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仏典の勝手な脚色ノベルシリーズ

てきとー訳 観音経 ~ 観音さんはグレートだぜぇ!

作者: 阿僧祇

今回は、一般家庭の仏壇にもしばしば置いてあります「観音経」をてきとー訳してみますた。


といっても「観音経」という名前の独立した経典は実は無かったりします。

有名な妙法蓮華経みょうほうれんげきょう(略して法華経(ほけきょう))の後半の一章に「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)普門品(ふもんぼん)」という部分がありまして、その部分を抜粋したものが一般に「観音経」と呼ばれているのでした。


しかしこの「普門品」だけでも読経初心者にはちょっと長いため、前半を省略しまして、内容復習の部分……いわゆる「普門品曷ふもんぼんげ」以降だけを読誦することも多いようです。


大乗仏教の多くの宗派で、法華経は上級者向き経典と考えられていまして、読むに当たってかなりの用語知識を求められてしまいます。

(逆に、そういうものだからこそ「お経の読み方を独習するための初心者用経典」と位置づけてる宗派もあるようですが……まあ今はどっちでもいいです、、、)


それはつまり位置づけや細部の解釈が宗派によっていろいろ違うということでありまして、些細な違いでも悪魔の所業かのように責められ専門用語の絨毯爆撃による「折伏しゃくぶく(無理矢理にでも改宗させようとすること)」を食らったりすることもあるあたり、法華経は扱いのむずかしいお経なのでありました。(TT)


が、この「普門品」は法華経の本筋とは、少なくとも表面的にはあんまり関係なく、要旨が単純で比較的にはわかりやすい部分です。

だからなのか、複数の宗派で在家信者にも読経が奨められ、仏具屋さんやお土産屋さんにもしばしば経本がおいてあったりと入手し易くて、般若心経に次いで普及してる仏教経典なのでありました。


なお例によってこれは素人によるてきとー訳で、書かれてる内容について筆者は何も保証するものではありません。信じる人はあくまで自己責任で、また信じない人は古代人の考えたファンタジーを紹介する作品として、それぞれお楽しみくださいますようお願い申し上げます。

また、公開の場で筆者を打ち負かすことで自分の学識の優秀さを示そうと闘争本能を燃やすこともご遠慮ねがいたく……論争ではなく、筆者も楽しく学べるような娯楽や論文を世に出していただきたいと存じます。筆者のような素人をやり込めたところで何の自慢にもなりませんし、古人も「宗論は どちら負けても 釈迦の恥」と申しておりますゆえ、、、


ただ、あきらかな間違いを見つけた方は人知れずこっそりと指摘していただけますと、あまり恥をかかずにこっそり修正できるので、筆者としてはとてもありがたいっす(^^;


では、いってみましょう! 南無観世音菩薩 (>▽<人



 後秦龜茲國三藏 鳩摩羅什クマーラジーヴァ 奉詔譯 (漢訳)

 日本国そこらの素人 阿僧祇 戯訳 (てきとー訳)


挿絵(By みてみん)

(東京都北区堀船 延命寺)


 

妙法蓮華經觀世音菩薩普門品第二十五


 ここまでのあらすじ>


 時は涅槃に入る八年ほど前のこと。

 ブッダは霊鷲山りょうじゅせん(ギッジャクータ)という所で、「妙法蓮華(きれいなハスが泥の中から芽を出して咲くように、罪に穢れた境遇から聖人になる方法、くらいの意味)」という、初心者には難解だけどなんかすごいらしい教説を、すでに般若波羅蜜多の教えくらいまでは理解できてるレベルの弟子たちに、説明しようとしました。

 すると、地面からものごっつい人数の菩薩が涌いて出てきたりとか、謎のでっかい塔(多宝仏の塔)が出現してそれが喋って一同びっくりしたりとか、なんかいろいろとスペクタクルファンタジーな紆余曲折がありまして。


 そんなこんなでとりあえず「妙法蓮華」の講義はひと段落、フリートークの時間となったようで、お弟子さんたちが質問したり自分の意見をのべたりしておりますのでした。そのひとコマで……



 本文>


 爾時無盡意菩薩即從座起偏袒右肩合掌向佛而作是言……


 さてその時、無尽意むじんに菩薩が座を立ち、右肩を出して合掌し(古代インドの尊敬を表現する作法)、ブッダに向かってこう言った。


無尽意「世にも尊い先生(せんせー)(バカボン)、質問! 観世音アヴァロキタスワラ菩薩って、なんで観世音(世のスワラ観る(アヴァロキタ))って名前なんですか???」


