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Record of the dead  作者: 水無月ケイ
第2章
21/21

新たな現実

うっかりしていたら半年近く更新をサボってしまいました。申し訳ありません…。

四方を壁に囲まれた、外光の入らない会議室。正方形に並べられた四つのテーブルと椅子には、それぞれ数名の男女がついている。

土屋夏生は、入り口から一番近いテープルに頬杖をつきながら、左側のテーブルと右側のテーブルで交わされる言葉の応酬を、内心の呆れを隠しながら見守っていた。

「このまま無計画に避難民を受け入れ続ければ、すぐに寝る場所も無くなるぞ!食料や日用品の消費も早くなるんだ。」

「その食料や日用品、あらゆる物資を誰が確保していると思っている?大体、見つけた生存者を見捨てろというのか。」

「そうは言ってない、わざわざ探し回ってまで避難民を連れてくるのをやめろといってるんだ。」

「そんな言葉の言い換えに何の意味がある?俺達は物資を探しに行き、見つけた生存者を救う。それが不満なら、あんた達が自分で物資を確保するんだな。ジキがうろつく中、この安全な大学から外に出てな。臆病者には荷が重い仕事だろうが。」

「何だと!!」

辛うじて議論と呼べるものから、罵倒の応酬へとすぐにレベルが下がっていく。発電所の奪還から半年弱、これがこの大学の新たな現実だった。

夏生から見て左側に位置し、生存者の積極的な救出を主張しているのは、遠征派のリーダーである相馬拓人。発電所の奪還作戦に参加後、有志を募って各地の倉庫やショッピングモールを回り、残された大量の物資を回収し続けた。元々この土地の出身で地理にも明るく、度重なる遠征で知識や経験も得て、今では大学の外での作戦に不可欠なリーダー的存在だった。彼の主張は、積極的な遠征でジキを倒すとともに、取り残された生存者を救出してその知見を活用し、いわば富国強兵によりジキを打ち倒して、かつての世界を取り戻そうというものだった。

それに相対するのは、生存者の救出や遠征よりもこの大学を自給自足可能なコミュニティにしようと主張する孤立派のリーダー、藤田慎也。発電所の奪還と前後して、学生寮で食料の配給や医療の提供、学生の相談に応じる自治組織を立ち上げ、自警団に所属していない一般の学生から大きな支持を得ていた。自警団の参加者は増え続けているとはいえ、なお一般の学生が過半数を占める中で、彼らの代表とも言える彼の言葉は無視できぬ影響力があった。そんな彼の主張は、意外ではなかったが、現状維持と孤立を求める消極的なものだった。

正反対の主張と罵倒の応酬を交わす二人から、正面へと視線を転じると、見知った顔の青年が困ったような顔で微笑んでいる。自警団のリーダーである「会長」、結城宗一郎。ジキが発生した当初の混乱した時期から、曲がりなりにも統制の取れた行動が取れたのは、ほとんど全て彼の功績だった。その後も発電所の奪還、各地の生存者の救出や物資の確保、学生達からの様々な要望への対処に、彼の隣に座るキメラのリーダー・来栖佳那や夏生、そして拓人や慎也と協力して取り組んできた。重要な問題について話し合うこの会議を提案したのも彼だったが、深まるばかりの亀裂には頭を抱えているようだった。

結局、二人の応酬が一段落したところで宗一郎が取り成し、何も決まらないうちにこの日はお開きとなった。


「お疲れ様でした、会長。」

会議の後、幼馴染で一緒にこの大学に避難した木崎康一と共に会長室を訪ねると、宗一郎と佳那は喜んで二人を迎え入れた。

「土屋さん、木崎さんもお疲れ様でした。いや、全く、お恥ずかしいところをお見せして申し訳ない。」

ため息混じりにそう言いながら、宗一郎は四人分のお茶を用意してテーブルに並べた。半分ほど飲んだところで、夏生は宗一郎に話を向ける。

「しかし、実際のところ、どうするつもりです?生存者の救出は僕も賛成ですが、このままでは受け入れる場所が無くなるというのも事実でしょう。」

これまでに大学が受け入れた避難民は千人弱。この大学の学生・教員の総数約一万人の一割以下の人数であり、学生寮の空いている部屋や、一部の小教室を当てがうことで何とか住居を確保していた。だが、残っている部屋は少なく、受け入れは限界に近づきつつあった。

