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結婚経験ナシのおっさんが、いきなり聖女と令嬢と獣耳娘の保護者になったら  作者: 大橋 仰
第2章 国王になったカイセイ  ①インチキ国王誕生 編

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おっさんたちのパンツ談義

 ホニーが振り下ろす怒りの拳をなんとか回避した俺だったが、ホニーの怒りが収まる様子は一向に見られない。


 そんな中、ミミーがひと言。

「ムムっ? ホニーが手に持ってるパンツは、なんだか大きゾ? それはきっと、大人用のパンツだと思うゾ?」


 そう言われてみれば……


 そのパンティの奇抜さと、布面積の少なさに目を奪われていた俺たちは、パンツのサイズをしっかりと確認していなかったようだ。


「確かに。ホニーにそのパンツは、サイズが合わないかも知れないな」

 俺がそう言うと、オソレナシー将軍も、

「ええ。ヒトスジー嬢の体格からして、そのパンツを履くとブカブカになってしまうでしょう」

と、同意する。


 更に、セイレーン卿が、

「そのパンツは伸縮性も乏しいようですので、やはり体格的にヒトスジー嬢には合わないと思います」

と言い、ケッパーク卿は、

「うむ、そのパンツは見た目を重視するあまり、本来パンツに求められる履き心地や機能性が著しく損なわれておる」

と、ホニーとは関係のないことを言った。


 人はパンツに何を求めるのだろうか?

 機能性が優れていればそれで良いのか?

 意匠を凝らしたパンツは必要ないのか?

 ケッパーク卿の発言をきっかけに、俺を含めたおっさんたちは、パンツのあるべき姿について、ああでもないこうでもないと激論を交わした。


 そんなおっさんたちの熱き議論を聞いていたホニーがつぶやいた。

「…………ねえ、アンタたち、いったいどれだけパンツって言えば気が済むの? ハッキリ言って、キモチワルイんだけど」

 なんだよ…… 一生懸命フォローしてやってるのに。

 いや、途中からは趣旨が変わってきたか……


 こうして、おっさんたちのパンツ談義は終了したのであった。



 念のため確認しておこう。

 俺たちはパンツ談義をするために、王宮まで来たのではない。

 今後の話をするために来たのだ。


 ホニーのパンツ疑惑が一件落着した王宮内の会議室では、とりあえずお茶を飲みながら今後の話をすることにしたのだが……


 なんだかとても気まずい。


 そんな場の空気を察したアイシューが口を開いた。

「皆様の下着にかけるアツい思いはとてもよくわかりましたので、そろそろこれからのことについてお話ししましょうか」


 ナイスだアイシュー。

 俺たちおっさん連中がその言葉を口にすると、ホニーから『なにヨ、話をそらすつもりなの?』と言われそうで、ビクビクしていたのだ。


 おっさんたちは、一様にホッとした表情を浮かべた。

 何やってんだか……


 真面目モードに戻ったオソレナシー将軍と、俺と同じぐらいの年齢のセイレーン卿は、俺にこの国の王になって欲しいと懇願する。


 それに対して全力でお断りする俺。


 そんな俺たちのやり取りを聞いていたおじいちゃん貴族のケッパーク卿が、

「とにかくあなた様には、この街に留まっていただかねば困りますのじゃ。あなた様がこの街を去れば、この街の兵士や住民が反逆罪で処罰を受けてしまいます」

と言うではないか。


 確かにそれはよくわかる。

 じゃあ、誰か別の人を王様にして、俺は特別顧問的なポジションに収まるか。

 そんなことを考えていると——


 ——チャラララ〜


 着メロが耳に届いた。天界からのメッセージだ。嫌な予感しかしない……


「ちょっと失礼」

 俺は席を立ち部屋の片隅でメッセージを確認すると——


『なにやってんスか? なんで国王にならないんスか? カイセイ氏はやっぱりバカなんスか? 』

 ほらやっぱり…… 女神の使徒パイセンサマからのアリガタいコメントだよ……

 女神様はもう天界に帰ったんだから、ひょっとして女神様からかな、と思ったんだけど、相変わらずメッセージ送信係は、パイセンのままのようだ。


 それにしてもパイセンのヤツめ、調子コイた物言いしやがって。

 ちょっとイライラしつつも、俺は続きの文章に目を向ける。


『いいっスか? カイセイ氏は魔人族との戦争を回避したいんスよね? 当然将来ヤツらと交渉するんスよね? その時、単なる小汚い格好したおっさん魔導士と一国の王様とでは、どっちの言葉に重みがあるかワカンナイんスか? もう一度言いますね。カイセイ氏、バカなんスか?』


 誰が小汚いおっさんだよ。まったく調子に乗りやがって。

 パイセンの口の悪さは別にして、まあ、言ってることはわかるよ。

 でも、俺が王様になって本当にいいのか? 俺、どう見ても王様ってタイプじゃないだろ?

 どちらかと言えば、ホニーの方が合っているんじゃないか?


「おいホニー、お前が王様やれよ。お前、一応伯爵家の人間なんだから、こういうの得意だろ?」

 そうだ、こういうのを適材適所と言うのだ。決して面倒な仕事をホニーに丸投げしてるわけじゃないぞ?


「えーっと…… こういう時は『だが断る』って言えばいいのかしら?」

「……普通に断れよ」


 そんな俺とホニーのやり取りを聞いたアイシューが口をはさんできた。ミミーは退屈そうに、ウツラウツラと船を漕いでいたが、まあそれは今のところどうでもいい。


「ねえ、カイセイさん。天界…… いえ、アッチ側の方々は、私たちの中の誰かが、新しい国王になるべきだって思ってるの?」

 俺が天界と通信していることは、将軍たちには言っていない。アイシューなりの配慮を含んだ表現だ。


「まあ…… そんなところかな」

 ……申し訳ありません。ワタクシ、ちょっぴり嘘をつきました。

 でも…… 俺が国王なんて、絶対無理だよ!


「まったく、しょうがないわネ」

 アイシューと俺のやり取りを聞いたホニーが言葉とは裏腹に、ウキウキした様子で席を立ち、会議室内にあった羽根ペンをかき集め始めた。


 何やってんだ、ホニーのヤツ?

 ちなみに、この世界には鉛筆というものはない。


 満面の笑顔を浮かべ、複数の羽根ペンを右手で握りしめたホニーが俺の元に近づき、そして驚くべき言葉を口にした。


「王様だーーーれだ?」


 …………なに言ってんだろう、コイツは?

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