 などと、妙法蓮華の話とはあんまし関係なさそうに見える唐突な質問が。

 もしも講師が筆者だったなら、「誰が何て名前だろうとその人の勝手でしょ!」等と怒鳴っちゃうかもしれませんが……、、、しかしブッダはもちろん機嫌悪くなったりせず、丁寧に答えたのでした。


「あ~のね、オッサン…じゃなかった、、、えっと、善男子ぜんなんしくん。

「えーと、もしもだね。10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000人くらいの、いろんな苦悩に悩まされてる衆生しゅじょう(すべての命あるもの)がいたと思いねえ。

「この人たちが観世音菩薩のことを聞き、いっしょうけんめいその名前を唱えると、観世音菩薩はソッコーでその音をピピッと観知して、苦悩から解き放ってくれるんだ。

「この観世音菩薩の名前を憶えて信じてる人はね、この菩薩の大威神すっげえ力によって、燃え盛る大火に入っても焼けないし、大水に流されてもその名を呼べば浅いとこにたどり着いちゃうのサ。

「もし10,000,000,000,000人の衆生が、金・銀・瑠璃るり車渠しゃこ瑪瑙めのう珊瑚さんご琥珀こはく・真珠といった宝を欲しがって大海に漕ぎ出したところ、風に流されて船が羅刹らせつ(女性の悪鬼)や鬼の支配する国に流れついちゃったとしても、船の中の一人でも観世音菩薩の名を呼んだら、羅刹の災難から逃れることができちゃうんだ。

「こういう因縁(結果と原因の関係)によって、観世音って名前なのサ。


「またもしも捕まっちゃった人がいて、今にも斬り殺されるって時、観世音菩薩の名前を呼んだら、彼を斬ろうとした刀や叩こうとした杖はバキバキに壊れちゃって、助かるんだヨ。

「もし、地球3,000個分の世界が夜叉や羅刹のラッシュアワー状態で、そいつらが人を苛めて悩ませようとしてきたとしても、その人がこの教えを聞いてて観世音菩薩の名前を呼んだら、悪鬼たちにその人は見えなくなっちゃって、加害なんかされなくなるんだ。

「またもしも、罪を犯したかヌレギヌか、とにかく枷をはめられたり鎖につながれた人がいても、その人が観音菩薩の名前を呼んだら、みんなぶっ壊れちゃって、戒めが解けちゃううんだ。

「もし地球3,000個分の世界がどこもかしこも盗賊だらけで、そんな所である商人がほかの商人たちと隊商を組み宝物をいっぱい運んで、いかにも襲われそうな険しい山道にさしかかった時、その中の一人がやっぱり唱えたら、善人のみんなはもう恐がる必要もなくなるんだ。

「だって君たち、いっしょうけんめいに観世音菩薩の名前を唱えるとね、この菩薩は衆生に恐れる必要のない平和をくれるんだから。君たちがもしその名を呼んだら、この盗賊たちも改心しちゃって、「南無、観世音菩薩」って唱える声が、商人たちにまで聞こえてくるだろう。

「なんせ、その名を唱えるだけで悟りを開けちゃうんだぜ」


「無尽意くん、偉大マハーサッタ、観世音菩薩の神のような力はこんなふうにスゴイのさ。


「もし、めっちゃエッチな衆生がいても、いつも観世音菩薩を念じて敬意を示してたら、エッチい欲望から離れさせてくれる。

「めっちゃ怒りっぽいひとも、いつも観世音菩薩を念じて敬意を示してたら、ムカつきから離れさせてくれる。

「何かと不満の多い疑い深いやつも、いつも観世音菩薩を念じて敬意を示してたら、必要以上の不満からは離れさせてくれる。


「無尽意くん、観世音菩薩はこんなような大威神すっげえ力で助けてくれるから、衆生はいつも心で念じるんだ。


「もし女性が『あ~男の子を生みたいわっ(涙)』って苦しんでたら、観世音菩薩に礼拝して供養すれば、福徳と智慧のある男の子が生まれるし、もし『ああ、女の子を生みたいわっ(ため息)』ってときには、モエ~な外見の上に誰からも好感を持たれる徳を積む女の子が生まれるよ。


「無尽意くん、観世音菩薩にはこんな力があって、もし衆生が観世音菩薩に礼拝して敬意を払うと、その福はもうただごとじゃない。だから衆生は観世音菩薩の名前を憶えてるのさ。

「無尽意くん、もしある人が62,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000人の菩薩の名前を憶えて唱え、それぞれに食べ物/飲み物/着るもの/寝るもの/医薬と、いろいろな供養の形を尽くすことを繰り返したら、このオッサン……じゃなかった、善男子または善女人の功徳は、果たして多いか少ないか、どう思う?」


