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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
第2章 国王になったカイセイ  ①インチキ国王誕生 編

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マラソンを終えた選手の気持ち

 勢いで国王になってしまった俺は、とりあえず、この国の現状をオソレナシー将軍、ケッパーク卿、セイレーン卿に尋ねてみた。


 彼らの答えはと言うと——

 経済状態が悪い、不作続きで重税続き、住民の生活が困窮……

 なんだよソレ。いいトコ少しもないじゃないか……


 それを聞いたホニーが叫んだ。

「今こそ、国庫を開く時ヨ! 新王朝誕生の宣言と共に、食料を気前良く住民に振る舞うの。アタシ、一度こういうのやってみたかったのよネ! なんせウチの所領は貧乏だから」

 なに笑顔で自分の領地の貧乏自慢してんだか……


「それが…… 住民に配る食料はほとんど残っておりません……」

 セイレーン卿曰く、北都には食料の備蓄がほとんどないらしい。


「じゃあ、金品を振る舞えば?」

 ホニーの問いに、今度はケッパーク卿が答えた。

「宝物の類は、すでに前国王が売り払ってしまいましたのじゃ……」


 あれ? 俺、ひょっとして、エラくヤバい国の王様になってしまったのか?


「実を申しますと…… この国は崩壊の日を待つばかりだったのです」

 オソレナシー将軍が、苦虫を噛み潰したような顔でつぶやいた。


 あの…… それって、みんながやりたくない国王の役目を、俺に押し付けたのでは……


 俺の『これヤバいんじゃね?』という顔を見た将軍が、慌てて言葉を付け加える。


「ですが、古今無双のお力を持たれる新国王陛下のもと、今後我が国は繁栄の道を歩むに違いありません!」

 エ? アナタ、何ヲ言ッテイルノデスカ?

 ナンデスカ、ソノ根拠ノナイ自信ハ?


 驚きのあまり心の中でカタコトでツッコんだ後、俺は慌てて口を開いた。

「ちょ、ちょっと待って下さいよ! 俺の出身学部は教育学部ですよ!? 自慢じゃないけど、経済学とか経営学とか、サッパリわかりませんからね!?」


 俺の言葉を聞いたホニーが待ってましたとばかり、

「アタシの師匠は、文学部出身ヨ!」

と、声高らかに叫んだ。


「おいホニー! 話に割り込んでくるんじゃねえよ! それにさっき、お前の師匠は土木関係の専門家で、どこぞの地方公共団体の建設課に就職したって言ってたよな? やっぱりお前の師匠、怪しさ満載じゃないか!」


「もう! あなたたちは、日本ネタをちょこちょこはさまないと、生きて行けないの!? ちょっとは真面目に話をしなさいよ!」

 またいつものように、アイシューに怒られた……

 それは置いといて。


 これからどうするんだよ?

 国の財政を立て直すなんて、どう考えても俺には無理だよ。


 俺は急用を思い出したていで、今すぐここから逃げ出してやろうと考えた矢先——


 ——ドンドン!

 会議室のドアが乱暴に叩かれた。


「失礼します! ただ今王宮前に、東部地区の御領主、ジンセイ=ズット・クローニン侯爵がご家族を引き連れご到着されました!!!」

 ドアの外から、慌てた様子の声が聞こえてきた。


「そうだ!!! この国にはクローニン侯爵がいるじゃないか!!! 侯爵に丸投げ…… いや、ご活躍願おうじゃないか! 直ぐに侯爵を連れて来て下さい!」

 俺はそう叫んだのだが……


「それが……」

「どうしたんですか?」


「侯爵御一行は、なぜかその…… とても疲れたご様子で……」

「ああ、もうじれったいな! それなら、ここにいるみんなで出迎えましょう!」



 俺はオソレナシー将軍たちを引き連れ、急いで王宮から外に出た。

 するとそこには、精根尽き果てた様子で、仰向けになりぐったりしている、クローニン侯爵御一行の姿があった……


 白目をむいて倒れてる人もいるし。

 どんだけ過酷な旅をなさってこられたんだ?

 なんだかフルマラソンを2回ぐらい走り終えたような疲労具合だ。


「み…… 水を……」

 クローニン侯爵がガラガラ声でつぶやいた。


「おい、ミミー! 今からお前をクローニン侯爵御一行接待大臣に任命するから、すぐに飲み物を持って来てくれ!」


「オウっ! オレっちに任せろだゾ!」

 さっきお昼寝を満喫し終えたミミーが、元気に王宮内に戻って行く。


 クローニン侯爵御一行の様子を改めて観察してみると、小さい子どもからお年寄りまで、30人ぐらいいるようだ。


 幼稚園児ぐらいにみえる女の子は、メイド服を着た女性に抱きかかえられて、ここまで来たようだ。特に疲れた様子は見られない。不幸中の幸い…… なのか?


 この時、侯爵一行から少し離れた場所にある木の陰に隠れて、こちらをチラ見している女性を発見。


 アイシューとホニーも、その女性を見つけたようだ。

 その女性を見つけたアイシューとホニーは——


 遠い目をした。


 以前、ホコーラの街からキタノ国まで、超高速飛行させられたあの悪夢のようなひと時を思い出したのだろう。


 俺はその女性に向けてつぶやく。

「あの…… いったい何をやってるんですか、女神様?」


「ち、違うんです! 私はクローニン侯爵一行がお急ぎのようでしたので、風魔法を使った高速移動で、ほんのちょっとお力をお貸ししただけなのです! ただ、それだけなのです!!!」


「……自分が女神だって認めるんですね?」

「あああっ!!! また計ったわね、この策士!!!」


「……すみません、一応、お約束かなって思ったもので。とりあえず、侯爵たちにヒールをかけてあげた方が良いのでは?」


「はっ! そ、そうですね。私としたことが、この惨状を見て気が動転していました」

 自分でやっといて、惨状とか言うなよ……


 この後、女神様から放たれた、優しくて暖かな光に包まれたクローニン侯爵一行は、なんとかこの惨状から回復することが出来たのであった。


 いつものことながら、女神様の行動は本当に予測不可能だよ。

 それよりも…… また天界から抜け出して来たんですね、女神様。

 実は女神の仕事って、意外と暇なのだろうか……

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