「大学内を精査して、受け入れ可能な部屋を探しています。当面は何とか持つでしょう。いずれはもっと抜本的な対策が必要でしょうが、それについてはまだ検討中なので。」

宗一郎は自分の考えがまとまるまでは仲間内にも考えを話さないことが多かった。だが、これまでの経験から言っても、恐らく本当にアイデアはあるのだろう。ひとまずこの青年を信じることにして、話題を転じる。

「そういえば、この前はじめてドローンを使いましたよ。なかなか便利なものですね。」

そう言って話題に持ち出したのは、遠征中に家電量販店で確保した遠隔操作の無人機のことだった。おもちゃのようなシロモノかと思いきや、自律飛行が可能で数キロ先の精細な映像が見れるとあって、遠征部隊の進路の安全確保などに重宝されていた。

「それは良かった。自警団でも最近導入して、警備任務がやりやすくなったと好評ですよ。そうそう、工学部の連中が特注の大きなやつを作ってましてね、完成したら数十キロ先でも偵察可能になるそうです。」

それは凄いですねと相槌を打ったところで、勢いよくドアが開いて、さっきまで会議室で顔を合わせていた青年の一人が顔を出した。エネルギッシュなカリスマ性と果断な行動力を兼ね備えた遠征派のリーダー、相馬拓人。精悍で凛々しい顔立ちに不敵な笑みを浮かべたその姿は、多少は演技が混じっているのかもしれないけれど、頼り甲斐のあるものだった。

「よう、会長。ああ、あんた達もいたのか、ちょうど良かった。」

拓人は部屋の中に夏生と康一、それに佳那の顔を認めると、満足げにそう言って宗一郎に向き直った。

「会長、この前の話、結論は出たか?必要な人間がちょうど揃ってる、聞かせてもらいたいね。」

話が見えず、宗一郎の方に視線を移すと、困ったような顔で答える。

「遠征作戦に出るのに、噛まれる前に予防的に佳那の血を打ちたいと言われてるんですよ。」

そういうことか、と夏生は頷く。確かにそうすれば、噛まれる度に慌てて血を打つ必要は無くなるし、キメラとして力も振るえる。考えてみれば、当然の要望ではあるが、諸手を挙げて賛同できる話でもなかった。

「前回もお話ししましたが、現状では血のストックは常に不足気味で、予防的に打てる状況ではありません。」

宗一郎は丁重な言葉遣いで拓人に対していた。二人は同学年だったが、見るからに行動派な拓人は常に自信に溢れ、年齢も上に見える。対する宗一郎は、知的と言えなくもない雰囲気もあったが、拓人の前では明らかに非力に見える。

「それに、キメラ化は最後の手段と考えています。今のところ、人体への長期的な影響は未知数ですし…。ともかく、現時点ではイエスとは言えません。」

次第に俯きがちになりながらも拒絶の意思を示した宗一郎に対して、拓人はさっきよりも大きな声で、畳み掛けるように言う。

「血が足りないなら、他のキメラに頼めばいい。安全性に問題があると言うなら、これまでにキメラになった奴はどうなる?会長、あんたが一番頼りにしてるのだって、そこの来栖を筆頭にキメラばかりだ。細かい御託はどうでもいい。今の俺達にはキメラが必要だ、違うか?」

単純だが明快で力強い拓人の言葉には、傍で聞いている少し年上の夏生も引き込まれそうな引力がある。なるほど、これは若い学生達にカリスマ視されるわけだ、と思いながら宗一郎に視線を移す。この一見頼りない「会長」は、どうしてなかなかしぶとい青年だった。