無尽意が答えた。

「そりゃもう大草原だいばくしょう不可避まったなし、ってくらいに多いっスね(汗)、世尊バカボン


 ……これ書いた時点での流行りのネタでしたけど、時代の違う後世の読者には注釈が必要になるなんてのは、古典や経典でふつーにある話なので、筆者もあんまし気にしないことにします。(汗)


 さて、ブッダが続けた。


「もし観世音菩薩の名前を憶えて唱え、一回だけでも礼拝して供養したら、この二倍の功徳が、100,000,000,000,000,000劫(1劫≧48,200,000,000,000年)経っても終わらないんだぜ。

「無尽意くん、観世音菩薩の名前を憶えて唱えることには、こんなふうに、計り知れないほどの福徳の利があるんだ。」


 すると無尽意菩薩がブッダに質問した。


無尽意「世尊、観世音菩薩は、どんなふうにこの娑婆しゃば世界(サーバ、いわゆる「この世」)をうろつき、どうやって、方便の力で衆生にほう(ダルマ、真理の法則とか修行方法とかの意味がある)を教えるんでしょう? それについてちょっとコメントを!」


ブッダが無尽菩薩に告げたとこでは

「あ~のねオッサン……じゃなくて、えーと、善男子。


01)もし、ある国にブッダの姿で教えると納得する衆生がいたら、ソッコー、ブッダの姿で現れて法を教える。

02)辟支仏ぴゃくしぶつ(自己流で悟りを開いた修行者、独覚)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、辟支仏の姿で現れて法を教える。

03)声聞しょうもん(ブッダの教えに従って悟りを開いた弟子)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、声聞の姿で現れて法を教える。

04)梵天ぼんてん王(ブラフマー神。世界を創造した力の神格化)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、梵天王の姿で現れて法を教える。

05)帝釈天たいしゃくてん(インドラ神。地上界にいる神霊のなかでいちばんエラい)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、帝釈天の姿で現れて法を教える。

06)自在天(天界の神霊。かなりエラい)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、自在天の姿で現れて法を教える。

07)大自在天(ヴィシュヌ神。天界の神霊の中でも特にエラい)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、大自在天の姿で現れて法を教える。

08)天の大将軍の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、天の大将軍の姿で現れて法を教える。

09)毘沙門天びしゃもんてん(ヴェシュラマン神。この世を守ってる四天王リーダーで北側にいる)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、毘沙門の姿で現れて法を教える。

10)小国の王様の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、小国の王様の姿で現れて法を教える。

11)長者さんの姿で教えると納得するひとには、ソッコー、長者さんの姿で現れて法を教える。

12)居士こじ(民間の学者……特に在家の仏教修行者)さんの姿で教えると納得する人には、ソッコー、居士さんの姿で現れて法を教える。

13)宰官さいかん(政府の役人)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、宰官の姿で現れて法を教える。

14)婆羅門バラモン(身分の高い神官)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、婆羅門の姿で現れて法を教える。

15-18)比丘びく(僧侶)/比丘尼びくに(尼僧)/優婆塞うばそく(男の在家信者)/優婆夷うばい(女の在家信者)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、比丘/比丘尼/優婆塞/優婆夷の姿で現れて法を教える。

19-22)長者/居士/宰官(役人)/婆羅門の、淑女レディの姿で教えると納得するひとには、ソッコー、淑女の姿で現れて法を教える。

23-24)童男/童女の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、童男/童女の姿で現れて法を教える。

25-32)天竜てんりゅう(ナガ)/夜叉やしゃ(ヤキシャ)/阿修羅あしゅら(アスラ)/迦樓羅かるら(ガルーダ)/緊那羅きんなら摩喉羅伽まごらが(マホーラガ)/そのほか人でないひとたち、いわば魔人怪獣モンスターの姿で教えると納得するひとには、ソッコー、その姿で現れて法を教える。

33)執金剛しっこんごう(菩薩の化身的な神格)の姿で教えると納得するひとには、ソッコー、執金剛の姿で現れて法を教える。


「無尽意くん、観世音菩薩はこんなふうにさまざまな姿で諸国に旅をして衆生を迷いから目覚めさせ、功徳を成就するんだ。

「だから君たちは、一心に観世音菩薩を供養するといい。

「観世音菩薩は恐ろしい災難の中でも無畏むい(安心できる状態)をくれる。だからこの娑婆世界このよで、施無畏せむい(無畏をくれる者)とも呼ばれてるんだ。」


 そう聞いて感動したのか、無尽意菩薩が声を上げた。


無尽意「世にも尊い先生(バカボン)!! 僕はもう、今すぐ観世音菩薩を供養したいでつっ!!」


 彼は、身に着けていた、十万両で売れるほどの宝珠瓔珞ほうじゅようらくの首飾りを外して、こう言った。


無尽意「博愛のお方。この瓔珞は珍しい宝物です、どうか受け取ってください」


 しかし観世音菩薩は受け取らない!

