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飛び降り
屋上に続く扉を開けて、空を眺める。
今日は生憎曇っていて、それでも、空から差し込む光は、すごく綺麗で。
ふと周りを見回してみる。
「誰あれ」
今にも、自殺しそうな勢いでフェンスの向こうに立っていたのは、見かけない顔。
とりあえず声でもかけてみるか。
自殺されても困るし。
「あの、危ないですよ」
ふと差し込んでいた光が強くなった。
その瞬間、その人影がこちらを向いた。
光が強くて、顔が見えない。
「あ、あの、そこ危ない・・・ああっ」
その人影は、こちらを見て微笑んで、すぐにいなくなった。
やばいっ
そう思って、フェンスから顔を覗かせる。
あれ?
「いない・・・」