「確かに俺達にはキメラが必要です。ですが、佳那以外の血の安全性となると、それこそ完全に未知数です。改めて言うまでもなく、我々はこの現象についてほとんど何も分かっていない。俺はキメラが普通の人間と同じように長く生きられることを願っています。でも、願望と事実は区別すべきです。佳那以外の血の安全性も、キメラ化の長期的な安全性も何も分かってない、それが事実です。」

躊躇いながらもそう言い切った宗一郎は、何とか顔を上げて拓人と視線をぶつける。宗一郎の言った理屈は筋の通ったものではあったが、その口調には微かな迷いが感じられた。その隙を感じ取ったのだろう、拓人が一気に畳み掛ける。

「来栖以外の血の安全性なんて、一度試してみれば分かる。何なら、俺が実験台になってもいい。長期的な安全性なんざクソ食らえだ、俺達は明日明後日の遠征をまず乗り切らなきゃなんねえんだよ。」

圧倒的な勢いでそう言い切った拓人に対して、宗一郎は答えに窮している。それを見て、ずいと一歩進み出ながら、拓人は止めとばかりに言い放つ。

「色々理屈をこね回してるけどな、要は孤立派に気を使ってるんだろ?俺達は命を懸けて、覚悟決めてやってんだ!おためごかしも大概にしろよ。」

拓人が言ったことの一部は意味が分からなかったが、宗一郎の方は少しドスの効いた拓人の声と物言いに完全に圧倒されているようだ。仕方ないなと思って夏生は割って入った。

「相馬くん、ストップ。命を賭けてるとか、覚悟があるとか、国を愛してるだとかいうのは、立派なことかもしれないけど、それで何でも許される免罪符ではないよ。平和な時でもそうだし、まして今は君以外にも命を懸けてる人間は沢山いる。」

口には出さなくても、その筆頭が夏生であることはここにいる人間は全員知っている。何しろ、康一と二人きりでジキだらけの中を発電所まで偵察に行き、さらに発電所までの安全な通行ルートを確保。発電所奪還作戦でも八面六臂の活躍をし、その後も物資調達などで常に最前線に身を置き続けているのだから。そんな夏生相手は不利と感じたのか、拓人は再び宗一郎に向き直る。

「確かに、土屋さんはそうでしょう。でも会長、あんたはどうだ?発電所奪還でもその後の遠征でも、一度も最前線で戦ってない。ずっとこの安全な学園でふんぞり返ってただけだ。それであんたは、俺達相手に自分も命を懸けたと胸を張れるのか?」

宗一郎はたじろいでいるが、そうそう夏生が何度も助け舟を出すわけにもいかない。宗一郎のお手並み拝見かなと思っていると、別方向から助け舟が出された。

「そういう言い方は卑怯だし、無意味だし、もっと言うと事実にも反していますよ、先輩。発電所奪還に同行するつもりだった会長を止めたのは土屋さんだし、それは誰かが残る必要があったからです。こっちに残るのも、それはそれで一つの戦いだった、先輩だってそのことは分かっているでしょう?それに何より、半年間からこの一歩先も見えない世界で大学を守ってきたのは、誰がなんと言おうと会長ですよ。」

自身にとって最大の味方であり右腕でもある来栖佳那が割って入ったことで、会長はあからさまにホッとした表情を浮かべている。そんな分かりやすい顔をしちゃダメだよと内心思いながら、佳那と拓人の方に視線を戻す。

「結果としてはな。だがそれも、あんたやそこの二人の活躍が大きいだろう。会長がどれほどのことをした?むしろ、決断を遅らせて貴重な燃料を随分と浪費した。俺ならもっと上手くやれた。」