 無尽意はふたたびこうげきした!!


無尽意「どうか、僕を憐れむと思ってこれを受け取ってくださいっ」


 しかし観世音菩薩は受け取らない!!

 するとブッダがまわりこんで……もとい、観世音菩薩に言った。


「この無尽意くんや、他の人たち、それに天龍/夜叉/乾闥婆/阿修羅/迦樓羅/緊那羅/摩喉羅伽/人じゃないひとたちまでみんなのために、この首飾りをもらってあげてくれヨ」


 すると観世音菩薩は、断固断り続けてもかえってみんな悲しむかなと思い、首飾りを受け取った。そしてさりげなく首飾りを二つにして、一つを釈迦牟尼ブッダに、もうひとつを多宝ブッダの塔に捧げた。


 ここ、大乗仏教的にはめっちゃ重要な比喩かもと思うんだけど筆者レベルでは簡単に説明できないので、「なんのこっちゃ?」という方は、まあ魔法みたいな力で二つに増やしたとか、あるいは単純に物理的にちぎって二つに分けただけか、そうやって自分より力のある神仏にパスすることで「贈られた人がその贈り物によって功徳を積んだから、贈り主である無尽意菩薩の功徳をはさらに倍増した」とか、まあそんなふうにでも解釈してくださいませです、、、


「と、まあ無尽意くん、観世音菩薩はこんなふうに、自在な神通力を持っていて、娑婆世界をうろついてるというわけさ。」


 すると無尽意菩薩は偈問曰らっぷでたずねた


 <<略式の読唱はここから>>


 世尊妙相具 我今重問彼 仏子何因縁 名為観世音……


「♪すごい姿(三十二相)をそなえた世尊とおといせんせい

  僕、今、もっかい質問しちゃうぜ

  仏の子のその人は、どんな因縁で

  観世音って名前なのだぜ?」

 

 ♪世尊さんはノリも完璧だぜ

  だから無尽意にらっぷで答えたぜ


「♪よしキミ、観音について聞いてくれ


 ♪いつでもどこでも現れて

  広い誓いはその深さまるで海

  何兆年考えても想像不可能

  一千億人のブッダの弟子になったってよ

  そのつど起こした清浄な大願はこうだってよ

  

 ♪(その大願の内容を)簡単にだけど説明してやるぜ

  その名を聞いて姿 見ろ

  だだ見るんじゃなく心に念じろ

  いろんな苦痛を消しちゃおうぜ


 ♪もし害意のあるやつに

  火の燃える穴へ落とされて

  でも彼の観音の力を念じれば

  火の穴 そくざに水の池


 ♪あるいは巨海でもう漂流

  迫りくる怪魚や恐い竜

  でも彼の観音の力を念じれば

  波には沈まず浮いて悠々


 ♪あるいは須弥山の山頂で

  誰かに突き落とされ落下中

  でも彼の観音の力を念じれば

  お日様のように虚空を遊泳中


 ♪あるいは悪いやつに追い詰められて

  頭上からダイヤモンドの山が崩落

  でも彼の観音の力を念じれば

  毛の一本さえも無傷で楽々


 ♪あるいは怨賊が君を襲撃

  刀で何度も食らうぞ斬撃

  でも彼の観音の力を念じれば

  賊も改心 ハッピーの終劇


 ♪あるいは王様 激怒され

  君は処刑場にひきだされ

  でも彼の観音の力を念じれば

  首切る刀もぶっ壊れ


 ♪あるいは囚われ手錠に枷に

  手足を縛られ動けにゃい~

  でも彼の観音の力を念じれば

  たちまち解けて自由の身


 ♪誰かが呪詛や毒薬 使ってる

  君を害しようと狙ってる

  でも彼の観音の力を念じれば

  全部 本人に戻ってる


 ♪悪い羅刹や毒を持つ竜

  いろんな鬼に出会って恐々

  でも彼の観音の力を念じれば

  何もされずに無事に逃亡


 ♪恐い猛獣に囲まれる

  牙と爪とが君に迫る!

