだ悪口の応酬が30分ぐらい続くところネ」

 さりげなく、女神様を軽くディスるホニー。


「ムムっ? でもオレっちはオニーサンとコテラさんの、愛のある罵り合いは好きだゾ?」

 コテラこと女神様が大好きなミミー。


「いろんな意見があるものだな。なんだか、人の多様性を垣間見た気がするぞ。人は多様な可能性を秘めた存在なんだな」

 カッコいいことを言う俺。


「意味不明なことを言ってるカイセイ氏は放っておいて、本題に入るっスよ」

 カッコいい俺の発言を、サラリと流すパイセン。


「はい! よろしくお願いします」

 力強く、アイシューが返事した。



 再びパイセンの口もとが、俺の耳に近づく。コソコソ話、再開のようだ。


「……いいっスか? 宰相はクローニン侯爵にするべきっス。それでアイシュー氏には、公爵になってもらえばいいと思うっス」


 宰相の話はいいとして、なんで突然、公爵なんて話が出て来るんだ?

 俺は自分の口元をパイセンの耳に近づけ、疑問を口にした。


 するとパイセンは——


「あんまり口を近づけないでもらえるっスか? 息がかかってキモチワルいんスけど」


「……お前は俺への悪口をはさまないと、会話出来ないのか?」

「冗談っスよ」

 再び俺の耳もとでささやくパイセン。そして——


「一番最初に投降したクローニン侯爵に高い役職を与えれば、周辺の貴族や代官たちも、我れ先にとカイセイ氏のもとへやって来ると思うっス」


「投降するのが早ければ早いほど、おいしい思いができるということか?」

「まあ、周辺の領主たちが勝手にそう思ったとしても、コッチは知ったこっちゃないっスけどね」


「……お前、本当は悪魔の使徒じゃないのか? まあいいや。それで?」


「アイシュー氏はナカノ国でも人気があるから、公爵という国王の一族みたいな感じで、ナンバー2の地位についてもらうのがいいと思うんスよ。それなら、謙遜大魔王のクローニン侯爵も納得してくれるんじゃないかなって。爵位から見て、アイシュー氏の方がクローニン侯爵よりも上になるっスからね」


「パイセンの言いたいことはよくわかったよ。でも、爵位とか言われても、なんだか大袈裟な感じがするんだけど……」


「いいっスか? 日本で育ったカイセイ氏からすると、別に『そもそも貴族なんていらないんじゃネ』とか思うかも知れないっスね。でもカイセイ氏の目的は、この世界の政治システムを変えることじゃなくて、魔人族との戦争を避けることでしょ?」


「その通りだよ。俺は別に、この世界に普通選挙制度を確立させてやろうとか、そんなこと考えてないぞ?」


「政治のシステムを変えると大混乱が生じると思うんで、とりあえずは従来のシステムに乗っかるのがいいと思うっス。あっ、別にこの世界に平和が訪れた後なら、好きなようにやればいいと思うっスよ。例えば、王様はハーレムを作ってもいいという法律を立案するとか」


「……なあ、頼むからアイシューの前で、冗談でもそんなこと言わないでくれよ。また、口を聞いてもらえなくなるじゃないか」


「……カイセイ氏が想像以上の小市民で、安心したっス」


 こんな感じのやり取りの後、俺はクローニン侯爵たちに向けて、パイセンの悪知恵を語ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