拓人のその言葉には、自信だけでなく微かな悔しさも混じっているように見えた。拓人はジキの発生と一連の混乱の発生時、大学を離れて都市部にいたのだ。そこから数名の仲間と共に大学に辿り着き、その時の経験と知識が外部への遠征で役立っているわけだが、大学に帰還したのは発電所奪還の直前だったので、あまり大きな活躍を見せられなかった。それ以来、遠征で実績を積みながらも、自警団の会長として曲がりなりにも大学のリーダーと衆目が一致している宗一郎の下につくことに複雑な思いがあるのだろう。気持ちは分からないでもない、ただ…

「君は分かってないね。然るべき時に、然るべき場所にいる。そういう偶然や運も、人の実力のうちなんだよ。一つだけはっきりしているのは、会長がいなければこの大学の状況が今よりずっと悪化してた可能性が高いということ。ここを何とか守ってきた会長の実績を否定して、そういうたらればの話をすることは建設的じゃないよ。」

思わず口を挟んだ夏生の言葉を頭から否定できるほど拓人は馬鹿でも強情でもなく、忌々しげに舌打ちしてから、吐き捨てるように言う。

「ともかく、予防的なキメラ化を認めろ。お前達の下らない政治ごっこのために仲間を危険には晒せない。」

そう言ってドアを叩きつけるようにして出て行った拓人の背中を見送りながら、宗一郎が困り果てたような顔で言う。

「彼の言うことも一理あるんですけどね。今の状況だとなかなか…」

そう言って口を濁す宗一郎を見て、さっきの疑問を口にする。

「安全性の件はともかく、孤立派に気を使っているというのはどういう意味です?」

「ああ、土屋さんはここしばらく大学を離れてましたね。あれは…」

偵察やら物資調達やらのために一ヶ月近くほとんど大学にいなかった夏生を前に、宗一郎が説明を始める。

発電所奪還から半年、エネルギー供給は安定し、物資も外部からの調達や農学部主導の耕作プロジェクトが始まって安定供給への見込みが立ちつつあった。懸念されていたジキの大集団の襲来も無く、他方で日本政府も自衛隊も在日米軍も何の音沙汰もない状況が続いていた。

こんな孤立無援だが奇妙に安定した状況から、大学内には二つの正反対の考え方が生まれていた。一つは相馬拓人に代表される、この有利な状況を活かして生存者の救出による勢力の拡大とジキの掃討を進め、いずれは「人間の世界」を取り戻そうとする考え方。もう一つは、藤田慎也に代表される、現在のコミュニティの維持と大学の安全を最優先し、自給自足体制を確立すべきだという考え方だった。この二つの派閥の対立は夏生も知っていたが、最近は両派の対立がのっぴきならぬ状況になっているらしい。

特に焦点になっているのが、キメラ化のための輸血だった。大学では、ジキに噛まれた人間に対して、ジキ化を防ぐために「噛まれたけれど発症していない、ただし肉体的な強化などではジキに近い存在」であるキメラの佳那の血を打ってキメラ化させていた。キメラ化した学生は、一般の学生とのトラブルを防ぐために、宗一郎が用意した専用の寮に住み、佳那のもとで自警団の中核になっている。キメラは二百人近くまで増えていたとはいえ、なお圧倒的な少数派だったから団結力は強いし、血を分けて命を救ってくれた佳那に従う気持ちも強かった。

経緯を考えればそんなに不思議なことでも無いのだが、二百人近いキメラが佳那のもとに一致団結していることに対して、キメラはマインドコントロールされているという見方をする学生が、孤立派を中心に少なからず存在していた。そして、そういう疑念を抱く学生の中には、宗一郎と佳那が全学生をキメラ化することで独裁体制を築こうとしている…という荒唐無稽な妄想を抱いている者までいた。もちろん孤立派も全員がそう考えているわけではないし、少なくとも緊急時のキメラ化に反対はしていなかった。ただ慎也は、彼自身の考えはどうか分からないが、孤立派の中の根強い反対意見に考慮して、予防的なキメラ化には安全面での懸念を理由に強く反対している、ということらしい。