  でも彼の観音の力を念じれば

  そいつら遠くへ走ってる


 ♪毒虫 毒蛇 毒サソリ

  毒ガス 猛火の毒ケムリ

  でも彼の観音の力を念じれば

  その声を聞いてみんな去り


 ♪カミナリが鳴るイナヅマ光る

  ヒョウも降る降る 豪雨もうなる

  でも彼の観音の力を念じれば

  雲はとたんに消えて散る


 ♪衆生が困りわざわいを受ける

  無限の苦しみをその身に受ける

  観音はすごい智慧の力で

  そんな世の中の苦しみを救っちゃる


 ♪神通力を身につけて

  広く方便を行って

  十方(東西南北+上下)のどこの国だろうとも

  いつでもどこでも現れて


 ♪苦しみもたらすいろんな場所

  地獄の奥まで 鬼・畜生

  生老病死のもたらす苦痛を

  ついにはおもむろにすべて解消


 ♪その真観(真実を観る力) 清浄観(すべてを清浄にする力)

  広大智慧観(広大な智慧を得る力)

  悲観(他者の苦痛を理解する力) 慈観(他者を救う力) 

  を常に願い 常に祈ってる


 ♪汚れなき清浄な光

  その智慧は日光のように闇を破り

  風や火の災いを止めることができ

  世界を平等に照らしてたり


 ♪他者の苦痛を悲しむから自分にはカミナリのように厳しくて

  他者の苦痛を救いたい慈しみは大きな雲のよう

  甘露(甘い蜜のジュース)のような教えの雨をそそいで

  煩悩の炎を減らして消してゆく  


 ♪法廷や役所

  恐ろしい戦場にひっぱりだされても

  彼の観音の力を念じれば

  敵意はみんななくなっちゃう


 ♪それはすばらしい音 世界を知る音

  清らかな音 海に響く音

  それより大きな世界に満ちる音

  だからいつも念じてよっと☆


 ♪念じて 疑いは起こさにゃい

  観世音は浄くとうと

  苦悩や死や不運のときになら

  すごい救いをもたらしちゃい


 ♪すべての功徳を具えてさ

  衆生を慈しみの眼で視てるのさ

  海のような福徳は無限でさ

  だから敬意を示せば応えてくれるのさっ☆」


 (…以上、踏韻が無理やりすぎるのはご勘弁;)


 その時、聴衆のなかの持地じぢ菩薩が立ち上がり、ブッダに言った。


持地「世尊! もし衆生で、この、自由自在にどこでもいつでも自然に現れてしまう神通力を持つ観世音菩薩普門品という教えを聞いた者は、功徳が少なくありません!」


 <持地菩薩(六地蔵の一人、宝珠を持つ)>

挿絵(By みてみん)

 (千葉県山武郡木戸 海厳寺)


 ……信者のみなさんがよくこの観音経を音読し、または誰かが音読してるとその声を最後まで静かに聴こうとする理由が、この一言からわかりました。

 これを聞いて、自分の功徳とするため、あるいは亡くなった方や親しい人、もしくは礼拝する対象(菩薩など)にその功徳を贈る(=回向えこうする)ため、という目的だったようですね。

 しかも功徳があるのは「聞いた者」と書かれてます。つまり、内容を理解したり実行したりしなくても、極端言えば信じてさえいなくても、聞くだけでオッケー?www


 「とにかく聞けば功徳がある!!」そう信じられて、このお経は頻繁に音読されているのでしょう……たとえ、何が書かれてるのか解らないとしても。(汗)



 ともあれ、ブッダがこの「普門品」という教えを説いたら、聴衆のうち八万四千人の衆生が阿耨多羅あーのくたーら三藐さんみゃく三菩提さんぼだい心(究極の悟りを開いてブッダとなり多くの人々を救おうという決心)を起こしたのだった。


  <おしまい>

 

========


おまけ>>

延命十句観音経えんめいじゅっくかんのんぎょう


観世音かんぜーおん 南無仏なーむーぶつ

与仏有因よーぶつうーいん 与仏有縁よーぶつうーえん

仏法相縁ぶっぽーそーえん 常楽我浄じょーらくがーじょー

朝念観世音ちょーねんかんぜーおん 晩念観世音ばんねんかんぜーおん

念念従心起ねんねんじゅーしんきー 念念不離心ねんねんふーりーしん


てきとー訳:  

観世音はブッダに帰依して

ブッダと共にいるから ブッダと縁があり

ブッダの教えも互いに関って 常に楽しく自らを清められる

朝に観世音を念じ 晩に観世音を念じ

そのつど心に思い起こして そのつど忘れないのでありました♪

 

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[一言]  前々から「てきとー訳」シリーズで観音経がとり上げられないかと思っておりました。  漢字から自分が受けた印象とさほど変わらないことが書かれていて、「やっぱりこんな意味だったんやなあ」と思い…
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