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甘味の毒

作者:道山 神斗
 毒は必ずしも苦しくて苦いものでは無い。
勿論本物の青酸カリの様な毒は苦しくて苦いだろう、だが毒は色々な形をしている。
毒は生命維持活動に支障を来すもの、支障は終わりを来すものだと私は思っている。
だから毒というのは終わるもの、終わりとは死ぬ事。

 私は死を望んでいる、10年程前からチューブに繋がれて無理やり生かされている、毒を飲んでいるのに解毒剤を飲まされている、そんな気分だ。
解毒剤はとても苦く辛いものだ、まるで本物の毒を飲んでいるように、いや私は飲んでいるんだろう解毒剤という毒を。

 私は病室から外を見ながら考える、いつから私は毒のことを考える様になったのだろう。
病室の中でチューブに繋がれてマリオネットみたいに医者に自分の生を操られている、そう感じた時からか。
面倒を見てくれている人達の苦しそうな顔を見た時か。
前者か後者かを問われても私は答えることが出来るかは分からない、ただいつ知れずそのある時を境に考えるようになったのだろう。

 私は最近思う、毒はどんな味をするのだろうか、ショートケーキの様な柔らかく甘い味かな、チョコの様な苦味とともに少しくどい位の甘さがあるのかな、飴のような永遠に続く甘さかな、フルーツの様な瑞々しい甘さかな。
私にとって死とは甘いもの、甘くて幸せにしてくれるものそう捉えている。
この事を考えるだけで私は幸せになれる、そしてこれを考えている時だけが心が安らぐ、寝ている時よりも、どんな時よりもこの時だけが幸せだ。

 病室は白い、砂糖の様に真っ白で、でも甘くは無いだろう、病室が甘いなんて聞いたことがない。
ご飯を食べていた、病院食は味が無い、少しは味付けをしているのだろうが私には感じない。
何故だろう、そう考えると1つ心当たりがある、甘味、甘い味が無いから、私にとって1番好きで毒である甘いと言うのが無いからだろう。
最近は

「甘いものが食べたい」

そう考えることが増えてきた、開かない喉を無理やり開けて誰かに甘い物を貰おう、何でもいい、キャンディーでも金平糖でも何でもいい、甘いものが食べたい、でも声にならない声は誰にも聞こえなかった。

 ん? おや、甘い香りがする。
 ショートケーキかな? チョコレートかな? キャンディーかな? どれにも当てはまるようで当てはまらない甘い匂いがする。
 何かなと思って私は眠っていたので目を開けようとする、開けられない、めいいっぱいの力を使っても脱力している様に力が入らない。
 耳元から何か声が聞こえる、

「ごめんね」

となんとも悲しそうに、大勢の人がいるのかどうか知らないが沢山の泣き声が聞こえてくる。

 ああ、分かった、この甘い匂いの正体が。
不意に私の口の中に味が広がる、甘い甘いショートケーキの様に、少し苦味を持ったチョコレートの様に、瑞々しい甘さを持っているフルーツの様に、そして永遠に続くキャンディーの様に、色んな甘みが広がる。
これが毒か、心地が良いものだ、正解だった、でも想像していたよりも甘いが冷たいものだった。
やがて私の体から聴覚、嗅覚など5感と呼ばれる感覚が無くなっていく、ただそれでも私の口の中には甘い毒の味がいつまでも残っていた。
毒は必ずしも苦しくて苦いものでは無い。
甘いものなのかも知れません、そう思って少し書いてみました。

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