「正直言って、キメラがマインドコントロールされているなんて発想、俺は孤立派の連中に聞かされるまで思いつきもしませんでしたよ。あいつらと来たら、実際のキメラにほとんど会ったことも無いくせに、下らない妄想ばかり膨らませて…」

説明の合間に挟まれたそんな愚痴を聞いていると、宗一郎自身の考えはむしろ拓人に近いようだった。それでもどっちつかずの立場を取らざるを得ないのは、慎也の影響力の大きさゆえだ。慎也主導の自治組織は人数だけ見れば自警団に匹敵する規模になっていたし、自警団にも孤立派に近い考えの持ち主は多かった。自警団は日々の任務でキメラに接する機会が多かったから、過剰な偏見を持つ者は少ないとはいえ、この問題で慎也との決定的な対立は避けたい気持ちも強いようだった。

「どっちを向いても、何をしても叩かれるんですよ。」

苦笑しながらそう言ってぼやく姿は、中年の中間管理職のようでどこかおかしかった。ただ、一万人を超える集団のリーダーになるということは、相容れない考えを持つ複数の集団の間を綱渡りするということでもある。それは決して楽なことでも、楽しいことでも無いというのは、容易に分かることだった。

「そういえば、さっきは助かったよ、ありがとうな。」

宗一郎はふと思い出したようにそう言って、佳那に頭を下げている。さっき佳那が庇ってくれたことに対して礼を言っているようだった。

「どういたしまして。まあ、あれだけ言っておけば諦めてくれるだろうし…」

その物言いに、夏生だけでなく宗一郎も怪訝な顔を浮かべる。その視線に気付いて、佳那は肩をすくめながら言う。

「いや、先輩からね、遠征派に協力して血を提供しないかって誘われてたんだよね。もちろん断ったけど、なかなか諦めてくれなくて。」

そんなに意外な話でもなかったが、初耳だったらしい宗一郎は驚いたような顔をした後、少し拗ねたように言う。

「そういうことは、もっと早く相談して欲しかったな。大事なことなんだし…」

「ごめんごめん、私も最近は忙しくて、そんなに揉めてるって知らなかったからさ。」

そう言って詫びを入れてから、これからは気を付けるよと言った佳那に対して、宗一郎も特に追及はせずに話を変える。

「でもまあ、断ってくれて良かったよ。相馬さんの気持ちも分かるけど、今はタイミングが悪すぎる。こういうことばかり言ってるから、相馬さんに決断を遅らせたと言われるのかもしれないがな…」

そう言って再びぼやく様子からは、自分の考えをなかなか表に出せないことへの忸怩たる思いや、慎重な判断をすることへの迷いが感じられる。そんな宗一郎に対して、佳那が元気付けるように言う。

「でも、そういう慎重さは悪いことじゃないよ。こんな信じられないような世界になって焦る気持ちはみんなあるけど、情報も無いのに焦って決断したら、それこそ悲惨な結果になる可能性が高いし。あの二人だって、宗一郎が間に入らなかったら、同じテーブルにもつかないだろうし…。信じてるから、付いていってるんだよ。」

「何とかかんとか、現状維持プラスアルファで精いっぱいだけどな。」

照れ隠しのようにそう言いながら苦笑する宗一郎に向かって、夏生は励ますように言う。

「それでいいんですよ。昔のあの豊かで平和な世界だって、現状維持すら難しかった。ましてやこんな世界でまず大事なのは、これ以上事態を悪化させないことでしょう。会長はよくやってると思いますよ。」

夏生の言葉に、宗一郎はようやく素直に笑顔を見せて、ありがとうございます、と言って笑う。兎にも角にも、ここにはまだ辛うじて残っているささやかな平穏や幸せを守るために戦っている二人を支えようと、夏生は改めて心に誓った。

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