蜜花の虫日記
蝶野蜜花
ここでは私が日夏ちゃんと見つけた虫を自分で調べて簡単に説明するよ。これを書けば少しだけ虫に好印象を持つことができてお父さん達と仲良く喋れるかな……? なんてね……。
ショウリョウバッタ
ショウリョウバッタは日本全国に生息している一般的なバッタだよ。みんなも一度は見たことがあるんじゃないかな? 体長はオスが五センチ前後、メスがなんと八センチ近くあるらしい……。子を守るために体が大きくなったのだろうか? 母の愛情とは凄い……。私達が見つけたショウリョウバッタは緑色と茶色が混ざっているような見た目だったけど、他にも緑色だけとか茶色だけのショウリョウバッタもいるらしい。見分け方は簡単で、他のバッタよりも細長いスマートな体で頭がかなり尖っているよ。後……私がやられたゲロ……実はあれ、専門的に凄く興味深いことらしい……。ただのゲロが興味深いなんて……虫って不思議だなぁ……。
ナミアゲハ
ナミアゲハは街中でも見かけることができる一般的なアゲハ蝶だよ。私も町で一回見たことがある……気がする。体長は六センチくらいで春夏で大きさが異なるよ。食べる餌で大きさが異なるらしい……。日夏ちゃんが言っていた通りに吸水という行動をとるよ。調べていた時に水に群がるアゲハ蝶の群れの写真があって、正直失神しかけた……。それより! アゲハ蝶と言ったら何と言っても綺麗な模様だよね! 実は昔に家紋のモデルとして使われていたらしいよ。やっぱり蝶々はゲロをぶちまける礼儀のなってない奴と違って可愛いよね!
ナナホシテントウ
ナナホシテントウはあのキモイ集団のアブラムシがよくいるカラスノエンドウやユキヤナギに捕食をするためによくいるよ。もう二度とあの集団は見たくない……。体長は数ミリから一センチの小さな虫だよ。その小さい体とは裏腹に、擬死や特徴的な体色の警戒色、私がかけられた血液……という、様々な防衛能力で身を守れる凄い虫なんだ! 後、実はテントウムシは益虫だけじゃなくて害虫として扱われる虫みたいだね。この子はいい感じの印象を持てたかもしれないのに……裏切られた。
ナミハンミョウ(ハンミョウ)
ナミハンミョウは湿り気のある日当たりのいい場所ならどこにでもいる一般的なハンミョウだよ。体長は十八ミリから二十ミリ。綺麗な見た目とは裏腹に、俊敏に動きと鋭利な牙で狙った獲物を確実に仕留める虫界のハンターだったりするよ。これがギャップってやつかな……? ハンミョウは天敵から逃げる際、距離を置いたらこちらを振り返る行動をとるよ。捕獲目的じゃない人から見たら可愛げがあるんだろうけど、こっちは捕獲のために全力で追いかけてるのにそんなことされたら煽られているようにしか思えない。煽りはダメ絶対!
アオハナムグリ
アオハナムグリはその名の通りに、花に乗っかったりしているよ。体長は十五ミリから十九ミリ。とにかく可愛い。この言葉に尽きる。ただでさえ花という、可愛い言葉を具現化したような物と関わりを持ってるし、見た目も可愛いとかもう最高! 語彙力がなくなる程の可愛さ! 皆も捕まえてみたらどう? 他には……花の受粉の手伝いもするから、ハナムグリがいる場所には沢山の花が咲くらしいよ。もう虫じゃなくて妖精でしょ。
マツカレハ
この子は調べたくなかったけど……仕方ない。マツカレハはカレハガという蛾の仲間だよ。蛾に毒なんてあったけ? と、思う人もいると思う。毒があるのは幼虫の方で、刺されると激しいかゆみと激痛を与えるよ。刺された不良の子はよく耐えた方だと思う。何よりもでかい。これ以上成長しないレベルの大きさになれば、六十五ミリ程度にもなるらしい……。そんな虫が日本の風物詩とも言える松の木にいるとは……。皆も気をつけてね。
ハエトリグモ
ハエトリグモは草むらや民家に生息するクモの仲間だよ。クモって、嫌っている人多いだろうけど、ハエトリグモはペットとして飼う人もいるくらい人気なんだ。体長は二十ミリくらい。こんなに小さかったら、手に乗っかっててもあまり不快に思わないでしょ? 更に! この子は見た目だけじゃなくて、生ゴミとかに湧くコバエを食べてくれるんだ! 興味が湧いたらお近くの草むらを探してみよう。
ダンゴムシ
ダンゴムシは人家周辺で非常によく見られる虫だよ。皆も見たことはあるよね? 体長は十二から十四ミリだよ。日夏ちゃんと取りに行った時は土を豊かにするいい虫だと言ったけど、実は害虫として扱われているらしい。その理由は、植物の新芽を食いつくしてしまうかららしい。でも、ワラジムシは新芽を食べないから駆除はしないでね! 見分け方は簡単! 丸まらなかったらワラジムシだよ! あまり力を加えすぎると、変な方向に体が曲がるから優しくね?
ミミズ
調べたくなかったけど……ミミズは地面にいる目がない虫だよ。目が無いって、最初は不思議に思っていたけど、地中に適応するために進化したらしいね。興味深い……。体長は七から八センチ。それと、見た目はあんなに単純なのに体の構造は物凄く複雑らしい。思わず時間すらも忘れて調べていた……。その中で特に気になったのが、ミミズは体液の水圧で土を掘っているみたい。見た目は凄くアウトだけど、生態は今までの虫の中で一番好きかもしれない。
ヤゴ(シオカラトンボ)
ヤゴは汚い水以外の水にどこにでもいるトンボの幼虫だよ。体長は種類によって違うけど、ここでは成虫の「シオカラトンボ」を参考にするね。ヤゴ時代は二十から二十五ミリ。トンボ時代は五十から五十五ミリにもなるんだって。それで、ヤゴは驚くべきことに魚にある「鰓」を持っているんだ! 虫は地上にしかいないという真実を覆した凄い虫、私も飼ってみようかな……?
ハルゼミ
ハルゼミは生息域が局所的な、珍しい虫だよ。体長は二十八から三十二ミリ、黒っぽい見た目が特徴的だよ。本来夏の風物詩とも言えるセミだけど、春に見れるなんて、虫は本当に不思議だと思った。日夏ちゃんの言った通りに、このセミは絶滅危惧種。ハルゼミを守るために、ハルゼミを脅かす生物は駆除しなければいけない……。仕方ないけど、その生物も生きるためにやっていること。複雑な心境……。後ろめたい話はやめよう。
皆と過ごしたあの松の下での出来事は、永遠の宝物になると思う。この日記を書き始めたときの私と、今の私は変わっているだろうか? ……考えるまでもない。変わっているに決まっている。